本日の懐かしのホラー映画は、「サイコ2」(1983)。
ヒッチコック監督作「サイコ」23年ぶりの続編になります。

彼を釈放する事に反対し続けていた被害者遺族のライラ・ルーミスは、裁判所でも裁判官や担当精神科医レイモンドに異議を申し立て、悪態混じりに再考を訴え続けていました。
23年ぶりに実家へ帰って来たノーマンは、社会復帰の為、近くのダイナーで働き始めます。
そこで、仕事もせず恋人と電話で口論を続けている同僚のメアリーと知り合い、帰る宿のない彼女を自宅へと招きます。
ノーマンが不在の間、ベイツモーテルは、病院に雇用されたトゥーミーが管理をしていました。トゥーミーは、宿泊客に麻薬を自由にやらせ、ラブホテルとして運用を続けていました。
その実態に我慢できないノーマンは、即刻トゥーミーを解雇します。
翌日、泥酔状態のトゥーミーがダイナーへやって来て、喚き散らしながら、メアリーやノーマンに辛くあたります。ダイナーのオーダーカウンターには、ノーマン宛に母親と名乗る人物からメモが書き残されていました。
今後、メアリーを家に泊めない様に、と言う内容で。
母親が書いたとされるメモの犯人はトゥーミーであると決めつけたノーマンは、怒りを露わにします。
その晩、ベイツモーテルの事務所で荷造りをしていたトゥーミーは何者かの手により殺害されるのでした。
ノーマンはダイナーの仕事を辞め、トゥーミーに替わってベイツモーテルを新装開店しようと準備を進めます。メアリーとの共同生活も順調に進んでいるかに思われましたが、母を名乗る人物からのメモや屋敷の窓から時折見える女性の姿がノーマンの精神を苛み、次第に精神のバランスを崩して行きます。その間にも、凄惨な殺人事件がノーマンの預り知らない所で起きます。
メアリーやレイモンド先生も居なくなり、再び独りぼっちになったノーマンの元へ、意外なる人物が訪ねて来ます。
本作品を初めて観たのは、小学6年生の時になります。
我が家は、目が悪くなると言う理由で、当時流行っていたファミリーコンピューター(通称 ファミコン)を買って貰えませんでした。
ファミコンが駄目なら、ビデオデッキ買ってよ!とお願いした所、アッサリその要求が通ってしまい、1987年7月 我が家に初めてのビデオデッキがやって来ました。
今まではビデオが無い為、最後まで観る事が出来なかった地上波放送のホラー映画が、友人の家に行かなくても好きな時に観れる様になったのです。
最初に録画した番組がアニメ「ドラゴンボール」だったのは置いといて、初めて録画した映画は7月26日(日)地上波初放送となった「サイコ2」でした。
新聞の番組表を見ると、日曜洋画劇場の欄に「サイコ2」のタイトルとシャワー室での惨劇の様な作品の概要が記載されていました。
当時は、「13日の金曜日」みたいなホラー映画が大好きな少年だったので、1作目は観た事がないけど、録画するしかない。
喜び勇んで番組予約したものです。
解説は、故・淀川長治先生。監督のリチャード・フランクリンがヒッチコック大好きな人で、第1回作品と仰っていました。リチャード・フランクリンはオーストラリアの監督で、それより前に「パトリック」を撮っていますので、恐らくはハリウッド映画としては初と言う意味で仰ったのかも知れません。(当時録画した番組のVHSテープは、今もCM入りで保存しています。)
1作目「サイコ」の有名なシャワーシーンから本編は始まりますが、もちろん前作は未見の為、殺害される人が誰かは知りません。
子供ながらに、「ナイフが体に刺さってね~」とか思いましたが、目を見開いて死亡しているマリオンの形相がとても恐ろしくて、1度で目に焼き付いてしまいました。(それ位、ヒッチコック監督の演出、ジャネット・リーの演技が素晴らしいと言う事だと思います。)
その後に流れるオープニング曲。優しく、どこか懐かしい。
なんて素敵な旋律なんだ・・と小学生ながらに思いました。音楽:ジェリー・ゴールドスミス。ジェリーの名前が脳裏に刷り込まれた瞬間でした。
当時は他に観る映画がなかった為、録画した「サイコ2」を何度も繰り返し観ていました。
ジェリーの音楽を含め、映画の世界観がとにかく好きで、ノーマンが「チーズサンド」の話をしたら、チーズサンドが食べたくなり、食パンにチーズを挟んで食べていました。それ位に大好きな作品です。
主演のアンソニー・パーキンスは、エイズによる合併症でこの世を去っていますが、それまでに出演した多くの作品をビデオやDVDで追いかけて観ました。
1980年代以降は、ホラー・スリラー系の作品が多い印象ですが、若い頃はオードリー・ヘプバーンと「緑の館」で共演し、イングリッド・バーグマン
とも「さよならをもう一度」で共演を果たしています。個人的には、オーソン・ウェルズ監督の「審判」が印象的でした。後にカイル・マクラクラン主演でも映像化されていますが、やはりトニパキの「審判」が一番好きです。
メアリ―役のメグ・ティリーは、淀川先生が解説でも仰っていた「アグネス」や「マスカレード 甘い罠」「インパルス 暴走する脳」にも出演していました。
メアリー役は、被害者マリオン役を演じたジャネット・リーの愛娘であるジェイミー・リー・カーティスも候補にあがっていた様です。ジェイミーがメアリーを演じたら、また違った「サイコ2」になっていた事でしょう。
メアリーの母親役 ライラ・ルーミスを演じたベラ・マイルズは、前作から続投。相変わらず、目力の強い女優さんで、性格のキツさが画面からも伝わって来ました。今回、壮絶な最期を遂げるので、そのシーンのインパクトも含めて名演技だったと思います。
ジェリーが手掛けたサントラ盤を初めて入手したのは、大学生になってからになります。当時、VARESEから9曲収録されたCDがリリースされました。
渋谷のタワレコで発見し、手が震える程に興奮しました。
聴きたい曲全てが網羅されていた訳ではありませんが、一番聴きたかったメインテーマとエンドクレジットが収録されていたので、それだけで幸せでした。フルスコアでCD化されたのは、2014年になります。
INTRADA SPECIAL COLLECTIONからリリースされ、嬉しさのあまり2枚注文してしまいました。その後、再プレスされた際、記念に1枚追加購入したので、「サイコ2」のINTRADA盤は計3枚所有しています。
映像の方は、VHS廉価版、LD、DVD、Blu-rayとメジャータイトルの続編として順調に商品化されています。
(LDは、友人経由で故人の遺品を譲り受けました。)

実は、本作には原作が存在します。ロバート・ブロックが続編「サイコ2」の小説を発表しているのです。しかし、映画版は原作と全く異なる内容・展開で製作されています。
小説の方は未読ですが、映画の世界観が好きなので、これで良かったと思っています。
「サイコ」の続編としては、若干違和感を感じる部分がありますが、続編を意識せず、1本のスリラー映画として観ると非常によく出来た内容だと思います。周囲の人々がノーマンを追い詰めなければ再び悲劇は起きなかったのに・・と思いつつ、再びダークサイドに堕ちてしまったノーマンを描いた「サイコ3 怨霊の囁き」が1986年に製作されています。
3作目は、主演を務めるアンソニー・パーキンス自身が監督しているのですから、その意気込みは半端ではありません。
3作目もホラービデオカタログに掲載されていますので、また機会を改めて紹介したいと思います。
