昨年、ネットやニュースなどでも取り上げられていた、埼玉県営水上公園での水着撮影会のことを、みなさんは覚えていらっしゃるでしょうか。

 

県はこの間、今後、埼玉県営水上公園における水着撮影会のあり方を、「在り方検討会」のなかでに話し合い、この度「提言(素案)」をまとめ、パブリックコメントを募集しています。

 

ほんの10ページ程度の提言なので、みなさんもぜひ読んでください。そして意見を送ってください。

 

私は提言を読み、埼玉県営水上公園を水着撮影会に貸し出す場合、懸念されることがとても多く、また県としても、リスクが大きいことがわかる提言だ、と思いました。

 

いろいろルールを決めても、それが、きちんと守られるとは言い難い、ということが、提言のいたる場所から、痛いほど読み取れました。

 

●公然わいせつのほう助罪が問われるおそれがある

たとえば7ページに、こうあります。

公序良俗に反するような過激な水着やポーズを認めることには慎重であるべき」

「その水着やポーズにより仮に公然わいせつ罪の成立が懸念されるような場合には、協会側もほう助罪に問われるおそれも出てくる」

乳首や性器が露出する可能性のある水着やポーズは不許可とすべき」

 

●『有害役務営業』に該当するおそれがある

8ページには、こうあります。

「水着撮影会におけるモデル撮影は『有害役務営業』に該当するおそれがあるため、18歳未満の青少年の出演は禁止すべきである」

 

●より厳格な監視を行う必要がある

また同ページに、こうあります。

「モデル及び撮影者の年齢は、主催者が責任をもって確認すべき・・・協会は・・・年齢制限に抵触するものは参加させない旨の誓約を受けることが必要」

「主催者が・・・自主的に監視することは・・・大前提」

「協会側としても・・・より厳格な監視を行う必要がある」

 

●なにかあっても即時中止は困難

8~9ページにかけて、こうあります。

「しかしながら実際の運用を考えると・・・(指導に従わない場合でも)即刻中止は困難と考える」

 

これだけ、さまざまなことが懸念されるイベントだということを、県はよくわかっています。「公共の福祉の増進に資することを目的とする」県営の都市公園を貸し出す場合、なにを判断基準にしていくか。どういう立ち位置でいることが大事なのか。深く考えさせられます。

 

水着撮影会は、インターネットで調べていただいたらよくわかりますが、大勢の男性が、数万円のお金を払って、水着姿の女性を思う存分カメラにおさめることができるイベントです。以前、東京新聞で寺町東子弁護士が「子どもは自分が性的に消費されることを理解するのが困難」と指摘していますが、もしも写真撮影会に、18歳未満の女性が出演した場合、児童ポルノ禁止法や埼玉県青少年健全育成条例にも抵触するおそれがあります。

 

埼玉県青少年健全育成条例のなかには、『有害役務営業』として「専ら客に異性の姿態を見せる役務を提供する営業」とありますので、県としても、そこに抵触するおそれがある、と認識しているのではないでしょうか。

 

県が、もしも水着撮影会に県営水上公園を貸し出さなかった場合、それは、表現の自由や職業選択の自由を否定するものではない、と思います。

 

提言のなかで「正当な理由がない限り、利用を拒むことはでき」ないとあります。

 

水着撮影会の開催を許可した場合、ほう助罪が問われる可能性を否定できず、『有害役務営業』に該当するおそれがあるため厳格な監視が必要で、かつ、何かあっても即時中止させることが困難だ、という提言を読み、私は、あらためて、県として貸し出すことは、やめるべきなのではないか、と感じました。

 

どうしても事業者の方たちが、水着撮影会をやりたい、続けたい、ということならば、県営ではなく、民間のプールを借りて開催すればいいのではないでしょうか。

 

また、提言を読んで気になったことがあります。

 

近隣他県では、県営公園で同様のイベントを開催していない、とあるのですが、その理由は何かを、近隣他県に調査した形跡が、提言のなかには、まったくありません。とくに調査をしていないのでしょうか。貸し出さない理由が、それぞれあるのではないかと思います。ぜひ、調査していただきたいです。

 

また、「在り方検討会」のメンバーは5名のようですが、メンバーに女性が何人いたのか気になりました。女性が一人もいないとしたら、大問題だと思います。

 

みなさんも、ぜひ、提言を読んで意見を送ってください。締め切りは2月6日㈫です。


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