本日の懐かしのホラーは、「フェイズ IV/戦慄!昆虫パニック」(1973)。



タイトルデザイナーとして、数多くの映画タイトルを手掛けたソウル・バスが監督したSF作品。

(一応、ホラービデオカタログ掲載作品になります。)


宇宙で起きた出来事により、知性を持った蟻達が共謀して砂漠地帯の住人を襲います。

現地調査に向かっていた2人の学者は、唯一生き残った女性を救出します。

人々を襲った蟻を殺虫剤で殺し、彼らが立てた立方状の石柱(蟻塚)を破壊します。

全滅したかに見えた蟻達でしたが、生き残った個体も居り、彼らは殺虫剤への耐性を身に着けます。

そして、学者達が調査を進めるドーム型の施設にも攻撃をしかけて来ます。

人類と蟻との戦い。勝敗を決するのは・・・。


タイトルだけ見ると、何かのシリーズの4作目と捉えてしまうかも知れませんが、シリーズの4ではなく、本作は4つの「局面」で描いており、最終局面が「フェイズ4」になります。


「フェイズ1」から物語はスタートしますので、構成がしっかりと出来上がっているのが判ります。

ちょっと、「ナショジオかよ?」と突っ込みたくなる位に蟻の姿がドアップで映るシーンが多くありますが、普段目にする豆粒より小さい蟻を画面いっぱいに映し出すには、相当高価な撮影機材がなければ成し得ないと思います。 

今なら、高性能なハイスピードカメラ等もあると思いますが、当時は1970年代。

現在程、科学技術は発達していないので、蟻達の撮影のパートを一つとっても見事な仕事ぶりに脱帽してしまいます。


特に凄いと思ったのは、コンピュータの配線内に忍び込んだ蟻をカマキリが本当に襲って食べるパートがあります。

食べられた蟻は、所謂「おとり」で、更に別の蟻が食事に夢中になっているカマキリの足を引っ張って、食べられている蟻が食いちぎった配線の切断面に誘導して感電死させるのです。

今ならCGで簡単に出来ちゃいそうな描写ですが、当時はその様な技術はありませんからね。

総合的に見ても、他の映画にはない技術やノウハウが詰まった傑作SF映画だと思います。


自分はVHS時代後期、WOWOWで放送された時に観たのが初めてでした。

「お手て」から蟻が出て来る印象的なVHSパッケージは、ホラービデオカタログで高校生の時から目にしており、非常に気になっていた作品でした。

フェイズの意味を知ったのも本編を初めて観た20代の時でした。


比較的パッケージ化に恵まれた作品で、DVD化に続き、ニューラインさんからもBlu-rayが発売されました。

現在も鑑賞しやすい作品の1本となっています。


サントラは、2016年にLA-LA-LANDから発売。

全編にバンバンBGMが流れる訳ではないので、フェイズごとに4曲だけ収録。(組曲になっていました。)

カップリング(と言うかメイン)は、「地球は壊滅する」です。

リバーシブルジャケットになっていましたが、自分は「フェイズⅣ」推しなので、裏返しにして所有しています。


冒頭の画像の通り、VHS・DVD・Blu-rayとそれぞれジャケットデザインが異なります。

やはり、自分はVHSの「お手てちゃん」のデザインが一番気に入っています。(本編では、ジャケットの様に人間の手を食い破って出て来る蟻のシーンもあります。)


万人ウケする作品ではありませんが、「アンドロメダ・・」の様な作品を求めている方にはオススメしたい1本です。