本日の懐かしのホラー映画は、「デッドリー・ドリーム -夢が殺しにやってくる-」(1988)。
新たなるスプラッター・ホラー・ヒーロー(?!)"グリズリー・ハンター"が登場する心理ホラーの佳作です。


クリスマスイブの日。アレックス少年は、両親と共に兄ジャックの帰宅を今か今かと待ち焦がれていました。ジャックが帰ってきたら、楽しみにしていた家族のクリスマス・パーティが始まるからです。待ちきれないアレックス少年は、両親の許しを得て、クリスマスプレゼントを1つ開封します。
ちょうど、その時、家の呼び鈴が鳴ります。
ジャックが帰って来たと思い、アレックス少年は喜んで玄関の扉を開けると、知らない男性が猟銃を持って押し入って来ました。父親が「パーキンス!」と叫びます。
パーキンスは、瞬く間にアレックス少年の両親を猟銃で殺害。アレックスの両親を殺害したパーキンスは、頭に被っていたグリズリーマスクで顔を覆い、アレックス少年に"死の追いかけっこ"を提唱します。
屋外出て必死に逃げるアレックス少年。猟銃を構えてアレックス少年に狙いを定める殺人犯パーキンス。しかし、それは青年となったアレックスが見た夢でした。

少年時代に起きた事件で唯一生き残ったアレックスは、成長した現在でも当時の事が夢に出てきて苦しんでいたのです。部屋の窓から外を覗くと、グリズリーマスクを被った人物が佇んでいる幻想すら見る様になっていました。
その事を親友のダニーに話しますが、狩猟の季節だから・・と真剣には聞いて貰えません。悪夢の憂鬱を晴らすかの様に、ダニーとバーで飲んでいた時、ダンサー志望のマギーと知り合います。初対面にしくじってしまったアレックスですが、その後 猛アタックをして、2人は恋仲になって行きます。

アレックスの父親は会社を経営していた為、莫大な遺産を兄ジャックとアレックスは相続しました。しかし、アレックスは会社経営には乗り出さず、作家を志します。仕方なく、兄のジャックが父の会社を受継いで経営を続けていました。
アレックスが金持ちである事を知らずに兄ジャックと対面したマギーでしたが、遺産目当てでアレックスに近づいたのではないか?とジャックに疑いをかけられ、兄との対面は失敗に終わってしまいます。しかし、アレックスとマギーの関係が悪化する事なく、益々深まって行くのでした。

そんなある日、浴槽に血まみれになった鹿の死体が置かれており、アレックスはパニックになります。ダニーや警察を呼び、マギーも駆けつけますが、そんな痕跡は何一つ残っていませんでした。アレックスは、パーキンスが犯人であると警察に主張します。しかし、当人のパーキンスは10年前既に自殺を図っており、もうこの世には居ませんでした。
それでも、誰かが自分を殺そうとしているとアレックスは主張を続けます。

自分が取り乱す姿を見せてしまった以上、黙っている事は出来ません。
アレックスは今まで秘密にしていた少年時代のトラウマを初めてマギーへ打ち明ける事にします。マギーは一定の理解を示しますが、彼女の献身的な支えも空しく、アレックスは精神的に追い詰められて行きます。
アレックスの精神が極限に達しつつある時、ダニーはアレックスに関する一連の騒動の"真相"を知ってしまい、何者かに殺害されてしまいます。
アレックスにも何者かの魔の手が迫り、長年苦しんでいた悪夢が"現実"となる日がやって来ようとしていました。

ビデオパッケージには、新たなるスプラッター・ホラー・ヒーロー"グリズリー・ハンター"登場!と言う煽り文句がありますが、本編に登場するグリズリー・ハンターは特定の一家しか狙っていないので、話は続きませんでした。(;'∀')

グリズリー・ハンターが路地に佇み、アレックスの部屋の方を向いているシーンは、「ハロウィン」のマイケル・マイヤーズを彷彿とさせます。また、「新13日の金曜日」でジェイソンの幻影に苦しむトミー青年に重なって見えました。
アレックスの両親を殺害する犯人の名前がノーマン・パーキンスと言うのも興味深いです。ヒッチコック監督作「サイコ」のノーマンと、俳優のアンソニー・パーキンスをかけたパロディネームだと思いました。( ´艸`)
そう言った、名作ホラーへのオマージュが垣間見えるのが楽しかったです。

個人的なポイントは、ヒロイン役のジュリエット・カミンズ嬢です。
「新・13日の金曜日」のロビン役(トミーが入所する施設に居た子)や「サイコⅢ」の電話ボックスで惨殺される役をやった女優さんです。また、「スランバー・パーティ大虐殺」(1982)の続編「マッドロック・キラー」(1987)にも出演しています。


1作目が劇場公開されて、Blu-rayにもなったのだから、2作目と3作目も・・・。

ホラーばかりですが、本作でヒロイン役を射止めました。相変わらず、"脱ぎシーン"があるのは気の毒でしたね。

兄ジャック役を演じたのは、ザンダー・バークレー。
「ターミネーター2」のジョンの叔父役や、ドラマ「24」のメイソン役で有名な俳優さんです。さすがに、本作では若いですね。

僅か75分の作品ですが、2転3転する"どんでん返し"が仕込まれており、見る人をアッと言わせる結末が用意されています。クリスティーン・ピーターソンと言う女性監督が手掛けただけあって、心理的描写が上手く、意外な掘り出し物作品だと思いました。

海外盤Blu-rayのパッケージは、リバーシブル仕様になっており、"グリズリー・ハンター"バージョンの表紙が中々カッコ良くて気に入っています。
残念ながら、VHS時代からの熱心なホラーマニアにしか認知されていない作品なので、国内でパッケージ(円盤)化は難しいかも知れませんね。