「やっぱ”ま”だよね」

「「ま?」」

 

「そう間」

「間ってこと?」

 

「そ」

 

夕暮れ時

だんだんと暗くなってきた。

 

「床の間、茶の間、居間とかね」

「空間ってこと?」

 

「そ、その間合いっていうのかなあ。

それが大切だと思うんだなあ」

「なるほど、間合いかあ」

「スペースね、パーソナルスペースとか」

「そう、余りとか、遊びとか、糊代、とかさ、そういった部分」

 

夜の部に移ろうとしている。

席を立ち

宴の準備にかかる。

 

家主が離れて

残された二人は

マジマジとその空間を眺める。

 

都会の居酒屋のザワザワした雑音のない静けさ。

ゆったりと流れる時間が

新鮮であった。