クラスの誰かが 僕は「とろ」だって言うから
僕もいつからか「僕はとろだ」って思った
誰かが言うには「とろって何も出来ないんだよ」
僕は「とろ」だから 何か出来ちゃだめなんだなぁ
汚いって言われるのも 「僕はとろだ」から仕方ない
マヌケって言われるのも「僕はとろだ」からしょーがない
足し算も引き算も 僕は理解出来るけど
「とろだ」って言われたから 100点とっちゃいけないんだ
だけど ひとつ ひとつだけ 出来てたいことがあるの
通学路で会う 犬との会話
その犬 名前は 「ゴン次郎だ」って言ってた
なんだかイカツイ かっこいいなって思った
毎日 僕から 「やぁ、おはようゴン次郎」
「おはよう、とろ」っていう挨拶をしてるんだ
誰かが 言うには「犬の名前はポチ」だけど
僕に教えてくれた その名前がホントだ
天気がいい日には 縁側でまったりして
雨とか風の日には ガラス越しにお話
1年生の時 元気だったゴン次郎
2年生の時 寝てばかりのゴン次郎
3年生の時 おやつが好きなゴン次郎
4年生の時 ボールにハマるゴン次郎
5年生の時 ちょうちょを見てたゴン次郎
6年生の時 お腹を見せたゴン次郎
ゴン次郎は 僕だけに ナイショを教えてくれた
「君はとろじゃない方がかっこいい」
かっこいいってなんだろ
かっこいいってなんだろ
かっこいいって、なんだろ
「例えばあの空だ」 ゴン次郎は上を見た
「空は誰かに決められた何かをなぞってない」
空は誰かに「空」と呼ばれる前から空だし
風は誰かに「風」と呼ばれても吹いてる
森は誰かに「森」と呼ばれる前から森だし
海は誰かに「海」と呼ばれてもそのままだ
「俺もご主人様にポチって名付けられたけど
【ゴン次郎】で居たいから 君はそう呼んでくれるから」
それならどうしようか 僕がとろじゃないなら
それならどうしようか 僕が他の何かなら
それならどうしようか 僕がとろじゃないなら
それならどうしようか 僕が僕で僕なら