さがす

2022年1月公開

123分 ☆☆

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  あらすじ

原田智(佐藤二朗)は、中学生の娘・楓(伊東蒼)と大阪の下町で暮らしていた。ある日、彼は娘の楓に指名手配中の連続殺人犯を目撃したと告げ、その翌朝突然姿を消す。警察は本腰を入れて捜索してくれず、楓は自分の力で父を捜して歩く。ようやく日雇い現場に父親の名前を発見して訪ねて行くと、そこには全くの別人の若い男性がいた。

 

  キャスト

原田智役/佐藤二郎

その日暮らしをしている。
ある日、突然姿を消す
上差し佐藤二郎さんですね~。どうしても、福田監督とセットのイメージ。
福田色の強い、佐藤さんのキャラは、あまり好きではなくて・・・・
シリアスな役を見るのは、久しぶりな気がする。

 

原田楓役/伊東蒼

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原田の娘 だらしない父親を厳しく支える

しっかり者

上差し「湯を沸かすほどの熱い愛」や最近では「空白」で

かなり存在感のある演技をされていました。

 

山内照巳役/清水尋也

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指名手配犯 ツメを噛むクセがある

 

ムクドリ役/森田望智

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自殺願望者 

 

  感想

けっこう絶賛されている方が多いので、期待値が高かったかな。

 出だしは良かったんだけどね。

 

最後まで観て思ったのは、なんというか、

ごちゃごちゃしていて、筋がしっかりと通っていない感じがね・・・。

 

ミステリ-としては・・・・

 奥さんを殺した所で、何故、そこが問題視されないんかな~という疑念がね。

途中、ベッドから自分で首吊っているなら分かるけど、

あんなにも動けない人が、あの縄を準備して、自殺出来るんんかな?

 当然、警察もその辺り調べないんかな?

 

父親がいなくなっても、役所は全然取り合わないのも、

なんだかな?と思う。

確かに、警察がその対応なら分かるけど、

中学生の娘さんをどうするかって、役所として動くべきなんじゃないの?

 そういうの全てが、学校の先生まかせって言うのも、おかしいやろ。

 

 最後、ムクドリを絞め殺したけど、原田の指紋はどうなったんだろう?

いくら、警察が馬鹿といえども、賞金をあげたりと、

そこまで、完璧な犯罪だったかな?と思えるんだよね。

 メールでやり取りしていたのは原田だし、その辺りも調べられていないのかな?

  変人じーさんの家で、あんなに堂々と生活してたり。

 あまりにも、ずさんなのにね。

 

 あと、原田の策略ってどこから?

始めは、ムクドリが再度連絡とってきたという嘘をついて、山内を呼び出すのかと思ったけど。

連絡も300万も、本当の話やったみたいで。

 うーん?それがね。

 だって、嘘ついて偽札みたいなの作って、300万にする必要ある?

で、車いすで移動も大変なのに、わざわざ。指名手配されてる山内にまた依頼してくる?

そして、警察はそういう連絡先を把握してないのかな?

 

山内の性癖

 白いルーズソックス、動かない人間に興奮するという事で。

絞殺にこだわっているワリには、じーさんを日本刀でって・・・

 山内の性癖について、ブレがあったのが、キニナルよね。

絞殺、吊り下げ・白いソックスでいって貰った方が、より異常性があったと

思うんだけどもね。

 ・・・・というか、山内よりも、このじーさんのが気持ち悪かったよね。

娘の存在

伊東蒼さんが、すっごく存在感を放っておりましたが・・。

大阪弁うまいな~と思ったら、地元が大阪みたいですね。

 

原田が妻を必死に看病している時に、娘が全く出て来ないのは、

何故なんだろう・・・・。

母親としても、一人娘を想い出している様子もないし、

生活の中にも、娘の存在を感じないのか、違和感やった。

骨壺を持ってるのを見て、「おったんや」と思ったくらい。

  山内目線、父親目線の中で、あまり娘が出て来ないせいで、

始めの存在感が薄れてしまっていた。

 逆に、胸を見せるシーンは、どういった必要性があったのかな?

しっかり者の楓が、同級生の男の子を胸まで見せて、付いてきて貰いたいタイプなんかな?

 楓の性格を見る限り、一人で行こうとするのを、同級生が無理矢理ついていく・・・という

設定の方が、納得したかな・・と思う。

 何かのインパクト目的での胸見せシーンなら。ホント不要だと思う。

 

原田の行動と感情

原田という人間は、お金に執着しているのか、

人助けという点で、山内に手を貸したのかが、曖昧。

 お金に執着して・・というワリには、金銭的に凄く切羽詰まっている感じがしないし、

むしろ、お金には寛容で、最低限の生活が出来ればヨシ・・・としているように見える。

 娘もまた、貧乏な生活に幻滅しているようには見えず、

おおらかな父親とともに、笑顔を見せているようにも思える。

 だから、急にお金に執着を見せても、なんか納得出来ない感じがあるんだよね。

 

では、人助け・・という点なのか?

確かに、病に苦しむ妻を解放した事や、

山内の言葉をそのまま信じて、

多くの人が死にたがっているのをほう助したと思い込んでて、

ムクドリを殺害した事から、人助けの快感に目覚めたのかも知れない。

(山内の、本当に死にたがったのムクドリだけ・・・という台詞を、

原田は聞いていない)

 それならば、そういった快感のシーンを、入れるべきじゃないかな?と思う。

 

妻を殺した後、原田は、どういった気持ちだったのか。

妻の死体に突っ立っているだけでは、分からない。

 もっといえば、どうやって、リハビリで働いている内山に、

殺人を依頼する事を決断したのかが描かれていない。

 ほう助を依頼する決定的に何かがあったのか。

 妻が死んだ事によって、原田にどういった喜びがあったのか。

 

その辺りを描かない事には、

平穏だったはずの日常を危険にさらせてまで、山内と同じ行動を起こそうとしたことを、

納得できない。

 

 そういった不明な違和感は、最後まで引きずる事になる。

娘にハメられて、通報されて、警察のサイレンが遠くから聞こえてくる。

 原田は、一体、何を思うのだろう。

娘と卓球をしながら、警察を待つ。けれど、

彼は、真実を知らないままだ。

山内が、結局、人を救っていたワケではない。

 誰もが、死ぬ事を否定して、殺されていたという事実を、

原田は知らないままである。

 

親と子の、長い長いラリーは、真実の応酬ではない。

原田がどれほどの、涙を流しても、

茶番の域を出ない。

 原田は、真実を知るべきで、山内に踊らされた自分の浅はかを呪い、

その代償として、娘を失った事を知るべきである。

 それでこその涙である。

そして、それこそ、表情の見えないラリーではなく、

表情ドアップで勝負して貰いたかった・

原田という人間の演じ方

 正直、福田監督とセットの佐藤二郎さんは、好きではない。

イライラするんだよね。

 本作では、そういうキャラを封印して、挑んでくれるかと思って期待したが。

やっぱり、ちょいちょい出てきてしまったので、

残念に思ってしまった。

 演出のせいかも知れないけど・・・・

 

指を噛もうとするシーンとか、早口で、喋ってしまう所とか、

腹を刺すシーンとか。

「軽さ」が、見れてしまう。

 もっというなら、始めのシーンで、金づちを振る練習シーンもだ。

自殺ほう助・看病・ALS・快楽殺人・・・と思いテーマを詰め込んでいるのに、

こういう軽さは不要だと思うんだけどね。

 

まぁ。。。それとは別に、佐藤二郎さんが、

原田という人間を完全に演じれていたとは思えなかったかな。

 行動する事への、その理由や感情が、伝わらなかった。

他の作品と比較してしまうと・・・・

「空白」では、出てくる人物像の台詞や説明が少ないのに、

その人の全てを感じれるような演技だった。

けれど、本作では、その余白が分からず、感情の移入がなかなか難しかった。

 古田新汰さんと、佐藤二郎さんの差が大きく出たように、

個人的には感じた次第。

 本作でも、完全に、娘を演じた伊藤蒼に軍配があったかな。

 

そして、同じような逃亡犯を演じたのは、

「怒り」の森山未來さんだったが、そちらの方が、よっぽどリアルだったように思う。

 逃亡犯としての緊張感が皆無。カタツムリを食べようとするだけでは、

リアルさがあるとは思えない。

 逃亡するのは、生への執着なのかどうか?

 執着する必死さが、山内にはなかった。

 

まとめ

全体的に悪くはない話だと思うけど、とにかく、いくつかの少しづつの違和感が、

積み重なって、最終的に、ブレのある作品になってしまったように感じる。

だから、どれほど(良いと思っている)シーンを入れても、上滑りな感じがするんだよね。

 

ラスト。

原田は、山内が撮影していた殺害動画を見て、

すべての人が「死にたくない」と拒否していた事実を知り、

自分の浅はかさを知って、慟哭する・・・という感じが良かったけどな~・・・

 

 そして、性癖のブレを生む、気持ち悪いじーさんの所は全カットで。

 そもそも、空き家の設定でいいやん?

気持ち悪い性癖を持つ人間は、一人でいいんです。

 

あ・・・あとね。

最後、クーラーボックスに死体??と思ったやん?

それが、実は、ビール冷やしてたってね。

きっと、2人の友情というか同志愛が、垣間見れちゃったりするんだけど。

 それで、ちょっと切なくなるには、

2人の関係性の深みが不足してるんだよね。

 それも、なんか、上滑りな感じがしたね。

  うーん。なんか、勿体無いね。