ブログ、エッセイ、学術論文でもうすでに何万回とされてきた安直な日伊文化比較を、ここでも講じさせていただけるのなら、サンレモ音楽祭は日本でいうところの紅白歌合戦だろう。そして今年の司会は明石家さんまとみのもんたを足して2で割ったところのパオロ・ボノーリスだったことも愚論のついでに付け足しておこう。そのサンレモ音楽祭で新人賞を獲ったのが、件の楽曲Sincerita'であることは、前回でもう述べられているが、それに伴うArisaのブレイクは、この音楽祭がいまだに持つ、社会に対する根強い影響力を表している。そして賞に選ばれた楽曲も今風のポップスではなく、確かな歌唱力で歌われるイタリア歌謡である。声質もどこかなつかしい60年代の女性ボーカリストのそれを思わせるではないか。そんな楽曲が、おしゃれにデザインされたジャケットと共に、大型CDショップで平積みされているという図からも、潜在的にイタリアという国が伝統的な歌文化を保持し続けていることがわかる。前回のブログを読んで知ったことなのだが、Arisa自身が影響を受けたと言及しているアーティストはマライア・キャリー、マイケル・ジャクソンにネックやサブソニカという、いわゆる時代時代の流行にのったポップスである。それでも彼女をフィルターにして出てきたのは昔ながらの歌謡曲なのである。30年後に聴いても、ナツメロとしてではなく名曲と認定できるのはこのような曲なのだろう。(代助)