本日の懐かしのホラー映画は、「肉の蝋人形」(1933)。
チャールズ・ベルデンの戯曲を映画化した作品になります。

物語は、1921年のロンドンから幕をあけます。
蝋人形館を運営している彫刻家 イゴールの元に、パートナーのジョー・ワースが現れます。2人の事業が失敗した為、蝋人形館を火災にして保険金1万ポンドを手に入れようとイゴールを説得する為に。
しかし、命の様に大切にしている蝋人形達を焼き払う事なんて、承服できる訳がないイゴールは猛反対します。
揉合いの末、イゴールは殴られ、気を失ってしまいます。彼が命の次に大切にしていたマリー・アントワネットの蝋人形も火災で全て焼け、イゴール自身も大火傷を負うのでした。
時は流れ、1933年。火災から命は助かったイゴールは、ダーシー教授、耳が不自由なオットー、若手のラルフと共に、新しい蝋人形館をオープンしようとしていました。
ちょうど、その頃、女優のジョアン・ゲイルが自殺を図った事が世間を騒がせていました。
遺体安置所へ移送されたジョアンの遺体を検死解剖される前に入手したいイゴール達は、安置所へ潜り込み、ジョアンの遺体を盗み出します。
特ダネを探し奔走していたニューヨーク・エクスプレスの新聞記者フローレンスは、オープン前の蝋人形館に入り込み、展示されていたジャンヌ・ダルクの蝋人形が亡くなったジョアンに似ている事に気付きます。
同じ頃、ラルフの婚約者シャーロットを紹介されたイゴールは、彼女が蝋人形のマリー・アントワネットに似ている事に激しい衝撃を受け、目をつける様になります。シャーロットを捕らえて蝋人形にしたいイゴールは、彼女をおびき寄せる事に成功します。
蝋人形館で起きている異変に気付いたフローレンスは、ラルフと共に現場へ向かいます。ラルフは、無事シャーロットを救出する事が出来るだろうか。
「肉の蝋人形」は、本作の後 1953年にヴィンセント・プライス主演で再映画化されています。
物語の大筋は、1933年版・1953年版そう大きくは変りません。
相違点は、1933年版では割愛されていたと思われる描写が1953年版で若干追加されている事と、各登場人物名が異なっている点位かと思います。
近年もリメイク映画が多く製作されていますが、同じ内容をなぞるよりは、過去作品では不足していた描写を補完したり、設定だけ使用して全く新しい映画に仕上げた方が良いと思っています。
賛否両論となったルカ・グァダニーノ版「サスペリア」が最たるものでしょうか。ダリオ・アルジェント版「サスペリア」は最高傑作である事は間違いありませんが、批判に怯むことなく、新しい世界観を創出したルカ・グァダニーノ監督版も評価したいのです。(あくまで、肉の蝋人形の記事なので、「サスペリア」に関する感想は、これ位に留めます。)
個人的に、一番最初に観た1953年版に思い入れがあるのは間違いありませんが、決して1933年版が劣っていると言う訳ではありません。
蝋人形館や地下の工房のセットは中々見事で、1933年製作当時としては、かなりの製作費を投じたのではないかと思いました。
どちらも引けを取らない素晴らしい作品に仕上がっていました。
「ジキル博士とハイド氏」と同じく、ワーナーさんより「1933年版/1953年版」両方が収録されたDVDが発売中です。
1枚で2作楽しめますので、興味のある方は、是非。😃