本日の懐かしのホラー映画は、「悪魔のサンタクロース 惨殺の斧」(1984)。

始まりは、1971年。
ビリー少年は、クリスマスの日に両親と祖父が入所している施設を訪ねます。
殆ど反応を見せなかった祖父ですが、ビリー少年と2人きりになった時に「クリスマスは恐ろしい日」であると不吉な事を耳打ちします。
祖父の突然の豹変に驚いたビリー少年の心に、どんよりとした暗い影が差します。
その帰り道、車を停め助けを求めるサンタの格好をした人物に遭遇。両親は彼を助けようとします。
何と、その男は、サンタの格好をした強盗犯で、いきなりビリー少年の父親を射殺。母親もレイプしようとした時に反撃された怒りで殺してしまいます。
車から降り、草むらに隠れていたビリー少年と赤子の弟ニッキーだけが生き残ったのでした。
1974年 ビリー少年と弟ニッキーは、セントメリーズ児童養護施設に居ました。
両親が殺された時のトラウマで、クリスマスが近くなると精神的に不安定な状態となり、周囲に心配をかけていました。
厳格で体罰も厭わない婦長は、ビリー少年の苦悩に全く理解を示さず、行動だけを見て彼に体罰を与えます。 ビリー少年にとっては、監獄に居る様な辛い少年時代の日々を送っているのでした。
更に時は流れ、1984年。18歳になったビリー青年。
児童養護施設の斡旋により、おもちゃ屋で働く事になります。
最初は順調に仕事をこなし、社会復帰できたかに見えましたが、クリスマスが近くなると、情緒が不安定になり、先輩スタッフとも上手く行かなくなって来ました。
そんな時、店頭でサンタの格好をするスタッフが人材不足で見つからない。
よりによって、お店側は、ビリー青年にサンタ役を依頼してしまいます。
虚ろな状態でサンタ役をこなしていたビリー青年ですが、打ち上げの時、店舗裏で女性スタッフのパメラが先輩スタッフに無理矢理性的関係を迫られている姿を見て、母親の最期を思い出してしまいます。
今まで蓄積していたものが一気に爆発し、その場で2人を殺害。店舗スタッフも全員殺害して、屋外へとでて行きます。彼の目指す場所は、児童養護施設。
その間にも、罪もない人々がビリー青年の犠牲となって行くのでした。
本作を初めて観たのは高校生の時です。
1992年の12月頃、大学受験に向けての講習を受けに新宿まで片道2時間近くかけて通っていました。
その帰りにレンタル落ちビデオを販売している露店で1・2作目を購入しました。(いずれも1000円だったと記憶しています。)
子供に人気のサンタさんが恐ろしい連続殺人鬼になるお話なので、結構な衝撃を受けたのを覚えています。
数あるサンタさんホラーで初めて観たのが本作だったので、インパクトがあったのだと思います。
本作の主人公ビリーは、いきなり殺人鬼になる訳ではなく、両親を亡くしてからの施設での日々、
施設の斡旋で社会生活に馴染む為におもちゃ屋で働き始める件が本編の半分近くの尺を使って丁寧に描かれています。
両親が殺害されたトラウマとの葛藤、それを連想させる様々な事象を目にし、苦悩の末ブッチンして殺人鬼へと変貌を遂げるのです。
前半にビリー青年の生い立ちを丁寧に描いていた分、後半は挽回する様な勢いで怒涛の惨殺ショーが繰り広げられます。
凄惨な事件ではありますが、少年時代に受けた心の傷が引き起こしたものなので、ビリー青年を気の毒に思いました。もちろん、被害者達には何の罪もないので、彼の犯罪を肯定するものではありませんが。
特に、ソリ遊びをしていただけなのに、クビチョンパされちゃった男の子は気の毒でした。(;'∀')
<シリーズについて>
Silent Night, Deadly Nightのシリーズとしては、続編4作とリメイク版が製作されています。
未見ですが、3~5作目は、タイトルだけ借りたアンソロジー作品になっていると思います。
(いずれも、DVD化されています。)
(2作目) 悪魔のサンタクロース2(1987年)
(3作目) ヘルブレイン 血塗られた頭脳(1989年)
(4作目) 新 死霊のしたたり(1990年)
(5作目) キラー・ホビー オモチャが殺しにやって来る(1991年)
(リメイク版)サイレント・ナイト 悪魔のサンタクロース(2012年)
1作目・2作目は、DVD・Blu-rayと順調にソフト化されているので、比較的鑑賞しやすい作品だと思います。
wikiによると、1作目の完全版は85分。日本のBlu-ray版は82分なので、若干尺が短くなっています。
完全版がどの様な形か気になりますね。
(友人から貰った輸入盤DVDがあるから、改めて確認しないと。)
サントラは過去2回発売(2枚組仕様)されており、1枚が歌モノ、もう1枚がスコアの豪華盤となっています。(どちらも内容は同じ)
ただ、歌モノは然程流れなかったので、イメージアルバムと捉えた方が無難ですね。
1980年代は、「サンタが殺しにやってくる」
「ウォンテッド・Mr.クリスマス」等、サンタさんを悪の化身に仕立てた悪趣味な映画が幾つか製作されており、ホラービデオカタログにも掲載されています。
また来年何かを紹介したいと思います。
では、皆様良いクリスマスを。🎄