そう、私は家路についている。二/三三飛行大隊はわが家だ。私にはわが家の面々の気心がわかっている。ラコルデールについて思い違いをするわけがない。ラコルデールも私について思い違いをするわけがない。私はこの共同体を、このうえなくはっきりと感じている。「われわれは皆、二/三三飛行大隊の者だ!」これだけでもう、ばらばらだった素材がひとつに結ばれるのだ……。
 ―『戦う操縦士』(サン=テグジュペリ著、鈴木雅生訳、光文社古典新訳文庫、2018。以下この版より引用)
 
SEVENTEEN
 9th Mini Album 'Attacca' Op.3 Concept Photo
([画像1]として、引用元は記事の最後に記載しています)。
 
Antonie de Saint-Exupery(1900-1944) [画像2]
フランスの飛行士・作家
 
この記事は、
の続きです。
 
考察をはじめから読むには
今回は
POWER OF LOVEプロジェクトにおいて
エスクプスが表現している役
について考えていきます。
 
____________________________________
(7) S. COUPS 
 サン=テグジュペリ》
 
 満を持して、SEVENTEENとCARATの総括リーダー・S.COUPSと、『星の王子さま』の作者・サン=テグジュペリの登場です。
 
 細かい考察に入る前に、まずミンギュの役との違いについてお話します。
 
 これまでの記事では、私はミンギュをサン=テグジュペリ的な存在として説明してきました。
 今回のプロジェクトにおいて、Hiphop Teamは「地上の住人」を表しており、ミンギュが「ぼく」を演じているのでは…と感じられるところがいくつかあったからです。
※詳しくは考察Part2をご参照ください。
 サン=テグジュペリの代表作『星の王子さま』に登場する「ぼく」は、『星の王子さま』の語り手であり、『星の王子さま』の絵や文を書いたという設定になっています。また、砂漠に不時着した飛行士であることから、同じ経験を持つ飛行士であるサン=テグジュペリの分身と考えられています。
 
 そういうわけで、ミンギュ扮する「ぼく」も、かなりサン=テグジュペリ的な特徴を持っています。
 
 しかし、SEVENTEENの一連の作品を見ていると、どうもエスクプスにもサン=テグジュペリを思わせるところがあるように感じられます。
 SEVENTEENの長男であり、グループ全体とCARATの総括リーダーであるという立ち位置も、「作者・サン=テグジュペリ」という役にぴったりですよね。
 
 先にも述べたように「ぼく」はサン=テグジュペリとほぼ同一視できるので、最初は「サン=テグジュペリ役は二人も要らないのでは?」とも思ったのですが、結論から言うと、二人の役割は重なり合っていますが、少し違います。
 
 ミンギュはやはりあくまで「ぼく」であり、ファンタジー小説『星の王子さま』の中に反映された作者の魂の一部ともいうべき存在です。
 一方、エスクプスは伝記情報や、実体験を綴った『人間の土地』や『戦う操縦士』などから読み取れる現実のサン=テグジュペリを表現していると考えられます。
 
 POWER OF LOVEの世界には、王子さまやキツネなどファンタジー小説『星の王子さま』に登場する架空の人物と、サン=テグジュペリの僚友ギヨメやプレヴォなど実在した人物が混在しています。
 その中で、ミンギュとエスクプスは、互いに重なり合いながら、現実とファンタジーという二つの時空を繋ぐ役割を果たしています。
 
 それでは、POWER OF LOVE作品におけるエスクプスのサン=テグジュペリ的特徴について見ていきましょう。
 
①髪の色
SEVENTEEN 9th Mini Album 'Attacca' Op.3 Concept Photo [画像1]
中央がエスクプス。
 
 『星の王子さま』において、王子さまの金色の髪は、彼の大きな特徴として描かれています。ぼく」の髪の色については記述が無く不明ですが、もし同じ色ならば王子さまの髪の色についてこれほど何度も言及しない、あるいは、自分の髪の色についても語りそうなものなので、おそらく金髪ではないと思います。
 
 
(画像引用元:LE PETIT PRINCE, Saitn-Exupery, 
Editions Gallimard, 1946)
 
 では、サン=テグジュペリの髪の色はどうだったかというと、幼少期は明るい金髪で、そのために「太陽王」というあだ名があり、王子さまのモデルはこの頃の作者自身だとも言われています。
 しかし、大人になってからの髪色は(モノクロ写真やモノクロ写真に後から色をつけたものが多いので実際どうだったのか把握しづらいのですが)黒っぽい色であるように見えます。
 
  
(引用元は記事の最後に記載[画像2,3])
 
 エスクプスはどうでしょう? 今回のプロジェクトに含まれる二つのミニアルバム‘Your Choice(タイトル曲‘Ready to love’)’Attacca(タイトル曲‘Rock with you’)’のカムバック期間において、エスクプスは金色からかなり暗い色に髪色を変えました。
 
SEVENTEEN ‘Ready to love’ Official MV
ジョンハンとお揃いのような明るい金髪で登場します。

 

SEVENTEEN ‘Rock with you’ Official MV
こちらでは、ご覧の通り黒~焦げ茶のような色です。

 

 カムバックごとに髪色を変えるのはK-popアイドルにはよくあることですし、黒も金も珍しい色ではありません。しかし、コンセプトが『星の王子さま』に深く関わっているならば、金色はむやみに使ってよい色ではなく、王子さまを意味する大事な色となるはずです
 実際、‘Attacca’の期間中はジョンハンとウジの金髪を際立たせるかのように他のメンバーは全員暗褐色~黒に髪を染めており、その金髪の二人が、Op.2のコンセプトフォトで「海から帰還した王子さま」を表したり(考察Part2参照)、中国で活動中だったディエイト(王子さま)の代わりを務めたりしているように見えました。
 

SEVENTEEN 9th Mini Album 'Attacca'

Jacket Behind The Scenes Op.3

エスクプスは、'Your Choice'から'Attacca'のコンセプトフォト撮影までは金髪でした。

 
こちらは'Attacca'カムバック期間中のメンバー。
エスクプスは黒髪になっており、全員で並ぶと ウジとジョンハンの金髪が目立ちます。
 

 'Attacca'のコンセプトフォトでエスクプスがまだ金髪なのは、タイトなスケジュールの中'Your Choice'の活動とほぼ同時期に撮影をしなければならなかったからだと推測できますが、先にも述べた通り今回のプロジェクトの世界観、特に、当時のパイロット風の衣装などでサン=テグジュペリのテーマを前面に押し出している'Attacca'の写真において「金髪」であることには意味があると考えた方が自然です。

 もし意味を持たせてしまうのを避けたければ、撮影時だけスプレーなどで一時的に別の色にしたり、帽子を被って色の印象を抑えたりすることもできたはずですが、上のOp3の写真などを見ると、そうはなっていません。むしろ、エスクプスの金髪が目立つように撮影されているとさえ感じます。

 

 このようなことを考えると、同じプロジェクトの中('Your Choice'と'Attacca')、さらには同じアルバムの中('Attacca'のコンセプトフォトとカムバック期間中)でエスクプスが金髪から黒髪への変化を見せているのはおそらく意図的であり、「王子さま(金髪)」でも「ぼく(金髪でない)」でもある、作者サン=テグジュペリ(金髪から暗い髪色へ)をイメージしているからではないかという気がしてきます。
 
 同じサン=テグジュペリであっても作品の中の「ぼく」寄りのミンギュが一貫して黒っぽい髪色であることも、イメージと一致します。
 
②‘Left & Right’と‘HOME;RUN’ 
SEVENTEEN 'Left & Right' Official MV

 

 ところで、POWER OF LOVEプロジェクトはいつ始まったのでしょうか。
 公式に「 プロジェクト第一弾」として発表されたのは2021年5月の‘Bittersweet’です。しかし、これまでの考察で見てきた通り、2021年1月のオンラインコンサート‘IN-COMPLETE’は、このプロジェクトを解く重大な鍵となっていました(理由は考察Part1参照)。
 
 そういうわけで、ちょうど一年の幕開けの月でもありますし、私はてっきり、今回のプロジェクトは‘IN-COMPLETE’の開催日から始まったものだと思っていました。
 
 年が明けたばかりなので当然'IN-COMPLETE'のセットリストはその前年やさらに古い時期の曲から成っていますが、それらは「このプロジェクトのために作られた曲」ではなく、「もともと別のコンセプトで作ったが、今回のコンセプトにも合う歌詞があったので採用したもの」や「今回のコンセプトには合わないが、コンサートには入れたいから衣装や演出によって今回のコンセプトに合うようアレンジしたもの」だと思っていたのです。
 ※例えば、'HOME;RUN'の1930年代のアメリカのジャズ風コンセプトは『星の王子さま』には関係無いけれど、2021年1月時点での最新曲でありコンサートのクライマックスに入れたいので、Great Gatsby風にアレンジすることで「星に手を伸ばし、大金持ちになった哀れな実業家」のイメージを出し、『星の王子さま』の実業家のイメージにつなげる、というようなことです(このステージがGreat Gatsby風であることは、GOING SEVENTEENの'Tribal Games'のジェスチャーゲームの際にメンバーが明言していました)。
 
 しかし、‘Left & Right’と‘HOME;RUN’のMVをじっくりと眺めてみたところ、どうやら2021年のPOWER OF LOVEプロジェクトの準備は2020年からすでに着々と進んでいたようだという気がしてきました。
 
 そう感じさせるのは、'Left & Right'のMVの終わり'HOME;RUN'のMVの始まりの部分です。
 前者では、エスクプスが運転席に乗っている車が空に打ち上げられ、地面に落ち、煙が上がります。そして、後者では、煙の出ている車からエスクプスが出て来ます。
 曲のコンセプトに合わせて衣装や背景は変わっているものの、この終わりと始まりは概念的に繋がっているように感じられます。

(‘LEFT & RIGHT’ MVよりスクリーンショット)
 

(‘HOME;RUN’MVよりスクリーンショット)
 
 曲名も、レフト・ライトにホームランですので、この二曲は関係が深そうです。SEVENTEENの作詞作曲担当のウジは野球経験者です。SEVENTEENのシンボルであるダイヤモンドと球場のこの部分を表すダイヤモンドが掛かっているのも面白いですよね[画像4]。
 

 
 車が墜落しても陽気に踊る姿がコメディー的に描かれていますが、'Left & Right'のエスクプスの状況は、「墜落事故に遭い、一命をとりとめた」と説明できます。
 さらに、その続きのような'HOME;RUN'の冒頭では、車から出た直後に彼のもとに一粒の光り輝くダイヤモンドが降ってきます。
 
 この流れは、飛行士が砂漠に墜落し、宇宙からやって来た王子さまと出会う展開に似てはいないでしょうか(『星の王子さま』には、王子さまが「宝物」や「ぼく」への「贈り物」に喩えられる場面がありますし、王子さま自身が夜空に輝く星であるような表現もあります。また、『人間の土地』において、サン=テグジュペリは、星が硬いダイヤに変わるという表現を使っています)。エスクプスをあくまで物語の外の現実のサン=テグジュペリととらえるなら、王子さまのアイディアが降ってきてた、と言ってもいいでしょう。
 
 'HOME;RUN'のコンセプトは1930年代のアメリカだそうですが、サン=テグジュペリは『星の王子さま』を亡命先のアメリカで執筆し、そのためこの作品は彼の祖国フランスよりも先にアメリカで出版されました。また、時期に関しても、彼がアメリカへ渡ったのは1940年のことなので1930年代アメリカとは少しずれていますが、彼が『星の王子さま』のもとになった墜落事故を体験したのは1935年のことです。
 
 さらに、'HOME;RUN'のMVではこの後、このダイヤが'Missing(行方不明)'や'Disappeared(姿を消した)'と報道され、ダイヤはどこに消えたのか、誰がこの宝を手に入れるのか、あるいは逃がすのか、といったドラマが繰り広げられていきます。
 これは王子さまと友だちになった「ぼく」やキツネが王子さまを地球に留まらせるか、それとも、彼がヘビに噛まれるのを止めずに愛するバラのもとに帰すかといった問題や、地上から消えてしまった王子さまの物語にもうまく重なるように思えます。
 
 MVの列車の場面では、ミンギュとジョンハンがおそらくダイヤを持っていて(あるいはまだ持っていないかもしれませんがダイヤを狙う泥棒で)逃げようとしており、それをウォヌとディノが追っているように見えます。
 ウォヌとディノがヘビとバラ、ミンギュとジョンハンが「ぼく」と王子(説明がまだですが、ディエイトとダブルキャストのようになっています)だという私の考察が合っているとすれば、この場面は、バラと手を組んで王子を宇宙に帰そうとするヘビと、ヘビから王子を守ろうとする「ぼく」にも見えてきます(『星の王子さま』では「ぼく」とヘビは敵対しています。王子さまはヘビに噛まれることで肉体を捨てて宇宙に帰ろうと考えますが、それは人間の「ぼく」には死ぬことのように思え、実際王子さま自身もヘビを怖がっていたので、「ぼく」はヘビをピストルで撃とうとします)。ウォヌにはヘビだけでなくキツネの要素もあり複雑ですが、とにかく、王子さま(=ダイヤ)の取り合いといったイメージは読み取ることができると思います。
 
 また、この列車の場面ではミンギュが「どうして鬼ごっこをするのですか」と歌っていますが、『星の王子さま』には、列車のレールを切り替える転轍手に、王子さまが今の列車はさっきの列車を追いかけているんだね?と尋ねる場面もあります。
 

SEVENTEEN 'HOME;RUN' Official MV

 
 このように、スウィング・ジャズやブロードウェイの雰囲気を醸し出したこのお洒落なMVは、もちろん独立した作品としても楽しむことが可能だと思いますが、2021年に本格化するPOWER OF LOVEプロジェクトのための助走のような作品であったと考えることもできるのではないかと思います。
 ちなみにこの2020年には日本シングルとして'舞い落ちる花びら'もリリースされていますが、この曲の歌詞やMVに登場する花や宇宙のイメージも、『星の王子さま』のイメージによく合っています(このMVと'Attacca'の'I can't run away'については考察Part4で軽く触れています)。
 

SEVENTEEN '舞い落ちる花びら' Official MV

 

 そして何より、私はこのPOWER OF LOVEプロジェクトは、考察Part1やこの考察シリーズとは別に書いた'Ready to love'の記事でもお話ししたように、2019~2020年のワールドツアー'Ode to you'の続きとして見ることができると考えています。

 

 世界的パンデミックによって最後の6公演が中止になり、終わらせられなかったツアーです。彼らは、それを乗り越える愛の力を描こうと決めて、このプロジェクトを準備し始めたのではないでしょうか。記録挑戦中に飛行機が砂漠に落ちても、待っている人のために歩き続けた飛行士の姿に、自分たちの姿を重ねて。

 そうだとすれば、それがOde to youの後の2020年の春から始まるのは、とても自然なことです。

 

 考察Part6のプレヴォ(バーノン)の記事でも触れましたが、砂漠への墜落事故について綴った『人間の土地』「七 砂漠の真中にて」において、サン=テグジュペリとプレヴォは、待っている人たちのことを一番に考えます。

 水も食料も無い砂漠の真ん中に落ちた絶望的な状況の中で、プレヴォが泣くと、サン=テグジュペリは次のように語り出すのです。

 

 プレヴォは泣いている。僕は彼の肩を叩く。僕が言う、彼を慰めようと、
─駄目なら駄目で仕方がないさ……」
彼が、僕に答える、
─僕が泣いているのは、自分の事やなんかじゃないよ」
(中略)
そうだ、そうなのだ、堪え難いのはじつはこれだ。待っていてくれる、あの数々の目が見えるたびに、僕は火傷のような痛さを感じるすぐさま起き上がってまっしぐらに前方へ走り出したい衝動に僕は駆られる。向こうで人々が助けてくれとさけんでいるのだ、人々が難破しかけているのだ!
 これはじつは変な役割の転倒ではあるが、僕はふだんからこう考えていた。ただ僕には、完全に確信を持つために、プレヴォが必要だった。

 ―『人間の土地』(サン=テグジュペリ著、堀口大学訳、新潮社、昭和42年)
 

 この体験記の中で、サン=テグジュペリとプレヴォはずっと二人きりでいるわりには多くの言葉を交わさず、べったりと仲の良いようすも見せません。しかし、「待っている人のために生きて帰りたい」という気持ちを共有し、静かに支え合っています。二人がこのような関係にあることは、同じチームで兄弟のように信頼し合っているエスクプスとバーノンのイメージにもよく合うように感じられます。

 さらに、上記のサン=テグジュペリの語りは次のように続きます。

 

 この多くの難破を前にして、僕は腕をこまねいてはいられない!沈黙の一秒一秒が、僕の愛する人々を、少しずつ虐殺して行く。激しい憤怒が、僕の中に動き出す、何だというので、沈みかけている人々を助けに、間に合ううちに駆けつける邪魔をするさまざまの鎖が、こうまで多くあるのか? なぜ僕らの焚火が、僕らの叫びを、世界の果てまで伝えてくれないのか? 我慢しろ……僕らが駆けつけてやる!……僕らの方から駆けつけてやる!僕らこそ救援隊だ!

 

 「難破」「虐殺」というのは、待っている人々の辛さの喩えであり、砂漠の真ん中で食料もなく、実際に救助されるべき状況にあるのは二人の方です。それなのに、サン=テグジュペリとプレヴォは、待っている人を助けたい、その人たちのもとへ駆けつけたいと感じています。

「世界の果てまでも」や「駆けつける」という表現は、'Ready to love''Rock with you'の歌詞にもよく合いますし、ツアーを楽しみにしていたファンに対するSEVENTEENの思いとも重なるところがあるのではないかと想像することができます。エスクプスに関しては、活動を休止していた数ヶ月間からの復帰を決意した時の思いとも重なっているかもしれません。

 

 ─出かけよう、プレヴォ!僕らの喉はまだ塞がりきってはいない、さあ、歩かなければいけない」

 

 こうして二人は、まるでHiphop TeamがIN-COMPLETEで披露した'Back it up'の「水が引いても地面にオールを漕ぐ」クルーのように、白旗を上げずに灼熱の砂漠を歩き続けるのです。そして、強い意志と幸運に助けられ、彼らを待つ仲間や家族のもとに生きて帰って来ました。

 ファンミーティング以外のコンサートとしてはOde to youの次のコンサートにあたるIN-COMPLETEの始まりは、新世界へ行こうと力強く歌うエスクプスたちリーダーズの曲でした。この時、ステージでのエスクプスの頼もしい姿を見て、涙がこぼれたというファンも少なくないと思います。

 私が見ている姿は彼らの一部にすぎないので決めつけることはできませんが、インタビューやドキュメンタリー、自然な姿を捉えたと思われるバラエティ企画などを見ていると、エスクプスは、もともと力強く引っ張っていくタイプというよりは、優しく、かわいらしいタイプの人なのかなという気がすることがあります。しかし、いつでもファン思いで、SEVENTEENとCARATのリーダーであろうとするその姿はとても頼もしく、愛の力に満ちているように思えます。

 

SEVENTEEN: HIT THE ROAD

EP.03 見知らぬ道の上で

'Ode to you'など2019年~2020年のSVTの歩みを追ったドキュメンタリーで、この回ではエスクプスがツアーやグループ、ファンに対する思いを語っています。 

 

③同胞たちを愛している
 SEVENTEENはメンバー間の絆が固いことでよく知られていますが、サン=テグジュペリもまた、航空会社の僚友たちや軍の部隊など、自分の所属する団体の仲間たちを愛していました。彼は戦争を嫌っていましたが、仲間たちが戦っている時に自分だけ戦わずに待っていることなんてできないという思いから、自ら危険な任務に志願したこともあったと言われています。
 彼は、戦時下の実体験を綴った『戦う操縦士』において、
 
 私は二/三三飛行大隊を愛している。面白い見世物を前にして見物人として愛しているのではない。見世物などには興味がない。私が二/三三飛行大隊を愛しているのは、自分がその一員だからだ。隊が自分を育んでくれるからだ。そして自分自身が隊を育んでいる一人だからだ。

 

 ●隊への私の愛は、わざわざ口に出して言う必要はない。ただ絆だけがその愛を作っている。それは私の実体そのものだ。私は隊の一員だ。それだけのことだ。

 

 ●私はギヨメに結ばれている。ガヴォワルに結ばれている。オシュデに結ばれている。二/三三飛行大隊に結ばれている。

 

●人はなにかの名のもとにおいてしか兄弟たりえない。戦友と私とは二/三三飛行大隊の「名のもとに」兄弟なのだ

 

●そう、私は家路についている。二/三三飛行大隊はわが家だ。私にはわが家の面々の気心がわかっている。ラコルデールについて思い違いをするわけがない。ラコルデールも私について思い違いをするわけがない。私はこの共同体を、このうえなくはっきりと感じている。「われわれは皆、二/三三飛行大隊の者だ!」これだけでもう、ばらばらだった素材がひとつに結ばれるのだ……。
 
などと語っています。
 自分のグループが家族のような存在で、心の拠り所であるというのは、SEVENTEENもよく口にすることですよね。
 

SEVENTEEN: HIT THE ROAD

EPILOGUE. 僕たち、また

多くのメンバーが自分たちのことを家族のようだと表現しています。

 

 SEVENTEENを見ているとどのメンバーもそれぞれの愛し方でSEVENTEENを大切に思っておりその愛情の大きさを比べることはできないと感じますが、エスクプスがSEVENTEENというグループをどんなに愛しているかは、私が説明するまでもなく明らかだと思います。
 
GOING SEVENTEEN 2019 
EP.23 TTT#3 (Camping Ver.)
ぜひ16:45から見てみてください。

 

 そんなエスクプスが、愛の力を表現したPOWER OF LOVEプロジェクトにおいてサン=テグジュペリ役を務めているのだとすれば、それは、とても意味のあることではないでしょうか。
 
 そして、POWER OF LOVEプロジェクトを、2020年からひそかに準備が始まっていた大きなプロジェクトとして見るならば、ここに、'HOME;RUN'や、Power of loveコンサートで披露され'あいのちから'のCDにも新しく日本語版が収録された'Home'の、「ホーム」という言葉の意味が見えてきます。
 
 サン=テグジュペリは、『星の王子さま』を捧げたのと同じレオン・ヴェルトに宛てた『ある人質への手紙』(栗津則雄、清水茂訳、みすず書房)の中で、以下のように語っています。
 
 見たところ遠く離れている友人の存在が、現に眼の前にいる場合よりもひしひしと身に迫ることもある。それは、祈りによる存在なのだ。ぼくは、サハラ砂漠にいたときほど、我が家を愛したことはない
 
 そして、この言葉に続けて、自分を愛してくれる人が待っている家をあとにして旅に出る者は、「出発の時からすでに帰路を辿り始めて」いるとも説明します。遠く離れている時ほどホームの大切さを感じ、どんなに遠くへ旅する時も、必ずその終着点はホームであり、その旅路はホームへ向かう道なのだと。

 

SEVENTEEN 'Home' Official MV

 
サン=テグジュペリのこのような感覚は、遠い国で待っていてくれるファンや、誰かが不調で活動を欠席した時に支えてくれるメンバーたち、'Attacca'の時期に中国で活動していたジュンやディエイトへの、SEVENTEENの愛の力を示すのにぴったりであるように思えます。
 
  以上、今回の記事は、POWER OF LOVEプロジェクトにおけるエスクプスの役割 + プロジェクトの開始時期と意味についてでした!
 今回もとても長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。次回はジョシュアの役割について書こうかなと思っています。
 

SEVENTEEN 'Us, Again'

こちらは、Ode to youが中断された後、2020年初夏にHIT THE ROADシリーズの配信の後に発表された曲です。ぜひ歌詞の字幕を読みながら聞いてみてください。

 
 
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画像引用元
※画像1 Twitter SEVENTEEN 公式アカウント 以下のツイートより。

※画像2 幼少期のサン=テグジュペリの写真

 

※画像3 大人になってからのサン=テグジュペリの画像

 

 ※画像4 球場の図