Coda あいのうた

2021年1月公開 112分

2023年2本目 ☆☆☆

amazonprime

コーダCODAChildren oDeaf Adult/s)とは、聞こえない・聞こえにくい親をもつ聞こえる子どものことを指す

  あらすじ

とある海辺の町。耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえる女子高生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、幼少期からさまざまな場面で家族のコミュニケーションを手助けし、家業の漁業も毎日手伝っていた。新学期、彼女はひそかに憧れる同級生のマイルズと同じ合唱クラブに入り、顧問の教師から歌の才能を見いだされる。名門音楽大学の受験を勧められるルビーだったが、彼女の歌声が聞こえない両親から反対されてしまう。ルビーは夢を追うよりも家族を支えることを決めるが、あるとき父が思いがけず娘の才能に気付く。

  感想

 話題作で、高評価で、

結構楽しみにしてました。

 

全体的には、優等生の良作かな・・・という印象で、

正直、「お!!!これは・・・」という感想はなかったかな・・と思いました。

 

個人的な目線からの、個人的な好みが入っているので、

かなり偏った意見であることを前提に、

レビューを書きますと。

 

私の中で、この作品、この2点を声を大にして言いたい。

 

①主人公の歌声が、響かない

・・・・正直、もう少し歌唱力のある人を起用して欲しかったし、

もっと言えば、歌声だけ別人でもいいんじゃ?って思ってしまったくらいです。

歌唱力のある人・・・っていうのは少し語弊があるんですけど。

歌が下手というよりは、もっと、ミュージカル系の歌声が欲しかった。

・・・・という事なんです。

 この女優さんも十分上手なんですけど、

引き付ける歌声ではなく、ポップ向きなんですよね。

 

オープニングの歌声で、まず、歌で引き付ける必要があるのに、

それが出来ていないのが、この作品の大きな敗因のような気がしています。

 オープニングのこの一瞬に、

海外ドラマ「Glee」のレイチェルやメルセデスにような歌声なら・・・

映画「スター誕生」のようなレディ・ガガの歌声なら・・・

 

主人公の才能をしっかりと裏付ける事が出来たように思うんですね。

正直、上手いだけで、このような都合の良い展開があるのかな?と

思ってしまいます。

 この作品には、リアルさが必要で。

こういう中途半端な夢を描くなら、どこまでもリアルに

コーダについて描いた方が良かったんじゃないのかな?と思いました。

 

②音楽の先生は、ロバート・ダウニー・Jrじゃないと!

この音楽の先生の役は、もう、っこの人じゃない!という違和感があって。

ロバート・ダウニーJr様なら・・・という気持ちが、チラついて・・・

個人的な好みかも知れないけど、

この役を彼がやったなら、

映画の質は数段あがるし、より、主人公と先生の関係が、

深く描かれていたと思うんですよね。

 

③子供に魅せたい映画であるこそ、表現が・・・

コーダやヤングケアラーという事を知る良作だとは思うんです。

思うからこそ、子供にも是非、観て貰いたいと思うんですよね。

 でも、正直、下品過ぎて、勧めるのも躊躇してしまう。

本当に、勿体ないと思います。

 もちろん、「耳が聞こえない」親がいると、こういう苦労が・・・と

伝える事も大切ですが、

ここまで下品な内容でなくとも良いと思うし、

変更は可能だったと思うんですよね。

 

 

④全体的に、ご都合主義で、心情が共感出来ない

 試験に飛び込みで・・・とか、

両親たちが、自立していく様とか。

 あと、母親が、娘が生まれて耳が聞こえると知った時の感情が、

「そうなのか」と納得するのには、その心情の描き方が不十分だったと思うし、

利用するだけしておいて、そういう事を娘に言う?という嫌悪感しかなかったです。

あれほど、娘を利用していたクセに、急に心変わりしていたのも、

今一つ、理解が出来なかったかな。

きっと、聞こえない母親としての葛藤がもっとあるんだと思うし、

耳が聞こえない方が良かった・・・という感情に至る理由があるはずなんだろうけど。

 その辺りを、もうちょっと、しっかりと描いて欲しかったし、

知りたかった。

 

そう考えると、お兄ちゃんは良かったですね。

台詞は少ないけれど、

妹を犠牲にしちゃいけない・・・という兄としての

心情が凄く伝わってきました。

 

 という事で言い出したら4ツになってしまったけど(笑)

 

それでも、この作品で、様々な気付きや、考えるキッカケにはなったし。

良作だと思います。

 

無音という世界は、こんなにも、孤独で隔絶されている事。

数分でありながら、肌で感じたし、

 

人を支えるという事は、手を貸すだけではないという事。

これは、観ていて本当に思いました。

手を貸し続けることは、自立のタイミングを失わせる事になるんだと

実感しました。

  

そして、この家族を見る冷たい視線

この作品は、家族の自立を詳細に描いていない。

そこが描かれていないのは、私たちには重要でないからかも知れない。

その自立が成功するかどうかの最大の要因の一つは、

私たちの問題で、私たちの視線だから。

彼らを取り巻く環境と問題を、

私たちは、明確に受け取るべきなのかも知れない。