昨年のお米は本当にダメな出来栄えでした。
ご覧の通りの胴割れ米・背白米・心白米・・・これを一発通しのコイン精米機で精米すると粉々に割れてしまいます。
でも、できる限り美味しく食べたいものです。
先日、師匠の書斎で2016年11月の現代農業を見ていたら「24時間熟成精米」というのが載っていました。
その方法で精米すると米の甘みは14%アップし、旨味は54%アップするというものです。
品種にもよりますが、1品種を比較した場合、
一般的な精米だと還元糖は802ppm、アミノ酸は133ppmですが、
24時間熟成精米だと還元糖は918ppm、アミノ酸は205ppmになるそうです。
還元糖はお米の甘み成分で、アミノ酸はお米の旨味成分となります。
▼まずは10kgのお米で試してみるとします。
脱酸素保管していました。
▼使用する精米機は循環式精米機。
最近はヌカ切れの良い1発通しの精米機が主流ですが、籾を夏挽きしたり、もち米を籾から精米する為に保管しています。
狭い家なのでとても邪魔・・・でも、ようやく活躍する時がきました。
▼精米機のホッパーに玄米を入れて精米開始。
循環式精米機のいいところは精米時の圧力が調整できること。
圧力をかけると熱が発生し、食味が落ちてしまいます。
▼圧力をかけないので胚芽米だってできます。
これは何年か前に育てたササニシキです。
▼では早速精米開始。負荷を0にしてスイッチオン。
そして見た目が2分搗きになるまで数回に分けて精米。
玄米を白米にすると約1割の重量(1kg)がヌカになります。
なので、単純計算で200gのヌカが出るまで精米してみました。
▼これだけのヌカが出ました。
これをどうするかというと、2分搗きになったお米に混ぜて24時間寝かせるそうです。
▼本当に大丈夫だろうか?
ヌカ臭くなったりしないのか?
でも、ついさっきまでお米にくっついていたヌカ層なので問題ないのかな?
どういった原理で甘み・旨味がアップするのかというと、ヌカ油が時間をかけてお米に浸透するからだそうです。
さらに酵素が活性化するので旨味が増すようです。
水車搗きのお米は何時間もかけてヌカと一緒に杵で搗きます。
そして、最終的にふるいにかけてヌカを分けます。
それと同じ理論なのでしょう。
▼という事で、熟成米が完成しました。
現代の一発通しのコイン精米機ではヌカ層はすっかり取れているのでしつこく研ぐ必要もありません。
最初に白米を研いだ時に白く濁るのはヌカによるものではなく糊粉層です。
しかし、循環式の場合、ヌカが付着しているのでしっかり研ぐとします。
▼ガス火+炊飯土鍋で炊きます。
1合炊きの峠の釜飯の空き容器ですが、なかなか美味しく炊けます。
▼さて・・・お味はいかがでしょう?
一発通しの精米機に比べて味わいが全然違います。
全然ぬか臭くありませんし、確かに旨味も甘味もアップしています。
昔のお米って今のお米と違ってあっさりしたお米が多いです。
旭にしろ、朝日にしろササシグレ、ササニシキ、みんなあっさりした味わい。
なので、水車で搗くと旨味とか甘味がアップしていいバランスの味わいになるのだと思います。
農水省が行ってきたスーパーライス計画で作られた現在主流のお米にはコイン精米が向いているのかもしれません。