本日の懐かしのホラー映画は、「血ぬられた墓標」(1960)。

ニコライ・ゴーゴリの短編小説「ヴィイ」をマリオ・バーヴァが監督した作品です。
後に、息子のランベルト・バーヴァも同じ題材で「デモンズ5」を製作しています。
17世紀、ヴァイダ家の娘アーサは、恋人と共に悪魔の烙印を押され、処刑される事となりました。
処刑執行を務めるのは実の兄。恋人と共に裏面に無数の棘がある青銅で出来た悪魔の面を被せられ処刑されるのですが、処刑執行前に「子孫の代まで呪ってやる」と兄に恨み言を遺して死んで行きます。
当初、火あぶりにする予定でしたが、雨に妨害され、火あぶりは中止となったのです。
それから、2世紀が経過。
モスクワの学会へ参加する為、ミルゴロドへ馬車で移動している2人の人物が居ました。
医師のクルヴァヤンと助手のアンドレイです。
足場の悪い荒れ地を移動していたのですが、倒木により馬車の車輪が外れ、一旦足止めを喰らってしまいます。
足止めを喰らった場所には礼拝堂があり、地下には墓地がありました。そう、ヴァイダ家の遺体を納めた墓所だったのです。
そこで、青銅の面を被せられたアーサの遺体を発見。興味にかられたクルヴァヤンは、お面を外してしまいます。その拍子に手を負傷、流れた血がアーサの遺体にかかります。
墓所の外で2人は、カティアと言う美しい娘と出会います。まるで、アーサと瓜二つの。
カティアは、アーサの子孫だったのです。
クルヴァヤンの血により、アーサの魂が甦り、復活をしようと画策をはじめるのでした。
同じタイミングで、青銅の面を被せられたまま埋葬されていた恋人も墓地から出て来ます。
彼は最初にクルヴァヤンに接触。彼を殺害し、クルヴァヤンになりすまして、カティア達一家の棲む城へ入り込みます。最初に犠牲になったのは、カティアの父親。
自分の命日を狙ってカティアを使い復活を果たそうとするアーサも動き出します。
指導者クルヴァヤンの失踪で事件に巻き込まれる事となったアンドレイは、恋仲になったカティアを救う事が出来るだろうか・・。
本作を初めて観たのは、高校生卒業間近の頃でした。クリーニング屋さんとレンタル店を兼務していた所で発見。ホラービデオカタログで気になっていた作品だったので、利用期間中に借りた1本です。
当時は、マリオ・バーヴァの事を全く知らなかったので、1本の古典ホラーとして観ていました。
その後、VHSと同じジャケットのサントラCDを都内で発見したので、喜んで買いました。(カップリングは、「処刑男爵」でした。)
レス・バクスターが担当した音楽は、アメリカ公開版の差し替えと知ったのも後の事です。
現在、キングレコードさんから発売されているBlu-rayは、ロベルト・ニコロッシの本来の音楽が使用されたバージョンになります。
物語の後半に流れるピアノの曲がロマンチックなので、ニコロッシ版に1票入れたいです。もちろん、レス・バクスターもアメリカでは名の知れたコンポーザーなので、ゴシック映画を象徴する雰囲気あるスコアを仕上げていると思いました。
アーサ/カティアを演じたバーバラ・スティールを初めて観たのも本作で、その後他の作品でも目にする事になる女優さんになるとは、高校生の当時は知る由もなかったです。
息子がリメイクした「デモンズ5」は、殆ど原形を留めていない内容になっていましたが、現代ちっくな悪魔の面のフォルムの恰好良さ、妖女ゴーゴンの様なアニバスの造形が好みなので、時折観ています。
個人的には、もっと評価してあげたい監督さんですね。🤔
マリオ・バーヴァの作品、これからも要所・要所でレビューして行きたいと思います。🫡