コロナ禍の真っ最中に横浜美術館、愛知県美術館、富山県美術館の3館で『トライアローグ展』を開催したが、その中に展示してあったパブロ・ピカソの『青い肩かけの女』(愛知県美術館所蔵)に別の人物を描いたとみられる下絵があることが分かったようだ。
 

 

『青い肩かけの女』は、ピカソの青の時代に描かれた代表作のひとつである。

濃い青色の背景に青い肩かけをまとい、何とも言えない表情の女性が描かれてある。

 

この絵をアメリカに貸し出すことに伴い、ワシントンにあるナショナルギャラリー・オブ・アートとフィリップ・コレクションと共同で、顔料の成分ごとに異なる光の反射が得られる『ハイパースペクトルカメラ』を用いて、画像化して分析することで下絵が見つかったようだ。

 

日本で行われたエックス線や赤外線などを用いた光学調査では下絵の存在は分からなかった。

 

下絵では画面中央でうつむいたポーズの人物が描かれており、背中の曲線はそのまま本作の女性の頭の輪郭の一部になっている。