雪山の絆/ウルグアイ チリ スペイン
2023年製作 144分 NETFLIX
2024年映画1本目 ☆5.0
1972年、ウルグアイ空軍機がアンデス山脈の奥深く、人里離れた山地に墜落。
過酷なサバイバルに直面した生存者たちは、互いを鼓舞し合い、極限の試練を生き延びた。
実話になります。
有名なのは、同じ事故を題材にした1993年の映画「生きてこそ」
今回は、「インポッシブル」など手掛けたバヨナ監督がメガホンをとった。
「インポッシブル」でリアルな描写に敬服した私は、
この作品を楽しみにしていたので、配信は喜ばしい事だったけれど、
正直、正月からの災害や事故が、この作品を観る事を躊躇わせた。
観るのはもっと先でいいか・・・
バヨナ監督作品のリアルさを知っているからこそ・・・
回避すべきかも・・・と思った。
自然の怖さ、過酷さ、
そして、人間の強さ。
私が躊躇した理由は、それではなかった。
生き残れなかった人々は?
災害や事故で、亡くなってしまった人たちは、
人間の強さから、除外されてしまうのだろうか。
この作品を観た後に、私は、
残った人々が、人間の強さであり「奇跡」と言うならば、
残れなかった人々は?と思うだろう。
その答えが、どうにも思い浮かばない。
その時に抱える虚無感が、私を怯えさせた。
けれど。
長らく、映画を観ていると、
たまに「今観るべきだ」という声がする時がある。
この作品は、まさにそれだった。
答えのない怯えを抱えたまま、何故か、この作品を観る。
144分。
そのリアルさに圧倒される。
映像、役者陣の演技。
私は、何度も何度も、絶望の淵に立たされた。
まさに、追体験だ。
自然の恐ろしさと美しさ
人間の強さと、「生」への執念
そして、その「生」が、極限の葛藤と選択を、迫らせる。
144分の中で、私なりの解釈から、答えを見いだせた。
私の迷いは、ひどく傲慢だったと気付かされた。
この作品は、苦しくて重い。
けれど、生存者たちの強さや、その奇跡を強調した作品ではない。
そして、私は、
生と死・・・
その意味を区分する事の無意味さ。
この出来事を「悲劇」や「奇跡」と区分する事の、
傲慢さを学んだのだ。
映画作品として捉えた時、
この作品は、大きなスクリーンで観たかったと思う。
それほど、雪景色が息をのむくらい美しい。
でも、その美しさが幾度もの絶望を生み出す。
神なんていない。
神は、人々の中に存在しているのだ。
☆2024年1本目にして、今年1番の作品になるかも知れない作品を観た。
全力でおススメしたいが、
衝撃的な内容になっているので、視聴には注意が必要だと思う☆
☆ちなみに「生きてこそ」は公開直後に観ていて、
高評価をつけた事を記憶しているが、
本作がより傑作だと思う☆