スコアブックに載らないプレイ | 無何有郷を目指して~Heading for Utopia.~

無何有郷を目指して~Heading for Utopia.~

新米少年野球監督のブログです。

野球のこと、自分で作るお弁当、家族で行くキャンプなどなど

長男達の5年生チームが市内新人戦トーナメントの二回戦、準決勝のダブルヘッダーを勝ち抜き決勝に駒を進めました。私は低学年チームの大会があったので二回戦は見ることができなかったのですが、準決勝は途中からですが、見ることができました。


準決勝戦、第一試合で右腕エースT君が登板したのでこの試合は左のH君が先発。H君は体は小さいけどセンスがよくピッチングフォームもバッティングフォームも凄いきれい。ただ、難点はメンタル面が弱く、それが低学年チームの時からの課題でした。この試合でもその悪い癖が出てしまい立ち上がり制球が定まらず、ミスも出て序盤で3点のビハインド。


ただ、見ていても確かに3点は取られたものの、カバーリングや声かけはしっかり出来ており、失点を最小限で食い止めている。攻撃面でもちょっとした判断ミスやあと一本が出ずに得点できないでいたが、どの子も全力疾走を怠っておらず、守備でも攻撃でも、「この調子なら絶対に逆転できる」と確信のようなものを感じながら見ていました。


この試合いくつもいいプレイがありました。


その1

センターは低学年チームのキャプテン4年生。この子がノーアウトランナー無しの場面からセンター前のゴロの打球を積極的に一塁に送球するというプレイが2回ありました。二つとも惜しくもセーフとなりましたが、このプレイに対し、ライトとキャッチャーが一塁カバー、レフトがセンターカバーにしっかり入っていました。

仮にセンターが後逸したとしてもツーベース止まり、一塁送球が悪送球になってもおそらくバッターランナーは2塁には行けなかっただろうというプレイでした。外野手が自分の肩をひけらかしたいから無理して1塁に投げるのではなく、しっかりカバーに入っているからこそ思い切って突っ込んで打球処理も出来るし、思い切って1塁送球も出来る。相手のバッターは打った瞬間はクリーンヒットと思ったでしょうが、1塁を駆け抜けてやっとセーフ。相手に余裕を与えない攻めの守備です。

実際、この他にいずれもランナー無しから2本センター正面への強いライナー性の打球が飛び、少年野球ではよく見かけるワンバウンドが頭を越されるというヒットになってしまいましたが、それにはレフト、ライトのカバーが早く、二つともツーベースにとどめました。


その2

1アウトランナー2塁から、バッターの当りは一塁寄りのボテボテのピッチャーゴロ。送りバントのような形になりましたが、セカンドの1塁ベースカバーが少し遅れ、送球が一塁線に抜けたが、ライトの低学年チーム副キャプテン4年生がしっかりカバーし、バックホーム。送球がやや左にそれたものの、回り込むランナーにうまくタッチし間一髪アウト。これが入っていたら相手チームの4点目差になるところだっただけにビッグプレイでした。


その3

攻撃面では小刻みに得点し同点となった後の6回裏、1アウトから長男がレフトオーバーの3塁打。スクイズ警戒の相手バッテリーが二人歩かせ1アウト満塁の大チャンス!


初球ボールの後の二球目。スクイズのサイン。


相手バッテリーがウエスト。バッター飛びつくもファールチップが精一杯、ボールはキャッチャーのミットの中へ。


一瞬「やられた!」と思いましたが、3塁ランナー長男すばやく戻り3塁セーフ。


まさかサインの見逃し?


試合後に聞いてみたところ。投球の瞬間、スタートを切ったところで相手の3塁ベンチから大きな声で「外せ!!」という声が聞こえてキャッチャーが立ち上がるのが見えたので第2リードで自重したそうです。

もし、バッターがうまくバットに当てて転がしたら、満塁ですから本塁フォースアウトの可能性もあったわけですが、サインを見破られるというベンチのミスを子供が自分の判断でうまくカバーできたプレイだと思います。


その4

仕切りなおしのバッターは結局サードゴロで本塁フォースアウト。2アウト満塁、次の打者は5年生のR君。R君はこの大会を最後に中学受験に専念するために退団することが決まっています。ベンチからも大きな声援がかかりました。R君の打球は同じくサードの前へ。決して当りは良くありませんでしたがバウンドの高いゴロ。打球を見た瞬間相手ベンチからは安堵の声、自軍ベンチからは落胆のうめきも聞こえましたが、R君はあきらめず1塁へ全力疾走!!すると、相手サードはあわてたのでしょうか、送球はファーストの頭上を越えました。ライトのカバーも遅れ後逸、満塁のランナーが次々ホームに帰り6-3の逆転!!


うちのチームは試合を通じて全員がどんな打球でも全力疾走をしていました。それが相手に少しずつプレッシャーを与え、2アウト満塁という場面でこのエラーにつながったのではないかと思います。


もしこの時に相手ライトのカバーがしっかり入っていて1点差で最終回を迎えることになっていたとしたら、逆に最終回の守りではうちが受けるプレッシャーも大きかったかもしれません。しかし、3点差あるということで5回からマウンドに上がっていたエースT君も落ち着いた投球が出来三者凡退で試合終了。見事逆転勝ちを収めることが出来ました。


この試合、ヒット数は相手の方が多かったですが、カバーリングや全力疾走、声かけというスコアブックに載らないプレイがうちのチームは良く出来ていたと思います。


長男達の代は、私が低学年チームの監督になった最初の学年です。低学年チーム時代から守備の面ではまずはひとつのボールを全員で守るという意識付けとカバーリングの重要性を教え、そして攻撃では野球はランナーがホームに帰ってきてはじめて得点になるという当たり前のことを何度も何度も繰り返し話し、ヒットを打ったことに満足せず、逆に凡打やフライを上げてもあきらめず常に全力で走ることの大切さを教えてきました。

そしてカバーリングや凡打しても全力疾走をちゃんとできた子にはその事を褒め、逆にヒットを打ってもそれを喜んでちゃんと走っていない子には厳しく指摘するようにしていました。

それらは誰でも出来るプレイであり、スコアブックに載らないプレイかもしれませんが、ファインプレイやホームランを打つことよりも尊いプレイであり、トンネルやバンザイのエラーをしてしまう事、空振り三振してしまうことよりも残念なプレイであると思います。



長男達の代が高学年チームに上がってからなかなか練習を見ることが出来ませんでしたが、今回の試合を見て、そうした私が大事だと思っていたことをちゃんと忘れず出来ていることをうれしく思いました。


決勝戦は今度の土曜日。相手は低学年チーム時代からの宿敵Jチーム。低学年チームは市内大会準優勝が最高でしたが、ぜひ今回はこの学年での市内初制覇を達成してほしいです。