【韓ドラ】私の解放日誌⑥ ネタバレ妄想感想 | ROUTE8787 サンサクキロク

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私の解放日誌 

全16話 NETFLIX

☆☆☆☆

 

非常に良質なドラマだったと思う。

全体的に詩的な台詞で幻想的。

説明を極力控えての物語の展開は、なかなか難解だったけれど、

それぞれが抱く、生きにくさからの脱却をテーマに、

とても、練られた作品だと感じた。

 

このドラマは、余白が多く、

そこに自分の感情や、感覚・思考を投影して、

完成するのではないかと思う。

 

・・・という事で、以下、妄想ありの勝手な解釈です。

 

ク氏

ク氏は一緒に暮らしていた彼女が精神を病み、自殺してしまった。

それだけではなく、多くの人を傷付けたり、脅してきた人生だったに違いない。

 素面でいると、自分に関わってきた人々が、死人も含めて、

自分に向かってくるという。

 それを一掃するために、酒を飲む。

そして、時には落ち着いている時もある。

その時は、その落ち着きを壊す為に飲むのだという。

 

ク氏にとって、自分の存在は罪であり、

自分が不幸になる事が、使命であると思っていたのだ。

 じわじわとお酒で自分の体を蝕み、好きな女に好きだとも言えない。

幸せになる事が恐ろしく、幸せになる事への恐怖を、

感じていた。

「いい事があれば、すぐに悪いことが起こる」

 ミジョンとの関係が幸せであればあるほどに、その恐怖は増大していく。

 

ミジョンに心を許したが、結局、ク氏はソウルに戻ってしまう。

幸せの選択が出来ないク氏。

ミジョンと一緒にいれば、幸せになれると知っていても・・・

知っているからこそ、その選択が出来ない。

 ソウルに戻り、ジワジワと不幸になっていく自分が、心地よく感じる。

自虐的な生き方だ。

 自分の意志とは違う生き方。それが自分の生き方だったはずなのに、

想い出すのは、ミジョンの姿だった。

 

 ミジョンと再会しても、幸せと不幸せを行き来する生活は続いていたが、

ミジョンはそっとそれに寄り添う。

 そして、ミジョンは、自分に向かってきた人には、笑えばいいという。

ミジョン自身が、自分を苦しめた元カレを赦したように。

笑うという事は、自分を赦し、相手を許すという事だ。

 

荷物を持ち、コインを見つめた。

落ちそうな所で、留まっているコインは、まるで、自分のようだ。

自分に向かってきた人を消え去るために飲むお酒は、もう不要だった。

 幸せになる事を恐れず。幸せの後の悪い事を恐れない。

幸せを受け入れた時、その後にまた、幸せは続いていくのだと信じればいい。

 それが、ク氏の解放なのだ。

 

 

チャンヒ

劣等感の中で生きてきた。

お金がなく、車さえも買えなかった。

ク氏の高級車を一時的に手に入れた。

その車に乗っていると、心は広くなり、穏やかだった。

 劣等感というものは、なんとネガティブな感情を生み出すのだろうかと、

実感していた。

 しかし、人様の車を乗る事で生み出される余裕や、穏やかさは、

偽物だと気付くのだった。

 

 ソウルでのチャンヒは車ではなく、自転車を乗り回していた。

それは、高級車ではないが、自分に見合っているようも感じていた。

劣等感ゆえに、高望みしていたモノが、

自分を満たしてくれるとは限らないと知った。

 高級自動車も、コンビニ経営も、自分を満たさなかった。

自転車で走り、風を受ける。

自分が知りたいと思うものに出会う、自分がなりたいものになる。

 それが、自由であり、彼にとっての解放なのだ。

 

ギジョン

ギジョンはプライドが高く、今までも、自分に興味のない男性は冷たくあしらってきた。

自分の考えがすべて中心であり、

その事をまくしたてる事が多かった。

 けれど、そんな彼女が恋をしたのは、シングルファーザーのテフンだった。

 幼い頃の両親を亡くした事で、心は常に敗北者を強いられてきた。

 

自分を振った人間でありながらも、テフンは敬意を持って接してくれた。

その姿は、昔の自分の姿と正反対だった。

 テフンから、人としての品格を学んだ。

 

長女気質で、自分の考えが全てであるという思い込みは、彼女自身を

苦しめてきた。

 彼女自身の言葉や考えで、恋愛を躊躇させ、

見なければいけないものを、見えなくさせていた。

 

 両親を亡くした事で、弱さが身に付いていると打ち明けるテフンに、

ギジョンは、笑顔で「生まれてきた以上は、生きなくてはならない」と

言い放つ。

 あらゆる出来事に、色んな理由や批判や考えを練りこんでききたけれど。

人生は、もっとシンプルなのだ。

 シンプルで、ただ、謳歌すればいい。

 それが、ギジョンにとっての解放なのだ。

 

 

ヒョナ

ヒョナは、尽くす女だ。

尽くす事によって、自分の存在価値が認められるのだと思っていた。

そして、尽くすだけではなく、完全な見返りを求めた。

 尽くした分だけの愛を求めた。

 それは、駆け引きであり、計算であり、異常なまでの欲望だった。

それらの感情は、ヒョナを疲弊させた。

 尽くしたもの以上の愛を求め、その愛が空になっても、求め続けた。

 

チャンヒにも、その愛を求めた。

母を亡くし、弱っているチャンヒを支え、これなら、うまくいけると思った。

 けれど、チャンヒはいつまでも、誰かに依存する男ではなかった。

 チャンヒはヒョナが求めるような男にはならなかった。

そして、昔からヒョナを知っているチャンヒは、彼女の特質を理解し、

それを、歯痒く思っていたに違いない。

 

 尽くさずとも、生まれる愛を信じて欲しいと。

求めなくても、生まれる愛を信じて欲しいと願った。

 

 久しぶりに会ったヒョナは、少し、明るい表情になっていた。

自分を1番に知るチャンヒの言葉を、信じてみようと思ったのかも知れない。

 

 春がくる、夏がくる、冬もやってくる。

同じように、やってくる愛を、受け入れてみようか。

 それが、ヒョナにとっての解放なのだ。

 

 

ミジョン

ミジョンは

被害者意識の強い人生だ。相手の悪い所に目がいきやすく、

なおかつ、1ツイヤな所があれば、

それで拒否反応を示していた。

そうする事で、彼女は更に孤独になり、

視野はどんどんと狭まっていた。

 けれど、嫌いな事を嫌いとは言えず、表で笑い、

心の中で毒を吐いてきた。

 愛して欲しいという気持ちは強いが、そこまで自分が愛した事もない。

満たして欲しいと願いながら、自分も満たした事がないと気付いた。

 

 自分を苦しめてきたはずの元カレが、痴漢に間違われていた時、

ミジョンは彼を救った。

人を赦せばいい。

ミジョンは、ク氏に、伝えた。

 自分に向かってきた人を、笑って歓待すればいい。

人を赦せば、自分も赦されるのだ。

 

 愛も怒りも、赦しも。

すべてが自分の想うがままに。

 人の目も気にせず、愛した人を愛せばいい。

それが、ミジョンの解放なのだ。

 

 

・・・という事で、

それぞれの解放があるとは思うのだけど、

とにかく、共通する事は、

シンプルな愛でいい・・・・って事なんじゃないかな・・・と思った。

 

愛や幸せという感情に、色んな足かせをつけて、

愛を複雑化している。

 もっともっと、シンプルに。

 

チャンヒのこの言葉が、印象的だった。

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だから、この世は、

愛情の有無がすべてなんだ