2014⑤ 東京家族(TV) ☆☆☆ | ROUTE8787 サンサクキロク

ROUTE8787 サンサクキロク

好きなものを好きなだけ。
韓ドラ狂騒キロク
映画と音楽とドラマがあればいい

山田洋次監督の、この作品。
山田洋次監督作品、「男はつらいよ」は、全く興味ないし、
観たことは無いのだけど、
「たそがれたそがれ清兵衛」からの、藤沢周平3作は、
どれも好きだ。
(「隠し剣 鬼の爪」「武士の一分」)
 その他の作品は、観ていないのだけど。

こちらの作品は、何だか、面白そうで、
気になっていた。

瀬戸内海の小さな島で生活している夫婦、平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)。東京にやって来た彼らは、個人病院を開く長男・幸一(西村雅彦)、美容院を営む長女・滋子(中嶋朋子)、舞台美術の仕事に携わる次男・昌次(妻夫木聡)との再会を果たす。しかし、仕事を抱えて忙しい日々を送る彼らは両親の面倒を見られず、二人をホテルに宿泊させようとする。そんな状況に寂しさを覚えた周吉は、やめていた酒を飲んで騒動を起こしてしまう。一方のとみこは、何かと心配していた昌次の住まいを訪ね、そこで恋人の間宮紀子(蒼井優)を紹介される。

  すっかり2時間もない映画かと思っていたら、
2時間半もあった・・・・。
 有名な「東京物語」と比べられているようだが、私は、
そちらを観ていないので、この映画そのものを楽しめたように思う。

 まぁ・・・面白かったかな・・・。
ただ、2時間半と長丁場で、途中間延び感がある。

 それでも、田舎町から老夫婦が上京し、
東京に住む子供たちの家を、転々とする。
 その設定が、今の時代にありそうで、ひきこまれる。
この3人の子供たちが、親を鬱陶しい存在だと思い、邪険にしているワケではない。
 上京する親を迎えに行く手配をしたり、
ご馳走で迎えようとする。
 それでも、自分たちの東京での生活が、最優先である。
 親を、ホテルに泊まらせようとしたり、
仕事を理由に、家に泊めれないと言い出す始末。

そんな状況は、今の世の中には沢山ありそうで、
その姿を、うまく描いているように思う。
 
だからこそ、ずっと、「寂しい」という気持ちが、
胸に残り続ける。
 いくら、心配の種だった末っ子が、結婚する相手を見付け、
安心した・・・という流れがあっても。
 子供たちは、親の心にすくう「寂しさ」に気付かない。
その孫も、気付かない。
 気付かないまま、この映画は、終わってしまうのだ。

この長男・長女、自らが年をとり、同じ境遇になったときに、
気付くのかも知れない。
 母親が急死しても、何ら気付かないまま。
長女が「(こんな急に亡くなるなら)上京してくれてて、 良かったわ」と、
母親と東京で過ごせたことを言葉にするが、
果たして、母親とどんな時間を持ったというのだろう。

 自分のしてあげたことは、「覚えている」が、
していないことは、「覚えていない」

 母親が、寂しい・・・と感じながら死んだとは、考えつかない。

 映画の中で、子供たちが、自分の両親への気持ちを、思いやるシーンが少しでも描いていたら・・・・。
 ただ、描かずに、突き刺さるような感情が、
視聴者の心に残留することが狙いなのかも知れない。
 自分は、どうだ??
そんな風に、問い掛けて欲しい・・・という事なのか。

とはいえ、親への愛情が絶対であってはならない・・と思っているわけではない。
「あああ・・・・こんな父親なら仕方ない」という事もあるに決まっている。
この映画では、橋爪功演じる父親が堅物だという設定だが、
妻とのやり取りから、そんな堅物さは見えてこない。
 子供は、両親の関係を見ている。
多少、堅物であっても、父親が母親に接する姿を重視する。
 この子供たちが、(本人たちには自覚はない)冷たさを、
持ってしまっていることに、違和感がある。
 両親と疎遠になってしまった理由が、この父親母親では、弱い。
 だから、余計に、両親擁護になってしまうのだ。

 という事もあって。
この映画は、末っ子に彼女が出来て、父親も、その彼女を受け入れ、
ヨカッタヨカッタ・・という最後だが、
私は、全く、「ヨカッタヨカッタ」ではない。
 この映画の本質は、末っ子の自立云々ではなく、
子供が親を想う気持ち・・・にあると思うからであって、
そういう面を見ると、何ら、解決していない。
  だからこそ、思った以上に、後味が悪いのだ。
 
 
キャストもいいんだけど・・・。

何と言うか、配役に無理があると言いますか。
 
まず、橋爪功と吉行和子が、68歳って設定・・・。
いやいや、年取り過ぎてるって(笑)
年取り過ぎてるから、末っ子の妻夫木くんが、まるで孫のようだし。
長男の西村雅彦との年の差も、大き過ぎて、違和感が。
 そして、妻夫木くんと、蒼井優カップルが、
なんか、時代錯誤的なイメージ。この2人だけ、
何だか、昭和(笑)
 そして、子役は棒読みで可愛げはないし(特に兄貴のほう)

何より、こぶ平・・・・・

いらんわ・・・・こぶ平。

こぶ平ちゃうな・・・林家正蔵。

下手くそ過ぎる。




・・・・という事で。
題材は、身近にあって、興味のひかれる内容であるが。
 最後の美しい海のシーンとは程遠いほどの、
後味の悪さを感じた。

 島に残された父親が、残りの人生をどうやって生きていくのか。
父親が一人であっても、子供たちは、今までと同じように、
離れた東京で生きていくのだろう。

 近所に住む、親族の方々が、
堅物だという設定の父親を慕い、食事や洗濯まで手伝ってくれる・・・という事に、
かろうじてホッとする。

 遠くの家族よりも、近くの他人・・・ということか。

結果、何となく、チグハグした映画という印象をもつ。


にほんブログ村