一面
緑にかこまれた

見上げれば
緑茂る先に
小さな空

足元には
名も無き小さな花が咲く小道

早朝は
靄がかかり

その濃密な空気には

草の匂い
小川の匂い

そして息をひそめる
生き物達の匂い



幼少期
そんなところで暮らし

昭和三十年代後半
両親も
高度成長期の波に押されて
都会に移った

その後
田舎に住み続けた
親戚を何度も訪れ

大好きな田舎を味わった
その田舎の叔母さんが
亡くなった

昨日は
最後のお別れに
車を走らせた

私の父の妹

激動の時代に生き
さぞ、たくさんのご苦労が
あったことでしょう

あぁご苦労様
ありがとう

親兄弟とお会いに行かれたのですね




少年期
この叔母さんが
田舎の追体験をさせてくれたから

今の暮らしを選んだ
自分が有ったんだ

そんな事を
帰りの山道
車を走らせながら
考えていた