【韓国映画】7番房の奇跡 最後に残る感情は「怒り」でなくては・・・・ | ROUTE8787 サンサクキロク

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7番房の軌跡 / 韓国

2013年 127分 Hulu

2023年42本目 ☆☆☆

 

  ネタバレあらすじ

1997年2月。知的障害を持つイ・ヨングと娘のイェスンは2人暮らし。

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しっかり者のイェスンはじき小学校へ入学する年頃で、父親の世話をする賢い娘だった。

ある日、横に倒れて死んでいる少女のそばにいたヨングは、

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近所の人により通報される。

事情が分からないまま、幼児誘拐殺人とわいせつ罪により逮捕。

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「お父さん!行かないで」と泣き叫ぶ娘。

イェスンとも引き離され、刑務所へと収監されることになる。

 

同室は、元・暴力団であるヨンホを初めてする5名。

幼児誘拐殺人罪のヨングは冷遇されるが、

ある日、刑務所内の抗争で、ヤンホを咄嗟に守って刺されたヨングと、

親しくなっていく。

 命を救ってくれたお礼に・・・とヨングの願いを聞くと、

娘のイェスンと会いたい・・といい、

讃美歌を歌いに刑務所に訪れたイェスンを、

7番房に招き入れたのだった。

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賢くて可愛いイェスンに、みんな惹かれていく。

 

そんなヨングに冷たく当たっていたのは、刑務所の課長。

だが、刑務所内の火事でピンチに陥った課長を、自分の身を犠牲にして、

助けにきたのは、ヨングだった。

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 課長は、ヨングの事件について調べると、

被害者の親は、警察庁長官であり、

犯人逮捕まで急がされていた事が分かった。

 

刑務所のみんなは、ヨングとイェスンの優しさ・親子愛に触れ、

応援したい気持ちとなっていた。

裁判で何とか無罪をとれるように、検証を繰り返し、

裁判での発言を一緒に練習した。

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 被害者の少女は、凍った地面で足を滑らせ、転倒し頭を打って死亡した。

それを助けようと、以前学んだ救急処置をしている所を、

少女を強姦していると誤解されたのだ。

 

しかし、裁判の日、長官が

「お前が死なないと、娘を殺す」と言われたヨングは、

裁判で「自分がやった。ごめんなさい」と発言してしまうのだった。

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 結果は、求刑通りの「死刑」

控訴も棄却された。

失効日は12月23日 奇しくもその日は、娘の誕生日だった。

 

仲間たちは、最後まで諦める事が出来ず、

クリスマスのイベントに乗じて、気球を作り、

2人を逃がそうと策略を練るが、失敗に終わる。

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12月23日、2人は別れの時を迎える。

刑務所内に響く泣き声に、仲間たちは何度も涙を拭った。

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 イェスンは、課長に養女として育てられた。

弁護士となったイェスンは、その後、模擬裁判で、

7番房の仲間たちを証人として呼び、ヨングの名誉回復のために

無罪を勝ち取った。

 

  ネタバレ感想

泣ける泣けると、噂のこの作品を観ました。

確かに、泣ける要素が散りばめられています。

話だけ聞くと、もう暗くて重いのかと思ったら、

面白さもあって、こういう所、韓国ドラマうまいな・・・・と

思いました。

 重くて泣けるけど、ハートフルな面白さも兼ね備えられいます。

 

私も、久しぶりに、タオルで涙をふきふきしながら

観ました。

最高に泣いたのは、

最後の裁判を回想しながら、

大人になったイェスンが、弁護士はじめ、

何故、助けようとしないんだと、涙ながらに訴えかけるところでした。

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パク・シネ様の演技が素晴らしく、

イェスンの悔しさが、怒りとともに伝わってきました。

 

とにかく、子供のイェスンと、大人のイェスンが、

完璧なシンクロ具合で。

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完璧なキャスティングだと思います!

 2人のシンクロ率が高くないと、泣けなかったと思う。。。

 

でも、確かに、泣かされたんですけどね。

終盤へ向かっては、いささか興ざめしていた事を、

告白します。

 

裁判の前に長官に脅されて、それを反芻しながら、

自分がしたんだと・・・・そういう選択をしてみたり、

 

最後のシーンで、自分がこれから死刑になるという事を理解している

・・・という流れが、ちょっと違和感だったかな・・・と

思うんですよね。

 多分、泣かせたいポイントだったんじゃないかな?って思うんですけど。

 

 例えば、「お前が死なないなら、娘を殺す」という脅しではなく、

「はい」とだけ言えば、娘と一緒に暮らせる・・・とか。

そういう騙しの方が良かったし、

 

死刑の意味も分からず、陽気に死刑場に向かうヨングの方が、

良かったかな・・・って。

 

そして、気球がね・・・・。

それは、やりすぎだよね・・・と思っちゃって。

 発想自体がファンタジーになっちゃうかなって。

 

 7番房のみんなが、ヨングが怖くないように、

死刑場へ向かう事が出来るような企みを・・・っていう方が、

良かったように感じました。

(ビューティフルライフみたいな・・・)

 

 重くて悲しく、人の優しさにも触れる事の出来る

ハートフルな作品だけれど、

 

 弱者であるヨングは無実の罪で死んでしまったのに、

彼を死に追いやった長官や警察、社会が、

その代償を払うことはない。

 そして、不思議なことに、その点への怒りがあまり残らない。

 

 それは、あまりに警察をクソに描き過ぎて、

逆に真実味がなかった事や、

(ドラマの為の描き方)

 

父と子の別れの、

その先のシーンが描かれてなかったせいじゃないかと思うんですね。

 

ファンタジーの気球と、

父と子の、悲しい別れにかき消されてしまったのは、

 

本来、いつまでも心に残るべき「怒り」だったんじゃないかと、

感じてしまいました。

 

 

 

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パク・ウォンサン様が出ていて、嬉しかったです。

 

同じような作品だと

名作「グリーンマイル」でしょうか。

原作も、映画も泣けます。