球が人,動物,動いている外的影響の上に止まった場合並びに

パッティンググリーンからプレーされ球が,偶然,人や外的影響に当たった場合

(11.1b⑴,同⑵)

2023年8月8日

(2023年11月24日加筆)

 

1 規則11.1b⑴は,プレーヤーの動いている球が偶然に人や外的影響に当たっただけでなく,球が人や外的影響の上や中に止まった場合,そして,規則11.1b⑵は,パッティンググリーンからプレーされた球が,偶然人や外的影響に当たった場合の処置について規定しています。

  当然,全てのコース上からプレーされた球が人や外的影響に当たっただけで,球が人や外的影響と離れて止まった場合があります。その場合の処置は,規則11.1aに規定されています。

  しかし,以上の規定の仕方はとても複雑です。もう少し論理的で誰もが覚えやすい規定を考えられないのでしょうか。これ以上文句を言ってもしょうがないので先に進めます。

  順序としては,このブログ内の

「ゴルフ規則:動いている球が偶然に人,動物,外的影響に当たる(11.1a)」

https://ameblo.jp/modernizedgolfrules2019/entry-12541652653.html

 を先に参照して頂いた方が良いと思います。

 

 規則11.1b⑴

   パッティンググリーン以外の場所からプレーされた球が偶然,人や外的影響に当たった場合,その球は通常あるがままにプレーする。

 しかし,その球が,人,動物,動いている外的影響の上に止まった場合,プレーヤーはその球をあるがままにプレーしてはならず,次の救済を受けなければならない。

  ・ 止まった球がパッティンググリーン(上)以外の場所にいる人,動物,動いている外的影響の上に止まった場合:プレーヤーは球を救済エリアにドロップしなければならない。

    基点: 基点から計測する救済エリアのサイズ: 救済エリアの場所に関する制限については規則を参照してください。

    とんぼが球の下敷きになっていたら正にこの場合です。〈Animal〉は生きているものが語源のようで,赤とんぼが死んでいた場合,動物とは言えないようです。

  ・ 止まった球がパッティンググリーン(上)にいる人,動物,動いている外的影響の上に止まった場合,プレーヤーはその球が人,動物,動いている外的影響の上に最初に止まっていた場所の真下と推定する箇所に球をリプレースすることになります。

 

 規則11.1b.⑵

   球がパッティンググリーンからプレーされた場合。

   パッティンググリーンからプレーされて動いているプレーヤーの球が偶然,人や外的影響に当たった場合,その球は通常あるがままにプレーする。

   しかし,動いているその球が,パッティンググリーン次のどれかに当たったことが分かっているか,事実上確実な場合,プレーヤーは,そのストロークはカウントせず,元の箇所に球をリプレースし,再度ストロークをすることになります。

   以上の次のどれかが,誠にもって理解しがたいのです。

   良く起こりそうな例だけを書き出しますが詳細は,規則11.1b ⑵を確認してください。

   ≫プレーヤー以外の人

   ≫動かせる障害物

   ≫止まっている球

   ≫ルースインペディメントとして定義されている昆虫(ミミズ,蟻など)以外の動物

  プレーヤーの動いている球が偶然に人や外的影響に当たって止まった場合,原則としてあるがままにプレーするのですが,以上のとおり例外を規定したのです。世界中のゴルファーが100年近く翻弄された,旧ゴルフ規則19-1のa. 及びb. 19-5のa. 及びb.の規定が改正されたものです。

 

    重要な変更があるので一覧すると,

  ① 偶然に当たる〈Accidentally Hits〉。

  ② パッティンググリーン上の人〈Any Person, on Putting Green〉。

  ③ パッティンググリーン上の動物。〈Any Animal, on Putting Green〉

  ④ パッティンググリーン上の動かせる障害物(動いている別の球を含む)。

  注意すべきは,パッティンググリーン上の動かせる障害物ですから,プレーヤー自身のクラブやヘッドカバーのように動いていないものも含まれるということです。プレーヤー自身のクラブやヘッドカバーに当たった場合まで「カウントせず,元の箇所に球をリプレースし,そこから再度ストロークをしなさい」ということには,多くのプレーヤーが疑問と思うでしょう。これを例外にすると規則がまた複雑になるからです。

 

4 R&A,USGAは,よくここまで改正したと思います。

   パッティンググリーンからプレーされた球が〈When Ball Played from Putting Green〉,偶然を要件にして,パッティンググリーン上の〈on Putting Green問題になりそうな全てのものに当たった場合,再プレーをしなければならないとしたのです。(但し,止まっている球とボールマーカーについては,異なる取り扱いで,下記⑷のとおりです。)

   まず,①は偶然ですから,故意の場合は規則11.2になります。②の要件は,ストロークした本人も「人」ですから含みます。③は動物ですから,ミミズ,カナブン,蟻などその大小は問いません。2019年の改正ではこのとおりでした。しかし2023年の改正でルースインペディメントとして定義されている昆虫などは除くことになりました(規則11.1b⑵の末尾)

④は,パッティングリーン上に止まっている球とボールマーカーについて,下記⑵のとおりです。

 

⑴   2019年に改正されたとき,ミミズやカナブンに当たった場合についてまで再ストロークと言うのは,やり過ぎではないかという意見もありました。その点はさすがに2023年に再度改正されましたが,プレーヤー自身のクラブやヘッドカバーに当たった場合でも,再ストロークというのは有利になり過ぎないかという意見もあるでしょう。しかし,そんなことはめったにないことなのです。

   かえって,旧ゴルフ規則のように,ミミズや虫は除くとか,動いている球はどうで,止まっている球はこうだ,他の競技者はどうで,自分のキャディーならこうだなどと分類し,どちらが先にストロークを開始したかまで規定したらとても覚えきれません。そもそも罰打を含め違う処置を求める意味などないということです。

 

⑵   規則11.1a例外-はプレー中によく起こるので説明しますが,

ストロークプレーで,パッティンググリーンでプレーされた球:プレーヤーの動いている球がパッティンググリーン上に止まっている別の球にあたり,そのストロークの前にその両方の球がパッティンググリーンにあった場合は,そのストロークはカウントし,その球はあるがままにプレーしなければならない。」再プレーはないということです。そして,止まっている球に当たった場合ストロークプレーにおける罰打は,2罰打となっています(ボールマーカーに当たった場合罰はなく,再プレーもない)。これだけは,旧ゴルフ規則の規定を承継しています。

以上

 

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