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モダンと暮らす、カカと生きる

「おおむねごきげん」をモットーに、のんきに元気に兄弟暮らししています。離れていても、宝物はお空のモダンU^ェ^Uとカカ♪

携帯にかかった電話はICUからだった。

ドキドキしながら電話に出ると…

「今日から別の階の一般病棟に部屋が変わりますので

 面会前にお知らせしておきますね」

「え?一般病棟ですか?」

「はい、お部屋が空くまではナースステーション横の観察室で

 待機して頂くことになりますが、そちらにおいで下さい」


一般病棟…?、いきなり?、

同じ階にはICUより少し軽微な状態の人が移される

HCU(High Care Unit)というブロックがあるので

次に移るとしたら、てっきりそちらかと思っていた。

もちろん一般病棟と言っても、

その階は脳神経外科、神経外科、形成外科の混合病棟で

その一角にSCU(Stroke Care Unit 脳卒中治療室)があるぐらいだから

そのうちその階に行くのだろうとは思っていたが…。


行ってみると、ナースステーション横の観察室とやらに

同じく脳血管疾患で意識があまりない状態の

患者さん(男性2人、女性1人、いずれもご老人)とともに

並んで寝かされていた。

暗い…気づけば建物の中央に位置するため、窓がないのだ。

それにすぐ隣のナースステーションが思いきり明るい分、薄暗さが引き立つ。

なんとなく息のつまるような空間だったが

「よく眠れるように、暗くしとんしゃっちゃろうね、おかあさん」と声をかける。

彼女は静かな寝息を立てていた。


ここはICUと違い、その都度インターホンでお伺いを立てる必要はなかったので

ゆっくりとそばにいた。

呼吸は完全自発呼吸と、

気管につないだチューブに直接酸素を送り込む方法を繰り返していた。


フロアの待合室にかけて眺めていると

老若男女いろんな患者さんが行き来しているのがわかる。

点滴スタンドを転がしながら、しっかりした足取りで通り過ぎる人、

意識ははっきりしているが車いすを押してもらいながら、他の科の検査に向かう人、

装具をつけ、ゆっくりと歩きながら行く人、

無表情で硬直した手足のまま、車いすでナースステーションの中に置かれている人…


ICUを出て初めて、症状の違いというものを感じさせられた。

(そうか、ダメージには軽度・中度・重度という違いがあるんだ…)。


その日もやはり、夕方から呼びかけると目を開けるようにはなった。

表情はない。うなずくこともない。

なんだか難しい顔をして、ジーッと私の顔を見つめている。

「ほらほら眉間にしわがよっとるよ、哲学者みたいな顔してどーした?」と、笑いかける。

魂的にはちゃんと意識がある…ということは、私には十分わかっているのだが

両親も、ドクターも、看護師さんも、やはり呼びかけに対して

眼球や表情が動いたり、うなづいたりしなければ〝意識がある〟とは思えないのだろう。

それは当然のことだし、医学上その区分けは厳然とあり、

それに応じて治療がなされるのだから。


そんな状態の中で、大きなあくびをしたり、

頭がかゆいらしく、動く左手で(ミトンの拘束手袋をされているが)頭をかこうとしたり

暑くて左足を投げ出したり、ベッドのふちにかけてみたり

そんな動きをするたびに、ひとつひとつの意思表示が感じられ

思わず顔がほころんでしまう。

かわいいなぁ、いとしいなぁ…と思わせてくれることが、心の底からありがたいと思う。


そんな平穏なちょっとした時間の合間に、何度も肝が冷えるような思いをさせられる。

実は前日に続き、この日も高熱が出て、解熱剤で熱を下げる、という処置をしていた。

この症状は、翌日も、その翌日も続く。

いったいなぜ、こんなに高い熱で出ているのか?

命取りになるという肺炎が、悪化したのではないか?



モダンとトトの、おるすばん日記

今夜はカカの夢を見ることにしよっと

カカ、夢の中で会おうね…