ある日の出来事。 | シェスギmyブログ

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三重県北部で夫婦2人で
営業しているフランス料理店です。 
1997年開業。
ウェディングケータリングも
しています。

とある ランチの日。

お客様が一旦落ち着いて、
ひと息付きかけとき、
お客様が
いらっしゃいました。

お二人とも、中高年の方です。





「いらっしゃいませ。
お二人様ですか?

どうぞ、こちらのお席へどうぞ。」



席に案内し、メニューの説明を
する。



「今日のコース料理の魚料理は
スズキのポワレになります。

お肉料理は 鶏胸肉の煮込みです。
その他、黒毛和牛や仔羊、鴨は
アップ料金で
お召し上がりいただけます。」



「あら、困ったわ。
お肉料理、鳥肉なのね。
他の料理にできるかしら?

鳥肉がダメなのよ。」



「少々お待ちください。
厨房に確認してまいりますね。」



そう言って、一旦厨房に
に聞きにいったものの、
案の上、シェフには
代わりの肉料理は
ないから、
アップの黒毛和牛とか
進めて!

との事。


結局、お二人とも、
魚料理に落ち着きました。



(鳥肉、嫌いな方、結構いらっしゃるんだよね。
皮のブツブツが嫌いとか。

うーん、この場合は
予約でもどうしようもないだろうな…


嫌いなものはしょうがないよね。)


たまに、嫌いな食べ物を
変えていただきたいという
お客様はいらっしゃるので、
そんなに
気にしませんでした。




しかし、前菜を
もっていった時に
そのお客様がおっしゃいました。




「ごめんなさいね。
何度もバタバタさせて。

自分が幼い頃、家でニワトリを
飼っていたの。

食事の時にニワトリを食べるときも
あったんだけどね、

殺すときの
鳴き声と、血なまぐさい匂いが
子供心にショックで…
鳥肉が出ると

今だに
その時の
想い出がよみがえってきて

どうしても たべれないのよ。」





ハッ…!


そうだったんだ…

このお客様は、
食わず嫌いでもなく、
鳥の皮についてる肌のブツブや、
毛が嫌いとか、食感がダメとか

その‘もの’が嫌いなのではなく、


…想い出がよみがえってきて…


‘嫌い’

になったんだ。








それは 私にとって

カルチャーショックでした。



また、あるときは

「昔、自分が幼い頃、

食べ物が胡瓜しかなくて

胡瓜ばっかりたべていたから

いまでは胡瓜が大っ嫌いに

なったんじゃ。

胡瓜は必ず外してくれ。」

という方もいらっしゃいました。








食べ物は

ふとした時に

人生、というとオーバーですが、

その人の生きてきた

足跡みたいなものを

垣間見ることがあります。






想い出と 嫌いな食べ物。



お客様の “ 嫌い ” を、

もっと真摯に受け止めないと

いけないな、と

思った



“ある日の出来事” でした。





日差しが秋です~もみじ

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