ノベルティ・ソング[のべるてぃ・そんぐ]
日本ではコミックソング(和製英語)と呼ばれたりしているが、欧米では一般にノベルティ・ソングと呼ばれる。コミカルでユーモアを含んだ聴くものを楽しくさせる歌の総称である。
と、私は理解している。
かつて、故大瀧詠一氏が、自らの作ったノベルティソングが思ったより評価されなかったことに落ち込んでやる気をなくした、と細野晴臣氏のラジオに出演された時に冗談半分?(それとも本気?)で語っていた記憶があるが、どうも世の中にはユーモアというものを、生真面目な物の下に位置するものだと考えている人たちがいるようだ。
以前、どこで見たかは忘れたのだが、早坂好恵さんの曲の感想で、「歌は上手いのにふざけた歌ばかり歌わされて可哀そう」みたいな意見を目にしたことがある。もうアホかと。バカかと。お前みたいなのは一生○○○○○や○○○○だけ聞いてろ!
おっといけない、取り乱してしまった。失礼。
もちろん、泣ける歌、心に沁みる歌も素晴らしいのだが、それは決して他の物の上位にあたるものではない、と私は強く思う。まあ、多くの人はそんなことは理解しているとは思うのだが。
さて、今までは番外編を除き、一曲のみのお話をしてきましたが、今回は早坂好恵さんの1stアルバム「ぎゃふん」から何曲か取り上げたいと思います。
まずはこのアルバムの仕様について。
実はこのアルバム、CDケースサイズの「紙芝居」が付属しておりまして、それが初回特典だったのか、そうではなくて紙芝居なしの通常版と2種類販売だったのかは思い出せないのですが、とにかくそういうオマケが付いていたのです。そして、このアルバムの9曲目は、それ用の「子芝居」のトラックとなっています。
こういう凝った作りになっているあたり、レコード会社としても結構力の入った、期待の大きな作品だったんじゃないでしょうか。まあ、結果は残念ながら…
それではまずは1曲目から。リードトラックは彼女のデビュー曲であり、アニメ『らんま1/2熱闘編』のOP曲でもある「絶対!Part2」。
デビュー曲がPart2なんかい! というツッコミは置いとくとして、この曲は人気アニメの主題歌ということもあり、早坂好恵さんの曲なかでも認知度は高いのではないでしょうか。鷺巣詩郎さんによる、ブラスやストリングスを使った分厚い非常にゴージャスなアレンジで、曲調も彼女のキャラクターに合った明るいパワフルな楽しい一曲となっています。曲中の「命懸けてまーす!」の絶叫は彼女ならではかと思います。
この曲だけでなく、このアルバムは鷺巣詩郎さんの手による贅沢な編曲がされていて、そこも聴きどころの一つです。
それでは2曲目。「恋はあはは」
超絶名曲です。サンバ調のアレンジがまた気持ちよく、BメロからCメロのメロディーが絶品です。いまいち煮え切らない態度の男の子に対する女の子の気持ちを歌った歌で、これを可愛く上手に表現してくれてます。
早坂さんの何が素晴らしいって、歌唱表現の器用さにあります。臨機応変というか、言葉一つ一つに表情をつけて歌ってくれるのです。
”胸の隙間 涙が伝っていく 肩を抱いてくれなきゃ 風邪ひきそう”
と少し切なげに歌ってみせた次の瞬間には
”蹴とばしちゃえ! そんでアカンベ!”
という歌詞をコミカルに楽しげに表現してみせる、そんな芸当をいとも簡単にこなしているのです。15歳の少女が。まさに天分。
そして続くのが3曲目「神様ほしい」
ああもう、こんな名曲が2曲も続くなんて! 正直この2曲を聴くためだけにこのアルバムを買っても損はしないと思います。いや、他の曲も素晴らしいのですが。
この曲はとにかく歌詞が凄い。流石、及川眠子さんとしか言いようがないです。
”神様ほしい 四角にほしい”
なんて歌詞思いつきますか? 続けて
”神様ほしい ねえキミ取って 独り占めにはしないからね”
ですよ、天才ですよ。なんなんですか、このレトリック。意味わかんないけど凄くわかる。そんな感じです。
この曲もまたCメロ(転調してる?)が良くてですね、このパートのみベースがスラップ奏法なのですが、それがまた効いてて気持ちが良いのです。
4曲目は「オカドチガイ」
ラテン調の1曲です。なにげにラテン系のアレンジ曲多いですね。歌詞に出てくる「えんがちょ」って今でも通じるんですかね?
あれ、全曲紹介みたくなってるぞ。ま、しょうがないよね、捨て曲無しの名盤だし。
そして前半の締めはバラード曲の「黄昏にようこそ」
早坂さんの歌唱力が存分に発揮されている一曲です。綺麗なビブラートを聴きながら一杯やるのもおつなものです。
後編へ続く…