昨日1月23日(火)の午後1時半から開かれた上尾市議会の文教経済常任委員会を傍聴してきました。

これから進められようとしている小中学校統廃合のための実施計画(案)の中身を、文教の委員になっている市議に説明する、というのが、今回の委員会だったわけですが...

説明を聞いて、驚愕でした。
具体的な驚愕ポイントは、以下です。

●平方北小学校の廃校が前提の計画案
平方北小学校は各学年が1クラスという「小規模で危機的」だとし、「すぐにでも解消すべき」とし、はなから、平方北小学校の廃校を、当然のこととして説明された。議論の余地無しという空気感。

なにが危機的なの?という感じだ。

小規模によるデメリットとして示されたのは「クラス替えができない」ということのみだった。そのなにが問題なのか、さっぱりわからない。

●大規模化した学校への改善策が無い
児童が1000人規模となっている大規模な学校への改善策が全く示されていない。

いま大規模な学校では、不登校やいじめ、子ども同士のトラブルなど、深刻な問題が増えている状況だと聞いているが、大規模化した学校の「危機的」な状況について、いっさい触れられていない。

大規模な学校では、先生たちが努力しても、子どもたちに丁寧なサポートがなかなかできない。ひとりひとりに寄り添う心の余裕も時間もない。

教育委員会の言う「子どもたちが毎日、行きたいと思える学校」にするには、大規模の「危機的」な状況こそ早急な改善が求められているのではないか。

●協議会で廃校の結論を短期間で出す
3月議会に提案する条例(いわば平方北小を廃校にする協議をいち早く進めるために15人程度からなる協議会をつくる)の目的は、「学校規模の適正化」「小規模の解消」だという説明だった。

「複式学級になりそうなので、すぐにでも小規模を解消すべき」とし、協議会では5年かけず短い期間で話し合い結論を出していく、という説明だった。

小規模は悪。
はたしてそうなのか?

●教育委員会の決定権を強調
「地元住民との意見交換の場が必要ではないか」「プロセスが不透明だという声が出ているが、どう考えているのか」という井上じゅんこ委員の質問に「意見をどこまで踏まえるか。教育委員会が最終的に決定する。地域の意見は、さまざまな媒体を使って聞いていく」という説明だった。

●保護者や住民からとったアンケート結果が未公表で実施計画案に生かされているのかまったくわからない
これまで市は、平方北小学校、尾山台小学校、大石南中学校の保護者、及び、平方北小学校と尾山台小学校の学区内の未就学児の保護者、さらに平方北小学校と尾山台小学校に隣接する学校が学区の未就学児の保護者に、アンケートをとっている。

しかし、アンケート結果がいまだに公表されていない。「公表は間もなくする」という。これでは、アンケート結果が、実施計画案に反映されているかも検証できない。

市は「アンケート結果を踏まえて、協議会のなかで検討していく」と説明。なんのためのアンケートだったのかと、怒りしかない。

●小中学校の校舎をハード面でも一体化する
これまでの市の説明では、ソフト面での小中学校の連携を進める、という説明がされてきたが、なんと、ハード面で校舎を一体化させることが示された。

これまでの話し合いや説明は、一体なんだったのか。

地元でいえば、太平中学校と平方東小学校が隣接しているが、両校の間に今あるフェンスを取っ払って、ひとつにしてしまうというイメージ。

両校で、グラウンドや施設を共有すれば、最大限の教育効果が引き出せる、などと市が思っていたとしたら、これは大間違い。

そもそも、小さい学校を廃校にし、統合して大規模化させた小中学校をハード面でも一体にしたら、こどもたちが使える施設は、今以上に限定され、教育活動に支障をきたすことは、火を見るよりも明らかじゃないだろうか。

●エアコン設置、平方学童の校内整備はずっと先の話
「特別教室や学校給食調理室へのエアコン設置、平方学童保育所などの学校内整備について、実施計画ではどう位置づけられているのか」と井上じゅんこ委員が質問した。

市の説明は「特別教室へのエアコン設置は、昨今の猛暑もあるので、快適な学校を目指すという実施計画のもと必ず対応していく」「学童については、一学校一学童(第一学童については校内に設置する)と市は決めている。学校施設更新の際に、進めていく。給食調理室については、給食提供の方式(センター方式など)の変更について検討しながら、学校施設更新の際に、これもすすめていく」というものだった。

つまり、特別教室へのエアコン設置は、もしかしたら、すこしずつ進むかもしれないが、平方学童の校内整備や、給食調理室へのエアコン設置は、まだまだずっと先の話だ、ということ。

ちょっと待って!!!

今いる子どもたち、今はたらいている職員・教員のために、心地よい環境整備をすすめるのが市のやるべきことではないのか。

●そもそもこんな重大な問題を文教経済常任委員会だけで検討しているのはおかしい
委員会を傍聴して、心底感じたのは、こんな全市的に影響の大きな計画案について、文教経済常任委員会だけで検討するのは、おかしいということ。

すべての市議に、きちんとチェックしてもらうためにも、市議を集めて説明し質疑ができる全員協議会を早急に開く必要があるのではないか。


市は説明のなかで、なんども「子どもたちが毎日、行きたいと思える学校に」「新しい時代の学びにふさわしい学校に」「魅力あふれる学校に」と繰り返しました。

魅力あふれる学校って、市はどういうイメージを持っているのだろうかと説明を聞いていたら、「最先端の技術、トレンドを採用した学校にしていく」とのことだった。

最先端の技術、トレンドって?????

すでにタブレット端末は配布されているし、これ以上、なにをイメージしてるの?という感じでした。

むしろ、最先端の技術をとりいれても、それを生かして、じっくり、ゆっくり、子どもたちと、授業や行事などを通して、向き合い、コミュニケーションをとり、信頼関係をつくり、勉強でわからないところがあれば、とことん付き合い、子どもたちの知りたい、わかりたいという思いを支えることができない学校の現状をどうしたら改善できるか、もっともっと、深く、根本的な問題に向き合うべきじゃないか、とつくづく感じました。

そもそも、この上尾市においても、学校の先生が足りず、教員の未配置・未補充状態がつづいていて、現場の教員ひとりひとりの負担が、限界になっているわけですから。

教育委員会がやるべきことは、教育環境の整備。

なんでもデジタルで、大人数の児童生徒を、いっせいに「教育」していく「ハイスペック」なトレンドを取り入れた学校なんて、無理にもほどがある。

人間は、ロボットじゃありません。

脳内のデータを上書きさせ、知識のインプットと、テストによるアウトプットを繰り返せばいい、というような「学力」を、まさかめざしているわけじゃ、ないですよね。


市は、勝手に、望ましい学校規模を決めてます。
ちなみに、この「適正」に、根拠はありません。

しかも特別支援学級のことは、まったく念頭にないのが、これまた、おそろしい。

障がいのあるお子さんがいる保護者は、どう感じるでしょうか。やっと、地元の学校内に、自分の子どもが通える教室がつくられたのに、廃校にしてしまうのか、と。遠くに持っていくのか、と。それで、インクルーシブ教育を進める、などとキラキラな未来を示すんですから。違和感しかないです。


校舎を建て替えする場合、「仮設校舎を建設しない」ことを原則とする、との説明もありました。

その際に、看過できないのは、「プールを無くす」ことを前提にしている、という点です。

プールを使った水泳の授業は、上尾市において必修科目としているわけですが、民間のプール利用を進めようとしているんですね。別にいいんじゃないのか、と思う方もいると思いますが、民間プール使用料が高額であることや、民間プール事業者が廃業した場合への対応が考えられていないので、プールが無くなった学校は、授業そのものが不可能になります。

なんか、ほんと、いいかげんですよね。

そして、そもそも、上尾市内の全学校に貸せるだけの民間プールは、ありません。そのことを、市は、重々承知しています。


具体例として、西中学校で、プールを解体して、建て替える中身の説明を受けました。

とりあえずの案だ、といいますが、変更の余地無しの空気感がただよっていました。

なんでしょう、このデキレースは。

以下は、市が廃校にしたいと考えている、3つの学校について、そのスケジュールについて実施計画案で示されている箇所です。


↑平方北小学校


↑尾山台小学校


↑大石南中学校


↑これは小中学校33校すべてについて、先々までのスケジュールを示したものです。