【韓国映画】別れる決心② ネタバレ感想 | ROUTE8787 サンサクキロク

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ネタバレざっくり(の割には長くなった)あらすじは、

⇩こちら⇩

 

 

観たいと思っていたので、一切の情報を遮断してました。

 

正直、「お嬢さん」のパク・チャヌク監督作品なので、相当の、エロを期待酔っ払い 覚悟して視聴しましたが。

 

いや~面白かったし、いや。ホントに素晴らしい作品だと私は思いました。

 

服一枚脱がさずに、実に官能的に純愛を描いている凄さ

まず主役お2人の演技が、満点だった事は当たり前で。それプラス、撮り方や切り取り方が、本当に凝っていて素晴らしい。

主人公のヘジュンは鬱傾向で、不眠。

そういう少し靄のかかったような世界で、

この2人の関係は歪な様相を呈しながら、

進んでいく。

 

視線の絡み合いは、

まるで裸体を絡め合っているようだし、

張り込んでる姿は、離れているのに、

互いがずっと密着している錯覚にとらわれるし。

盗聴する声は、まるで、

愛のささやきや甘い吐息によう。

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たまに聞こえる中国語や、通訳アプリの声は、

フランス語の「ジュテーム」に聞こえるし

(←言い過ぎ)

 

なんなら、2人で寿司を食べてるだけなのに、実に、官能的。

 

あと、犯人と素手で格闘しているヘジュンを思い出して、ソレがアイスクリームを食べる時とか~。

アイス食べてるだけなのに、何で、こんなにエロいのぉぉぉぉ~ちゅー

 

そして、

こんなにも官能的なのに、

2人の関係は最後まで純愛であったこと。

 

ソレは、それこそ、ヘジュンの未解決事件になりたいと願ったり、

彼のキャリアを汚すような曝露案件を、人を殺してまで潰そうとするし、

 

ヘジュンは、自分の気品を保っている最たる要因の「刑事としての誇り」を

捨ててまで、ソレの事件を葬った。

 

お互いが、自分の犠牲を厭わないほど、

相手を愛し守り続けた。

 

劇中でも、キスが1回あったくらいで、

ベッドシーンは皆無。

実際、この2人は一線は超えてないと思う。

 刑事と被疑者という関係だからこそ、そういう関係にはならず、最後まで純愛だったと確信するね、私は。

 

間接的な愛情の伝え方

 互いに「愛してる」とか言うワケではないけれど

互いの気持ちを、間接的に表現されていく憎い演出がある。

 

別の事件の犯人を説得する時に、ヘジュンは、

「俺にも好きな人がいる!」とか言っちゃうし、

 

ソレは、猫への独り言で、

「贈り物なら、

あの親切な刑事さんの心臓がいいわ」

(通訳アプリの間違いで、「心」なんですけどね)

とか言ってるし、

 

ヘジュンは、未解決事件の写真を貼っている所に、

ソレの写真とか貼りつけてるし・・・(事件解決しているのに)

 

そして、面白いのは、

ヘジュンと妻のベッドシーン。

ベッドシーンなのに、全然エロくない仕上がりが、

余計に、ソレとの官能的な関係を際立たせている。

なんたって、ソレとは寿司食べてるだけで、エロなんですから!(笑)

 

ヘジュンが言っていない「愛してる」の意味

 

「スマホは海へ、深い所へ捨てて見つからないように」

 

始め、私、この韓国語が、中国語で「愛してる」って聞こえたのかな??

とか思ったりしたんだけど。

どうもそうでもないし、

日本で言う「月が綺麗ですね」(愛しているの意)みたいな感じかと思ったら、

そうでもないみたいだし。

 

つまりは、ヘジュンが何より大事にしている

「刑事としての誇り」を捨ててまで、

自分を守ったという、その行動が、彼なりの「愛している」なんだと受け取ったのだ。

 

ソレは、ヘジュンと離れてからも、何度もその録音を繰り返し聞き、

幸せな気分に浸っている。

 ソレにとって、無償で守ってくれた男性は、

初めてだったかも知れない。

 

そんな風に繰り返し聞いたからこそ、

詐欺師の夫に、

その録音の存在や、刑事との不適切な関係を知られてしまったのだが。

 

「愛していると言った瞬間、あなたの愛は終わり、

その愛が終わった瞬間、私の愛が始まった」

にあるように、ヘジュンが去った後こそ、

ソレは、更に、彼への想いを募らせていく。

そして、そのソレの愛の応酬に、

視聴者は度肝を抜かれるのだ。

 

そして、何が切ないってね・・・

この「愛してる」の意味が、どういう事が、

ヘジュンは一生分からないわけですよ。

その答え合わせが出来ってっていうのがね・・・・

 

ソレの愛の形

ヘジュンが「刑事の誇りを捨てた」事が、

ソレへの愛なら、

ソレのヘジュンの愛は、より破滅的で自己犠牲として表されていく。

 

ヘジュンを探し出し、その土地へと移り住む。

彼が刑事の誇りを捨てた事により、ヒゲも剃らず、

靴もスニーカーではなく革靴になっている事に気付き、(いつでも犯人を追いかけれるようにと、スニーカーを履くのが彼の常だった)

自分の為に彼の払った犠牲を目の当たりにした。

 

ソレは、自分たちの関係が夫にバレてしまい、

それを暴露されない為に、

詐欺被害者の母親を殺し、その息子が夫を殺すように仕向けて口封じを行った。

ヘジュンのために殺人を犯したのだ。

 そして、血が苦手だというヘジュンの為に、

殺人現場の血を、必死に洗い流した。

 

ソレは、ヘジュンに捨てろと言われていた携帯を差し出し、再捜査をするように伝えた。

これは、ヘジュンに刑事としての誇りを取り戻して貰う事。

 

そして、

 

ヘジュンの未解決事件になる・・・

というのが、最大にして最終の目的だったのだ。

 

ヘジュンの仕事部屋の壁一面に張り付けられた

未解決事件の資料や写真を、彼が執拗に見つめている事を知っていて、

自分もそういう存在になりたいと願ったソレ。

 

 ソレは自分の犯した殺人を、

「私たちの関係を暴露されないように殺したのよ」とは言わず、

それは永遠に隠して。

 はじめの事件を、未解決事件としたかったんだと思う。

 

けれど、予想を反して、ヘジュンが全ての真実に辿り着いてしまった。

 

理由はどうであれ、ヘジュンの未解決事件になる題材は揃ったわけで、最後の仕上げは、

犯人の行方が分からない・・・つまり、

ソレが行方不明でなければならない。

 

それが、あの最後のシーンになっていく。

永遠に、自分が見つからないように。

人の入らない砂浜で、穴を掘り、身を沈めた。

 

こうして、ソレは完全に、

ヘジュンの未解決事件になったのだ。

 

ヘジュンとソレが、

普通の関係になれるはずもなく。

ヘジュンは、自分の信念を曲げて彼女を守ったが、

刑事である事を完全に捨ててはいない。

 だからこそ、ヘジュンはソレの前から姿を消したのだ。

再会した時も、ソレと会えない日々を指折り数えていながら、

あくまでの二人の関係は、刑事と被疑者であると言い張った。

(この時の演技が、素晴らしかったですよね)

 

ソレのヘジュンへの愛情の終着は、

明るいものではなく、

それでも彼の一部でいたいと願った故の、

選択だった。

 

「未解決事件になりたくて、

この町に行ったみたい。

壁に私の写真を貼って。眠れなくて、ただ、

私のことだけを考えて」

 

 しかしソレの選択は、

ヘジュンは永遠に分からないままだ。

ヘジュンにとっても、視聴者にとっても、

ソレは未解決事件となった。

 何故なら、ソレの死が確定されておらず、

生きているという余白も残しているからだ。

(あえて、死んだ所を映していないもんね)

憎い演出だ。

 

なので、ヘジュンが真実を知る前から、

ソレは自殺を考えていたんだと思うのよね・・・

 満潮の時間を考えて、車を走らせていたんだと。

ただ、計画的だとすると、バケツ1個で???とは思うよね。

 

でも、そのバケツは、死んだカラスを埋める時に使用していたもので、

砂を掘る・・という暗示があったのかも・・・

 

ソレが沈んでしまっているであろう場所で、

彼女の名前を大きな声で叫ぶヘジュン。

 こういう形で出会わなければ・・・・と思わずにはいられない、

切なくて不気味なワンシーンだと思う。

 

山と海、青の使い方などなど

始まりは山で、最後は海

 

最後のシーンは、掘り起こした砂が、

山となっていて、

この事件を凝縮しているように感じた。

 

そして、綺麗な青が多く使われていたのも、

印象的だった。

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ソレの部屋、青くて綺麗だった・・・・

あと、青いワンピースとか。

 

最後には、ユ・テオ様降臨~!!

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タイトル「別れる決心」

Decision to Leave

(去るという決断)

言葉として出てきたのは、ヘジュンが

「どうしてそんな男と結婚したんだ?」と聞いた時に、「他の男と別れる決心をするために」

って所だった。

ソレなりに、ヘジュンの事を忘れようと頑張って、

あんな男と結婚したんだよね・・・・

しかし、男運悪い・・・。

 

 最大の別れの決心は、

ヘジュンが刑事の誇りを捨てながらも、

刑事である自分を守るために去った時と、

 

ソレがヘジュンの未解決事件になる為に去った時。

 

純愛だと思わせつつ、

互いのために自己犠牲を払いつつ。

それでも、最後は自分の欲求を優先した別れだったのが面白い。

 

性的露出を完全に抑えながら、

官能的な雰囲気を醸し出し、

異常なまでの純愛を描いた。

キャストは勿論のこと、

綿密に練られた脚本と演出が、

本作に、重厚感をもたらし、

まさに、大人のラブロマンスと銘打っても

おかしくない仕上がりになっている。

 

これでもかって程のエロを描いた

「お嬢さん」とは、

反対側に存在しているような本作でありながら、

ともに純愛を描いているという。

パク・チャヌク監督の力量を見せつけられたように思う。

 

 何度も観れば観るほどに、

新たな解釈、新たな伏線とその回収が生まれそう。

ちなみに、私は2度観てからの、レビューである事を記しておく。