明日の食卓
2021年5月公開 124分
☆☆☆ NETFLIX
瀬々敬久監督(糸 楽園 64など)
あらすじ
2人の息子を育てる43歳のフリーライター・石橋留美子、アルバイトを掛け持ちする30歳のシングルマザー・石橋加奈、年下の夫と優等生の息子に囲まれて暮らす36歳の専業主婦・石橋あすみ。年齢も住む場所も家庭環境も異なる彼女たちには、“石橋ユウ”という名前の小学5年生の息子がいるという共通点があった。それぞれ忙しくも幸せな毎日を送る彼女たちだったが、些細な出来事をきっかけにその生活が崩れ、苛立ちと怒りの矛先はいつしか子どもへと向けられていく。
ネタバレ感想
原作読了済みです。
原作も☆3つの評価ですね。
読み返してみて、映画と原作と、私の中でポイントは一緒だった。
そういう意味では、映画化にあたって、
失敗というワケではなく、むしろ、映画>小説なんじゃないかな・・・と。
とことんのリアルさで攻めて欲しかった
この作品の醍醐味である、
「どの ゆう君が殺されたのか」という点ですが、
この1番の醍醐味が、
小説でも、映画でも、見事に、
「そうでもなかった・・・・」という感じやったんですね。
予想がついたというか、
なんか、最後の辺りで「逃げ」がみられたというか。
母親の描写 虐待の描写が、かなりリアルなのに、
最後の最後でそにリアルさを奪い取られたという感じなんですよね。
そういう意味では、シングルの母親(高畑充希)やライターの母親(菅野美穂)が、
殺したのなら、そりゃ、かなり、リアル感満載だったんじゃないかな・・・。
そういう意味では、サイコパスのゆう君の母親(尾野真千子)も、
また、少しリアルとは掛け離れてしまってるかな~・・・・
もうちょっと、サイコパスに傾倒しない辺りの描き方が良かったかな・・・と。
リアルで攻めるなら、とことん最後まで・・・・と思うんですね。
特に、女優さん3人がすっごく良いリアルな良い演技を展開していたので、
観客の胸に容赦なく、食い込むような作品になって欲しかった・・・と思うんです。
・・・あ・・・4人目の母親なんだという、妙な安堵感は不要で。。。
菅野美穂さんの、あの、凄まじい部屋プールの場面から・・・とか、
高畑充希さんの、生活苦や落胆とか、そういう感情からの・・・・とか。
尾野真千子さんの、我が子への恐怖や絶望からの・・・とか。
特に菅野美穂さん、高畑充希さんだと、
リアル過ぎて、ちょっとほんと、夜眠れなかったかも知れないわ・・・・
女優さんたちのリアルさ
いや~・・・・これは、本当に凄かったですね。
違和感なし、もう、ホントに。
とくに、菅野美穂さん、振り切ってたな・・・って思う
男の子2人・・・・ウチの現実と重なって、
共感が半端なかった。
部屋プールは・・・いや、あんな事されたら、
気が狂いそうや・・・・(笑)
だし、部屋に入るなって言っても言っても・・・って。
マジで、わかるぅぅぅ~・・・・
高畑充希さんの大阪弁は、完璧でした
めちゃくちゃリアルでしたね。
弟くんが、ケーキ買ってきてくれての喜ぶシーンとかも・・・・
あのシーンがあるからこそ、余計、
「お金貸してくれへん??」とか、その後の通帳持ち逃げとか、
その絶望感たるや・・・と共感してしまうんですよね。
尾野真千子さんは、1番共感しにくい母親だけど、
まさに「うちの子にかぎって・・・」の心の動きが、
共感のツボでした。
うちの子に限って・・・・から、まさか・・・と思ってしまう迷いとか。
ほんと、この設定で、ここまで共感させる演技力って素晴らしい・・・と思いました。
この作品は、何か学ぶとか、何かを考えるというワケではなく、
(特に母親にとっては)
とことん、どこまで共感するかどうかなんですよね。
共感しながら、何かの加減で、最も不幸な展開になる・・・という所が、
肝なんだと思います。
子育てって、ほんと、なんか追い詰められちゃう時があるし・・・
3人の母親を見て感じる閉塞感と必死感。
そっと息を抜く瞬間、適度な脱力感や解放感。
それを、持つべきだなぁ・・・とつくづく感じる作品でした。
藤原季節様
推しってワケではないですけど、
好きな俳優さんと聞かれると、ここ数年は、
「藤原季節さん」と答えています。
好きな俳優さんもいますけど、あまり、SNSとかチェックしないんですけど、
藤原季節さんは、ブログもツイッターもインスタもフォローしてます。
珍しいというか、そういう方は初めてかも知れない。
・・・というのも、この方の文章がめちゃくちゃいいんですよね
演技にしても言葉選びにしても、めちゃくちゃセンスあると思う
演じる事に必死さがなくて(良い意味で)
押しつけがましくなくて、
きちんと、その役柄になり切れているし。
どんな小さな役も、大切にしている感じがするんですよね
役者というか、表現するという事に、ひたむきで、
力が抜けているけど、情熱がほとばしってて
本当に素晴らしい俳優さんだと、思っています。
そんな藤原季節さんが、こちらでは、
優しいけれど、だらしない高畑充希さんの弟役です。
ちょい役なんですけどね・・・・
見事なんですよ。
もう、その体臭でさえ、香ってくるようなリアルさです。
「空白」の時も思ったんだけど、
少しの役や台詞なんだけど、その人の人生が見えるみたいで、
説得力が半端ないんですよ
姉にケーキを買ってくる優しさと、通帳を盗んでしまう甘さとか。
とことん調子のいい性格とか。
問題はあるけれど、こういう兄弟姉妹ってあると思うんですよね。
家族からこその甘えとか・・・。
通帳盗む時、きっと、
「ごめんやで、姉ちゃん。すぐ返すからな。
なんやったら、倍にして返すし」って、
ごめんなごめんな・・・って言いながら、盗んだと思う。
そういう情景が想像できる、演技にもう、脱帽です
あ・・・関係ないですけど、
顔ももちろん、好みなんです・・・・
前髪下ろしてるの、可愛いです