本日の懐かしのホラー映画は、「地獄の貴婦人」(1974)。
実際に起きた殺人事件を基に、ソランジュ・ファスケルが小説にしたものを映画化した作品になります。

ロミー・シュナイダー演じる主人公フィロメーヌは、雇い主が亡くなった事により家政婦の職を失い、途方に暮れていました。
そんな折、雇い主の葬儀で知り合ったミシェル・ピコリ演じる弁護士のサレと愛人関係になります。その後、フィロメーヌの妹カロリーヌも合流。
祖父程にも年の離れた老人とカロリーヌを結婚させます。カロリーヌと結婚した老人は程なく死亡。保険金が彼女の手に渡ります。
保険金を3人で山分けできると喜んだのも束の間、死亡した老人に成りすまし、生命保険加入に手を貸したシャンボンが自分にも分け前を寄越す様に脅迫して来ます。シャンボンが邪魔になったサレ達は、クリスマスの夜にシャンボンと同居している女性2人を殺害。硫酸風呂で溶かして始末します。
シャンボンの残した遺産を山分けした3人は、次なる作戦に出ます。
今度は、カロリーヌに多額の生命保険をかけ、彼女の替え玉になる身寄りのない女性マガリを探して来ます。病弱で今にも死にそうなマガリをカロリーヌに仕立て、彼女が亡くなったら保険金を3人でせしめると言うプランでした。
早く死ぬ様にマガリに色々と仕掛ける3人でしたが、彼らの思惑とは裏腹に、マガリは少しづつ元気を取り戻して来てしまいます。
果たして、3人の行く末、そしてマガリの運命は・・・。
本作は、サントラから入った今まで紹介した作品にないパターンの作品になります。VHS時代に縁が無く、「新映画宝庫刊スプラッターカーニバル~悪夢映画流血編~」の記事で映画の存在だけは知っていました。
エンニオ・モリコーネが手掛けたサントラCDの国内盤がヴェリタ・ノーテよりリリースされていたので、2007年に入手。本編の陰惨な内容とは真逆のコミカルなタッチの音楽に衝撃を受けたものです。
(収録曲がさらに増えたGDM盤は、2010年にリリースされました。)
ちょうど、妹の子供達が小さかったので、コミカル調のトラック「RAG NUZIALE」を試しに聴かせた所、これが大ウケ。
「もっか〜い!」「もっか〜い!」と何度も「RAG NUZIALE」を一緒に聴く羽目になり、暫く聴きたくなくなった想い出のあるサントラでもあります。😅
本編は、今ほどプレミアが付いていない頃にDVDを中古市場で入手し、観る事が出来ました。
本作最大の見せ場となる硫酸風呂のシーンは、想像以上に強烈でした。🤯
「ビヨンド・ザ・ダークネス /嗜肉の愛」でも硫酸風呂のシーンはありましたが、こちらの方が描写時間が長いです。
2人の遺体を溶かした溶液をバケツに酌んでは、階段をえっちらおっちら降りて、庭に掘った穴にぶちまける。その光景が延々と描かれるのです。
途中、ワインをラッパ飲みしたり、パスタを食べたり、通常の神経では考えられない行動に圧倒されました。😱
とても陰惨な光景のハズなのに、モリコーネの音楽が妙に陽気なため、案外自然に観れてしまいます。映画音楽の力は凄いですね。
VHSパッケージの様な壮絶な恰好で遺体処理を行うロミー・シュナイダーではありますが、このシークエンスを除いた彼女の衣装は非常にオシャレで洋服好きの方が観たらウキウキしてしまう事必至です。
衣装担当の方のセンスが素晴らしいと思いました。👏
保険金詐欺や保険金殺人事件は、世界中で実際に起きていると思いますが、ここまで強烈な話は中々無いかと思います。
(小説が基なので、フィクションも混ざって入ると思いますが。)
保険金詐欺ではありませんが、後見人ビジネスで老人の遺産を差し押さえる鬼畜の様な主人公を描いた「パーフェクト・ケア」なんて作品も近年ありましたね。余談ながら。
「地獄の貴婦人」、海外ではBlu-rayまで発売されていますが、日本ではDVD止まり。しかも、廃盤でプレミアが付いています。逆にVHSの方が中古市場で入手しやすかったりするのが不思議です。VHSを入手して気付いたのですが、DVDより尺が4分程長いです。
具体的に、どのシーンが多いと言う検証は出来ていませんが、VHSソフトを保有されている方は暫く手放さずにいる事をお勧めします。
視聴困難な作品ながら、是非若いホラーファンにも観ていただきたい1本。
過去、ゴールデン洋画劇場で放映した事もある様なので、吹替版入りでホラマニシリーズか是空さん辺りでBlu-rayをリリースしていただけたら嬉しいです。♪