たんたん短歌305「我Ⅱ」(1)

 

 

重き荷の一升餅を手始めに背負った娘が我の手を引く

 

 

 

 「人の一生は重き荷を負ひて遠き道をゆくが如し」と昔の人が言ったらしい。例えば、我が子が一歳の誕生日にちょっぴり泣き顔で背負っていた一升餅(いっしょうもち)。それは、彼女たちの長い長い人生の最初に出会った試練だろう。

 

 そして、彼女たちは今、歩みが少しずつ遅くなってゆく私の両手を引いてくれている。慌てなくて良いよ、「いそぐべからず」だ。背負(せお)うことも無いよ、私は君たちの重荷には決してならない。

 

 

(2014.10.6)

 

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