「そもそもさ」

「はあ」

「一日3食って誰が決めたんだろ?」

「誰が?」

「オレたちってさ、当たり前のように朝食、昼食、夕食って食べてるけどさ

それって本当に必要なのかな?って」

「・・・・・・・・」

「腹減ったら食べればいいんじゃないか?って」

「まあ、確かに・・・」

「ふと思ったわけ」

「食育!とか朝はちゃんと食べろ!とか言うじゃないすか?」

「それもどうかなって思うんだわ。だって満腹の時と空腹の時ってどっちが頭が冴えてるか?」

「確かに満腹の時は眠くなりますよねえ」

「だろ?今から勉強だ!って時に眠かったらどうすんの?」

「確かに・・・」

 

ゴクゴクゴク

 

「ブッダとか断食とかファスティングとかちょいちょい触れるたびに

オレなりに至った結論なわけ」

「はあ」

 

ゴク

「「かんぱーい!」」

 

ゴクゴクゴク

 

「ふ〜 染み渡る〜〜」

「今日は昼何食べたんすか?」

「昼?昼飯?」

「そうっす」

 

ゴクリ

 

「食べてないよ」

「え?」

「食べてない朝も」

「あ、あさも!?」

「そ」

「ええ〜〜〜」

 

平気な顔をしてビールを飲んでいるオトコ。

枝豆を頬張りながら

 

「マジすか?」

「マジだよ」

 

ゴクゴク

 

「いつからすか?」

「そうだなあもう2年くらいかな」

「はああ」

「師匠言ってましたよね?」

「何が?」

「男は角刈りだって」

 

ゴクゴク

 

「言ったっけか?」

「言ってましたよ。だからオレもそうしてるんすから」

 

ゴクゴク

 

綺麗に刈りそろえた短髪のオトコが二人

カウンターで焼き鳥をつまみに飲っている。

 

「どこの床屋に行っても、座って『角刈り』と言えばいいんだって」

「ああ、そうだな。角刈りは基本の基本だから。カウンターに座って『ビール』っていうのと同じよ」

「角刈りでその店の良し悪しがわかるって言ってましたもんね」

「そういうこと」

「いつからっすか?」

「そうだな。文太の兄貴に憧れてだからなあ」

「トラック野郎っすか?」

「いや仁義なきの方」

「へえ」

 

ゴクゴク

 

「ヒロキさんやタツオさんじゃなくてブンタさんなんすね」

「そりゃそうよ」

 

オトコと角刈り

オトコは角刈り

オトコなら角刈り

「師匠」

「ん?」

「前に教えてくれたじゃないですか」

「何を?」

「迷ったら面白い方を選べって」

 

ゴクゴク

 

「言ったかなあ」

「言いましたよ」

 

ゴク

 

「よく

『道が二つあったら険しい道を選べ』とか

『道なき道を行け。その足跡が道となる』とか

『チャレンジしろ』とか

『楽な道に流されるんじゃない』とか

色々言われてじゃないですか」

「そうだな」

「意識高い系の人ってそれをモチベーションにするというか

それはそれでいいと思うんですけどね」

「けど何だよ?」

「やっぱ面白いことっすよね?」

「ふむ」

「面白いことこそがサイコーのモチベじゃないですか!」

「ふむ」

「そして面白いって思える感性こそがサイキョーだってことっすよね!」

「そだな」

 

ゴクゴク

「EVと脱炭素っすね」

 

ゴクゴクゴク

 

「電気自動車も脱炭素も世界的に転換期じゃないですか?」

「電気自動車はまあまあだけど脱炭素は結構日本もやっちゃってるんじゃない?」

「そっすよねえ」

 

ゴクゴク

 

「もちろん排気ガスをあんまり出さないにこしたことは無いと思うんですけど、そもそも日本車って性能いいわけじゃないですか」

「だよな」

「さらに燃費もいいわけだし」

「確かに」

「ハイブリッドとかスカイアクティブとかそういった技術を世界に売り出すでいいと思うんすけどね」

「あとさ」

「はい」

「原付バイクの話ってどうなのよ?」

「それもそれっすよね」

 

ゴクゴク

 

「スーパーカブは日本が誇る文化っすよ」

「だよな?」

「原付と軽自動車はもっと評価されていいんですよね」

「そうだよ」

 

ゴクゴク

 

「世の中でも稀に見る環境国である日本を自他共にっていうよりまずは自が改めて認めるってことが大事なんじゃない?」

「そうだなあ」

 

ゴクゴク