ファッションと食。
かけ離れてそうで、とても近い存在。物作りをする人の多くは料理人だったり、おしゃれが好きな方=食通だったりします。
多くのファッション誌は食については必ず取り上げていますよね。鮮やかな 色のゆったりシルエットのマキシワンピースを着て、キンキンに冷えた白ワインと魚介。シンプルでエレガントなドレスでいただく夜遅くのフレンチ。ノースリーブのタートルにハイウエストのAラインスカートでイタリア風ガールになりきって、女友達とジェラート。
想像するだけで楽しくなります。
でもこういった楽しみは、日々の生活のワンカットであり、けして毎日起こることではありません。
おしゃれなシーンばかりに気を取られ、普段の当たり前の日常を大切にしなくなっている人が多くなっている中、今日ご紹介する方は「日常の中の当たり前の日常」を美しく表現してくださる方です。
こちらの写真の本の著者であり、数多くの映画のフードコーディネーターを務められた飯島奈美さんの作る料理は日常的な料理ばかり。ご本人も<何気ない毎日>を映像化した映画がお好きで、そこに登場する何気ない料理が、意外にも心に残っていたりします。
映画やドラマを見たあと、「あ!あれ食べたい」って思うことって誰にでもあると思います。大抵、そういう料理って普段手に届きやすい料理だったりします。(例えば卵かけ御飯だったり)。
*「かもめ食堂」に出てくるシナモンロール
彼女の存在を知ったのは、わたしの大好きな映画「かもめ食堂」がきっかけでした。フィンランドで食堂を営む「さちえ」とその周りの日常を描いた映画です。「かもめ食堂」の看板メニューは<おにぎり>です。他にも焼いた塩シャケやトンカツ、鳥南蛮など、日本の食堂で食べれるメニューばかりです。
その映画のフードコーディネートをしたのが飯島さんでした。
私はサーモンのムニエルは作れるけど、塩シャケをいかに美味しく焼くかって意外と知らないことに気づき、彼女のレシピ本を購入しました。
文字数が多いというわけではないのですが、レシピ本というより、レシピが載ってる日記みたいな感じです。単純で食卓には欠かせない料理が、本来は大切に想いを込めて作る料理かを教えてくれます。
出し巻き卵の巻き方のコツが載っていたり、一手間かけて作り置きしておけるオリジナルの出汁醤油のレシピなどもあります。
飯島さんは「各家庭の味を作るきっかけ」を提供する料理研究家だと思います。好みの味は誰にでもあります。だから、好みと合わない場合「あの人のレシピ、美味しくない」と批判しがちになります。でも、飯島さんの料理は、日々愛情をかけて作る料理のベースであり、そこから各々がアレンジして<家庭の味>を作れば良いという料理ばかりです。
例えばこちらのフレンチトーストですが、もちろん飯島さんのレシピがベースになっています。でも私なりにアレンジして、食パンを使うところをバケットに変え、漬ける液にもバニラエッセンス、シナモン、オールスパイスを追加で混ぜています。でも、ベースである飯島さんにチーズを間に挟むレシピや焼き方などはそのまま行っています。
<家庭の味>を作ることは<家族をつくること>と一緒 だと感じさせてくれる料理家が飯島奈美さんです。料理でもおしゃれでも、ベースがあれば自分色に染めていける。誰かの真似は誰にでもできます。最初はそれでいいんです。料理を好きになってくれればいい。オシャレをすきになってくれればいい。好きだからこそ、その根本が伝えたい。
料理もオシャレもストレス発散です!毎日の当たり前を美しく、楽しく、リアルに充実させることが大切だと飯島奈美さんの料理は教えてくれます。
もし少し息が詰まったりストレスが溜まったら、彼女のレシピ本を手にとって、気になる料理を作ってみたらどうでしょうか? きっと、日常がちょっと素敵な日常に変わるかもしれません!





