本日の懐かしのホラー映画は、「歓びの毒牙(きば)」(1969)。
ダリオ・アルジェント監督による動物三部作の第1弾にして、彼のデビュー作です。

若い女性を狙う連続殺人事件がローマで発生していました。
アメリカ人の作家サムは、夜道 通りがかった画廊で、黒ずくめの人物と女性が揉み合いになっている現場を目撃します。女性を何とか救出しようと画廊に入ろうとするも、施錠されていて入る事が出来ない。
黒ずくめの人物は裏から逃げ去ってしまい、女性は負傷しながらも一命を取り留めます。
警察からは、事件の目撃証人の為、ローマから離れない様に言い渡されてしまうサム。途方に暮れていると、夜道で何者かに襲われそうになります。
これを機に、素人ながら事件の捜索を始めて行きます。
野放しになっている殺人犯は、変わらぬペースで犯行を続けます。
サムは、とある画家による猟奇的な絵画と、犯人からの脅迫電話の背後で聞こえた謎の動物の鳴き声を手掛かりに、犯人へと近づいて行く事になります。
本作を初めて観たのは、アルジェントのDVD-BOXに収録されているバージョンでした。
(VHS時代には縁がなかったのです。)
DVDが主流になってから入手したVHSを見ると97分と表記があったので、DVD版(92分)は若干削られているのでしょう。(具体的に、どのシーンが無いと言うのは判りません。)
黒ずくめの犯人、偶然通りかかった主人公が犯行を目撃してしまう件、主人公が犯行現場で重要なものを見ていながら終盤まで思い出せない等、後に製作される「サスペリア PART2」に継承される要素の原形が本作にあります。
また、本作には猫を食べる不衛生な風貌の画家が登場しますが、後に製作される「四匹の蠅」にも風変りな人物が登場します。
監督1作目にして、自身の作風の基礎が出来上がっている事に驚かされます。
意外な犯人・珍しい動物の登場・画廊のセット等を含め、魅力的な要素が多分にある為、動物三部作の中では一番推している作品です。
音楽は、エンニオ・モリコーネが担当。
女性のコーラスが混じった曲は、クエンティン・タランティーノ監督作「デス・プルーフ」でも流用されています。
タランティーノ監督も「歓びの毒牙」が好きなのでしょう。
個人的には、ラウンジ調のサントラ2曲目"Non rimane piu nessuno"がお気に入りです。
アンダースコア扱いなので、本編では左程かかっていないと思います。
アルジェント初期作品で、本作と「私は目撃者」はBlu-rayになっていないので、是非特典映像満載で商品化を希望したいです。
(とりあえず、6~7年前に現・WOWOWプラス(CS)で録画したものが個人的に一番綺麗な映像のものだったりします。)