誰も守ってくれない ☆☆☆ | ROUTE8787 サンサクキロク

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好きなものを好きなだけ。
韓ドラ狂騒キロク
映画と音楽とドラマがあればいい




観たい観たいと思いながら、4年の月日が経っていたのね・・・・。

ブレイキング・バッドやら重いドラマばっかり観ていて、
ちょっと、休憩に、軽い映画でも・・・・

・・・とhuluを彷徨っていたら。

 「あ・・・そういえば・・」とコレを観てしまった。

どこまで、重いテーマが好きやねんっ。

・・・と自分にツッコミ入れたくなった。

 さすがは、君塚監督である。
出だしから、音楽にのっけて、スローで魅せる。
 美しい音楽、慌しい警察の動き、そして、何もまだ知らない志田未来の笑顔。
 
「面白くなかったら、止めよ~」と思うが、
出だしで、グッと心が掴まれる。


 そう・・・そんな風に引き込まれただけに、

勿体ない・・・・。

 君塚監督の、悪いクセが出たな・・・そんな風な映画である。

ホントに、惜しい映画である。


 あらすじは、未成年の兄が、殺人の容疑で逮捕され、
刑事である勝浦(佐藤浩一)は、その犯人の妹である沙織(志田未来)をマスコミなどから守るため、護衛につく。
 マスコミだけでなく、一般市民の未成年の殺人への糾弾もエスカレートしていく。
母が自殺し、兄が黙秘を続ける中、警察は、
殺人のあった日に、自宅にいた妹からの情報を得ようとする。
 また勝浦も、数年前に、尾行していた犯人が、目の前で少年を刺し殺すという事態になり、
そのトラウマを抱えて、加害者の護衛についていた。



・・・という、非常に興味深い話なのである。
 そして、素晴らしいのは、その俳優陣である。
こんな豪華な顔ぶれだとは、知らなんだ。
 佐藤浩一は勿論、志田未来 松田竜平 木村佳乃 佐々木蔵ノ介 柳葉敏郎 佐野史朗
 石田ゆり子


 さて。
物語は、加害者家族に焦点があたる。
有無を言わさずに、離婚・結婚の手続きをとらされ、苗字を変える。
加害者の家族の自殺が、世間の糾弾などにより、多発しているらしく、
警察がそれぞれ護衛につく。
 まるで、ドキュメンタリーのような撮り方で話はすすむ。
執拗に追いかけるマスコミ、ネットを通じて広がる個人情報。
 
 加害者の家族と、一人の刑事が、
心を通い合わせるまでの話。

 そう・・・・それだけで、十分、
見ごたえのある、重厚なテーマなのに。

 派手なことはせず、大袈裟なことはせず、
ただただ、粛々と、このテーマを描き続ければ良かっただろうに。

途中から、どうも、話は、派手に展開していく。
 今の時代、ネットで個人情報が拡散していくのも、有り得る話であるが、
なんか、やり過ぎ感が否めない。
 私としては、妹のところに入る友人のメールだけでも、
十分に、人間の怖さとか、興味の対象になる怖さとか、
そういうのを感じる事が出来るんだけどな~。

 辺に派手にネット拡散を描いていたりするから、どうも、
突然、リアリティがなくなるのである。

 大体、彼氏もどきの少年が、妹を連れ出して、
その姿がネットで生で流れるって、それって、有り得ないでしょー。

 君塚監督・・・・・なんでも派手に・大袈裟にする傾向があるもんな~。
 
そもそも、勝浦が一人で、中学生の女子を護衛って、
ちょっと無理があるよね。

嗚呼、私なら完全、佐藤浩一に恋してしまふ・・・・(えへ)

 しかもですねー。あれだけ自殺の危険性がある・・って言っておきながら、
ホテルの部屋は全く別だったりするし・・・・。
 いやいや、危ないでしょーよ・・・・。

 その上、加害者の妹を、自分の目の前で殺された被害者家族のペンションへ連れて行くって・・・・
 そりゃ、アンタ、そりゃ、ないよ・・・・。
 温厚なギバちゃんも、怒るで。
 ってか、このギバちゃんの、笑顔が、恐ろしいんですけど。
 

そして、佐々木蔵ノ介の、意味のよく分からないネットへの執着とか、
どうなんだろうね~。
 狂気みせる、鋭い演技をするだけに、
めっちゃ印象に残るんだけどね~。
 その辺りを描ききれていないのも、残念かな~。

で、結局、何も話さなかった妹が、
勝浦と心を通わせ、
殺人のあった日に、兄が風呂場で血を洗い流し、
自分に助けを求めてきたことを告白。

・・・って、アンタ、それ、黙ってたわけー!!

 1番の見所、勝浦が沙織を抱きしめ、
「お前が家族を守るんだ・・・」

いやいや15歳のコに、殺人犯した兄ちゃんと、
勉強勉強で兄ちゃんを厳しくしつけたという父親を守れってかー??
 その意味もわからんし。
でも、沙織ちゃんは「わかった」って頷いてるし。

私なら、

「兄ちゃんとお前は別だ。だから、強く自分の人生を生きろ」と言ってやりたい。


・・・という事で、結局、蓋を開けたら、
君塚ワールド一色の、いつもの映画になっておりました。
 テーマ・俳優が良いだけに、勿体ないことこの上ありません。

 
 そして、佐藤浩一のファンでもある私ですが、
密かに、松田龍平君も好きでして。
 やっぱり、いいですね~。あの独特のかもし出す雰囲気。
ぶっきらぼうな中に、愛のある演技が、なんて巧みなんでしょう。

 佐藤浩一の好きな私ですが、
松田龍平が、勝浦役でも、面白かったんじゃないかな~。
 佐藤浩一は、ありきたり・・というか。
松田龍平が勝浦役だと、ちょっと、また変わった映画になったような感じがするし、
多少、派手な演出も、ポップな雰囲気でまとめられたんじゃないかな~

・・・・と勝手に思ったりして。

 
 ともあれ、被害者にも加害者にも、
私たちは、その立場になる可能性を秘めている。
 他人事ではない。
 そういう気持ちでもって、あらゆるニュースに耳を傾けるべきなんじゃないかと思う。
 
そうすると、
果たして、何かのストレス解消のように、
匿名で他人を糾弾する気になるだろうか。

 自分が、責めて糾弾している見えない相手は、
明日の自分かも知れないのだ。



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