【邦画】星の子 ネタバレ感想 | ROUTE8787 サンサクキロク

ROUTE8787 サンサクキロク

好きなものを好きなだけ。
韓ドラ狂騒キロク
映画と音楽とドラマがあればいい

星の子

2020年10月 110分

NETFLIX

☆☆☆

image

 

 

 

    

エンターテイメント的な面白さよりも、

信仰2世のリアルさを追求した作品

 

 

あらすじ 

大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治したという、あやしい宗教に深い信仰を抱いていた。中学3年になったちひろは、一目ぼれした新任の先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、そんな彼女の心を大きく揺さぶる事件が起き、ちひろは家族とともに過ごす自分の世界を疑いはじめる。

 

 

ネタバレ感想 

芦田愛菜さんは有名なんだけど、

正直、作品を観たことはなくって。

 どんな演技なんだろ??と思って観てみたら。

 

凄く上手で、ビックリした次第。

 

 とにかく、自然で、新興宗教を信仰している両親に、

愛情たっぷりに育てられてる感が、凄かった。

 

だからこそ、葛藤のシーンや、

それとは逆の、両親を信じるというシーン。

その両極端なシーンも、違和感なく受け入れられた。

 両親を恥ずかしく思うちひろも、

両親が大好きで、そこから逃れようとは思わないちひろも、

すべてのちひろが、理解出来る。

 その下地を、充分に表現出来ていた。

 

 「信仰2世」という呼ばれ方があるらしい。

親が信仰しており、その影響を受けて育つ子供たちだ。

image

ちひろの両親も、ちひろの病気がキッカケで、

新興宗教にハマっていく。

 生活状況から、宗教によって貧困に陥っている事は明白で、

姉は家を飛び出している。

 両親は優しくて、愛情に満ちている。

 ある日、ちひろが恋心を寄せる先生に、両親の事を知られてしまう。

image

この時の、芦田愛菜ちゃんの演技が、本当に素晴らしかった。

 

さて、この作品、本当に、ラストシーンが難しい。

親子3人、星空を眺めるんですけどね。

 最後の判断は、視聴者におまかせ!!って、丸投げなのYO!

 

そう、私の嫌いなヤツ!

 

でも、それも仕方がないな・・・とも思う。

答えがきっと1ツじゃないと思うから。

 宗教問題を抱える家族の形は、

その宗教の性質、関わり方・・・様々な程度によって、

千差万別なんだと思う。

 

 この作品の最後も、捕らえ方としては、

①子供を宗教へ導こうとする

②子供を自由にする

③両親との決別

 

・・・という、全く反対の可能性を示唆して終わるワケなんですよね。

 

①については・・・・

信仰宗教の悪い噂を聞く中で、両親と幾度となくすれ違うちひろは、

非常に不安になる。

 そして、突然、星を見ようとする両親。帰ろうと促すけれど、

両親は、ちひろを山奥へと連れていく。

 この不穏な感じは、両親が、ちひろを宗教へと取り込もうとしているようにも思える。

がっちりとちひろを抱きしめる最後のシーンは、

娘を手放さないという表れか。

 

②については・・・・

娘が自分たちの宗教で苦悩している事を感じ取っていた。

姉は、家を飛び出し、自分の幸せを見つけている。

子供が生まれたという情報が、その証拠だ。

ちひろの叔父が、心配して、彼女を引き取ろうとしている話も知っている。

ちひろの高校は遠方だ。これを機会に、娘を自由にさせようか。

 がっちりとちひろを抱きしめる両親。

それは、別れ難さの表れかも知れない

 

③については・・・・

 新興宗教の不穏な情報や、両親がいないだけで不安を感じてしまう、ちひろ。

ついには、両親とともにいる事さえも、不安を感じてしまう。

 姉は家を出て、幸せに生きている。

 自分は?

彼女の中で、「自立」という文字が浮かんだのかも知れない。

 

 ①か②かな・・・と思う。

ちひろ本人が決断するという感じではないよね。

 いずれにせよ、この3人は、一緒にはいないという感じがするのは、

3人が一緒に流れ星を見る事が出来ないという点ではないかな??と思う。

 相容れることはない3人を表現していると思うんだよね。

 

 ②はないかな・・・と思う。

そんな簡単なモンじゃないと思う。

子供を手放すなら、それと同じ位、宗教について悩むと思うんだよね。

 けれど、両親は、これっぽっちも悩んでいない。

 両親の優しさや愛情と同じように、揺るがない信仰という不気味さが、

②という選択はないのかな・・・と思わせる。

 

 まぁ・・なら①かと。

 でも、娘を取り込もうとする、宗教独特の怖さを、

この両親は片鱗も見せないワケですよね。

 そこが、妙にリアルではあるんだけど。

 

 こういう終わり方は致し方ないかなぁ。

逆にね。

最後、子供を拉致して、洗脳したりしたら、

すっごく、強烈な作品になったと思うけど、

そうしなかった辺り、

エンターテイメント的な面白さよりも、信仰2世抱えるもののリアルさを

えがいているように思えて、

好感の持てる作品に仕上がっていた。

 

しかし、叔父さん、ええ人やね。

image

そして、南先生・・・・

こういう役やらせたら、天下一品だわよね。

image