月刊モデルグラフィックスという雑誌がある。
興味のない人には一生縁のないであろうジャンルの雑誌、プラモデルを中心に扱うホビー雑誌だ。
その昔、その編集部に一人の女性が勤めていた。彼女には妹がおり、その妹さんは何故かその雑誌でモデルとして登場することになる。
モデルといっても、プラモデル雑誌である。衣装は軍服で大きな銃を持ったり、当時公開されたばかりのアニメ「風の谷のナウシカ」や映画「ゴーストバスターズ」のコスプレをしたりしていた。
そして、いつの間にかその妹さんの姿は誌面から消えたのだが、すぐにその理由は明らかとなる。こんな噂とともに。
「あの娘、おニャン子クラブのオーディションに受かったんだって」
今も昔も、地方に住むアイドルファンはツライものである。いや、やはり昔の方が格差は大きいか。なにしろネットのない時代である。情報といえばテレビにラジオ、雑誌ぐらいしかない。しかも地方ではその見たいアイドルの出演しているテレビやラジオも視聴できない地域があるのだ。
そんな地域に住む一人の少年がいた。アイドルと同時にプラモデルも趣味にしていた彼は、彼女が有名になる前からその存在を知っていた。
特別な想いを抱いていたわけではなかったが、応援したい気持ちはある。
だが、彼女がアイドルとして夕方にテレビに出ている姿を見ることが出来ない。悩ましい問題だが、どうにもならない。諦めるしかない。
そしてしばらく時は過ぎ、ある日ラジオを聞いていた少年は耳にする。
「えー次の曲は、おニャン子クラブから生まれた新しいグループの曲です。うしろゆびさされ組で『うしろゆびさされ組』」
ジャングルビートのその曲を聴いたとき、少年は何故か思った。「これ、ひょっとして、あの娘じゃないの?」
なぜそう思ったのか理由はない。言うなればオタクの自分勝手な希望的観測である。だが、幸か不幸か、偶然にもその予想は当たってしまうのである。
こうなるともうオタク少年は止まらない。「これは運命だろ!」
こうして、私はうしろゆびさされ組、そして、ゆうゆ、こと岩井由紀子さんを応援することになったのだ。
楽曲の事を一切語らないまま気持ちの悪い独り語りに終始し、この章はその2に続く…