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シークレット・ミッション / 韓国

2013年製作 124分 AmazonPrime

2023年71本目(韓国映画50)☆☆☆☆

北朝鮮当局の大規模な作戦実行に備え南に潜入、田舎町でバカのふりをして地域に溶け込むよう命じられた北の若きエリートスパイ、リュファン。

彼は町で住民を観察しながら、作戦実行命令が下されるその時をひたすら待ちわびていた。

そうして潜入から2年が経ったある日、同志のヘランがロックミュージシャンになるという謎の任務を負ってリュファンの前に現れ、更に部下だったヘジンも普通の高校生に扮し同じ町に派遣されてくる。

 

ネタバレなし感想

これは、何だか感想が凄く難しくて。

少し前に観てたんですけど、

感想が後回しになりました。

元々は、韓ドラ2作目に観た

「愛の不時着」10話で

突如現れた緑のジャージの人が、

一体誰なのか、気になっていたんです。

 今では、キムスヒョン様って

勿論分かっているけど、

あの頃は、誰なんだ・・・

このモサイ頭の人は・・・と思ったものです。

 

後に、それがキムスヒョン様だと判明したものの、

あの緑のキャラクターで、

どんな作品が出来上がるんだ・・・と

疑問だったんですよね。

 

なので、今回、韓ドラから与えられた宿題を、

やっと終えたような気分です。

 

想像では、完全にコメディかと思っていましたが、

それは、半分正解で、半分不正解。

結果、この作品に、どう感想を述べて良いものか、

熟考する事になったワケです。

 

エンターテイメントとして捉えた時、

この作品は大成功かも知れません。

笑わせ、泣かせ、そしてアッと驚かせる展開です。

 けれど、単純に「面白い!!」

とも言い切れない複雑さが残る。

 

この作品の、前半と後半のふり幅を、

受け入れられるかどうか。

私は、受け入れられなかった。

けれど、代案があるかと聞かれると、

代案は、コメディ一本かお泣かせ一本か。

いずれにせよ、ありきたりになる。

 

 受け入れられないけれど、今までにはない、

何とも言えない落差が、

余韻として残り続ける。

 その余韻は、つまりは、

慟哭のような共感に繋がって、

前半のコメディは、切なさに姿を変える。

 

いうなれば、そんな作品なのです。

 

以下、ネタバレあらすじです。

 もう前半と後半のふり幅が、

もの凄いワケなんですよね。

韓国映画で、コメディタッチと、

シリアスの落差が・・・という

作風に慣れたつもりでいましたが、

これほどの極端なのは、今まで無かったな・・・

と思うんですよね。

前半コメディ作品、そして、

全くの後半シリアス作品。

それぞれの作品を、

合体させたような作りなんですよね。

 だから、2本映画が出来たとしても、

何ら不思議じゃないし、

何なら、その2作品をじっくりと

楽しみたい気持ちになるほどです。

 

おバカなフリをして、

田舎街に完全に溶け込んでいる部分。

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正直、キム・スヒョン様の熱演が、凄すぎて、

引くぐらいでした・・・・(笑)

チェ・ウシク様がシスコン役て登場・・・

可愛かったです。

 

北朝鮮からも、同じようなスパイがやってきます。

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リュファンに尊敬の念を抱き続けるヘジンや、

自由奔放でミュージシャンを目指すヘラン。

 

リュファンは、北朝鮮に残してきた母親を想い、

届ける事の出来ない手紙を、書き続けていた。

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(母を想う姿が、切ない)

 

そんな折、北朝鮮より自害しろとの

指令を受ける事になる。

(南北融和政策が活発化している状況で、

スパイを送り込んでいた事は

問題視されると思われ、

証拠隠滅をはかった上層部からの指令だった)

 

自害を拒否したリュファンに、

北朝鮮から追手がやってくる。

その過程で、母親はすでに収監され、

生きてはいない事を知り、

愛国心の意味を失ってしまった。

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祖国との対立を決心し、

お世話になった街の人々への恩と言葉を残した。

 

北朝鮮の銃弾を受け、瀕死な状態の

リュファンは、住み込みで働いていた主人が、

去っていく自分にくれた貯金通帳を見た。

そこには、「給料」名目のお金が、

毎月振り込まれていた。

その名目は、時を経て「息子の貯金」

「息子の結婚資金」と変化していた。

 

「平凡なこんな生活がしたかった。

平凡に生まれたかった」

 

リュファンの慟哭が響く。

 

銃撃戦の末、北朝鮮の人間も

リュファンたち3名も命を落とした。

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 リュファンが住んでいた家の壁には、

彼の言葉が残されていた。

「オモニ、ありがとう」

リュファンもまた、住み込みで働いていた主人に、

母親の面影を抱いていたのだった。

 

ネタバレ感想

 キムスヒョン様がやっぱり上手いな~・・・

と思いますよね。

 生真面目なおバカ、母親に想いを馳せる青年、

そして北朝鮮のエリートスパイ。

 全く別人のような人格が、

ヘジンやヘランとの接する姿に、

集約されていきます。

 優しくて、面倒見が良くて、真面目。

そんな素晴らしい人格を、

いとも簡単に抹殺しようとする北朝鮮に、

腹立つ想いしかないんですよね。

 

あれほど前半のコメディと、

後半のシリアスの違いに、

戸惑っていたはずなのに、

最終的には、そのコメディ部分も、

とてつもないシリアスを含んでいるのだと思うと、切なさが倍増します。

 北朝鮮に残してきた母親を想い、必死に、

国に全てを捧げている姿が、

本当に切なくて、悔しくなる。

 町の人々との交流で知った安らぎ。

 その心地よさは、きっとリュファンに

混乱を与えたと思う。

母親の為に、国の為に・・・・

自分に言い聞かせてきたのに。

こんな惨い仕打ちがあるでしょうか。

 こんな事なら・・・・

リュファンの最後の雄叫びが、

心に響くんですよね。

 

 アクションシーンも凄かったとは思うんだけど、

個人的には、リュファンが戦意喪失時間が

長すぎて、あまり、活躍した!

って感じがしなかったんですよね。

 でも、最後のシーン。

すでに撃たれているヘジンに

覆いかぶさるようにしたから、

「お!!大活躍か?」と思ったら、

まさか一緒に死んだだけって・・・・。

 何だか、イマイチ、

リュファンが活躍していない

流れが気に入らなかったわ・・・・

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 こんなに凛々しいお姿なんだから、

もっと、活躍して

せめてヘジンを助けてあげた位にして

欲しかったけどなぁ。

 

そして、今回も、

私大好き「変身」シーンがありましたよね。

(※BANANAFISHの下りは割愛させて頂きます。

知りたい方は、是非、一つ前の記事にて確認を)

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もさいリュファンは、髪をカットし、スーツへと。

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カッコイイ・・・!!

だからこそ、不死身レベルで活躍する姿が

観たかった・・・。

 

3人とも、助かって、韓国で生き続けて。

北朝鮮の上司が、

3人とも死んだと報告してくれてね。

(上司がいい人だった・・・という設定)

 そんな夢物語が、幾つも浮かんでは消えて、

切なくなる。

 

 来世は、ごく普通の平凡な家に、

生まれてきてね。

 

 今現在、戦火に巻き込まれている

多くの人々の事も感じて。

平凡な暮らし・・・その素晴らしさや、

そのありがたさ。

そして、その平凡な暮らしが、

突如として消え去る危うさ。

 肝に銘じるべきだと思った。

 

「愛の不時着」10話。

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 再度、確認。

3人とも、きっと、

この世界で生き続けてるよね・・・・