本日の懐かしのホラー映画は、「フランケンシュタインの逆襲」(1957)。
ハマー・フィルムが製作したフランケンシュタインシリーズ第1弾です。



物語は、神父がとある囚人と面会する為、留置所へやって来る所から幕をあけます。囚人の名前は、ビクター・フランケンシュタイン。
1時間後に死刑が執行されるのを待つばかりの彼は、告解の為に神父を呼んだのでした。ビクターは、逮捕されるに至った事件について語り始めます。

ビクターは、少年時代に母を亡くし、多額の遺産を相続する事になりました。父親も既に他界していた為、身寄りがなくなった訳ですが、彼には大きな"野望"がありました。その野望の為に、相続した遺産で家庭教師ポールを雇います。
ポールと共に、長い歳月をかけ、生物が蘇生する研究を行うのでした。
手始めに実験したのは、犬の死骸を蘇生させる事。長年の研究の成果もあり、犬の蘇生に見事成功したビクター達。ポールは、年1回開催される学会での発表を勧めますが、ビクターは更なる研究の為、学会での発表を見送ると答えます。そして、次は研究の最終段階である、"生命の創造"にビクターは着手するのでした。

まずは、人類を創造する為の素体が必要です。
ビクター達は、凶悪な強盗犯が少し前に処刑された事を知り、遺体を回収する為、絞首刑台へと向かいます。
長い間、死刑台で晒されていた為、顔は鳥に突かれ使い物にならなくなっていました。ビクターは、ためらう事なく遺体の首を切断し、新たに作り上げる事にします。

ビクターが1人出かけている間に、ビクターの従姉妹エリザベスが訪ねて来ていました。
ライプチヒから戻って来たビクターは、彫刻家バルデロの手を裏取引で入手していました。次第にエスカレートして行くビクターの狂気の研究について行けなくなったポールは、研究への協力を辞退する事にします。エリザベスにもビクターの元から立ち去る様に忠告をしますが、ビクターと婚約をしていた為、ポールの助言を拒むのでした。

更に、両目を闇取引で入手し、バーンスタイン教授を殺害して天才の頭脳を手にしたビクターは、自らの創造物に命を吹き込みます。
動き出した創造物は、いきなりビクターの首を絞め殺害しようとします。
ポールの助けもあり惨事は逃れましたが、創造物は翌朝身体の包帯をほどき、逃走してしまいます。

ビクターとポールは、創造物の創作の為、森へ行き、発見。森に居た老人と少年を殺めた直後でした。
ビクターの静止を振り切り、ポールは創造物を撃ち殺してしまいます。
遺体は森に埋めたかに見えましたが、ビクターはコッソリ回収しており、研究室でヒッソリと保管していたのでした。

ポールに内緒で創造物の蘇生を試みるビクター。主人を襲わない様、脳手術まで行い、ビクターの命令に従う様になった様子をポールに見せるのでした。しかし、ポールは、今まで行って来た神に背く様々な行為を世間に公表しようと決意していました。2人が屋外で口論になっている間に、何も知らないエリザベスが創造物の居る研究室に入ろうとします。神にも背く狂気の実験がもたらす結末とは・・・。

一応、メアリー・シェリー原作と言う事になっていますが、フランケンシュタイン博士と怪物が出てくる設定以外は、オジリナルの内容となっています。
ユニバーサル映画版の「フランケンシュタイン」(1931)を意識した様な、湖のシーンは、少女ではなく盲目の老人と少年に置き換わっていました。
ただし、2人が惨殺されるシーンの描写はなく、あくまで匂わせ程度に留めています。

フランケンシュタインの怪物の造型は、ユニバーサル版とは異なり、クリストファー・リーが演じているので、然程大男と言う印象ではありませんでした。しかし、右目が盲目の様になっており、顔の造型はユニバーサル版より不気味になっていました。
一方、怪物がコートを着用している為、どこか紳士的な雰囲気が漂うのは、さすがイギリスと言った所でしょうか。
一度死亡したフランケンシュタインの怪物が天井から吊るされているシーンは、ユニバーサル版にはない表現で新鮮に感じました。

ピーター・カッシング演じるビクター・フランケンシュタイン博士は、婚約者に隠れてメイドを弄んだ挙句、邪魔になったら怪物に殺させてしまう残忍さを持ち合わせた人物にキャラクターが変更されています。ドラキュラシリーズの紳士的なヘルシング教授とは対極の外道キャラとなっているので、初めて観る方は驚かれる事でしょう。

DVDまでワーナーさんでリリースされました。機会あれば、Blu-ray化が望まれる1作となります。

<シリーズについて>
ハマー・フィルムの「フランケンシュタイン」シリーズは、本作と続編を合せ7作製作されました。

(2作目) フランケンシュタインの復讐(1958)
(3作目) フランケンシュタインの怒り(1964)
(4作目) フランケンシュタイン 死美人の復讐(1967)
(5作目) フランケンシュタイン 恐怖の生体実験(1969)
(6作目) フランケンシュタインの恐怖(1970)
(7作目) フランケンシュタインと地獄の怪物(1974)

2~5作目、7作目はDVD化されました。
3作目はスティングレーさんから発売。現在プレミアが付いています。
4作目「フランケンシュタイン 死美人の復讐」は、ホラーマニアックスシリーズでBlu-ray化されているので、お持ちの方も多いかと思います。
5作目は「ミイラの幽霊」と同じBlu-ray BOXに収録されていました。
6作目は、VHSの存在は不明ですが、海外でBlu-rayは発売されています。
7作目は、単品でBlu-rayが発売され、一番鑑賞しやすいタイトルになっています。

ホラービデオカタログには、7作目「フランケンシュタインと地獄の怪物」のみ続編として掲載されていますので、今後も順を追って紹介して行きたいと考えています。地獄の怪物まで間に5作ありますので、辿り着くまでマダマダ先は長いですね。(;'∀')