Inscryptionのストーリーを考察したい#16 マイルーム&マイルール/リンク先-リンク元 | 書いたり、書かなかったり

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Inscryptionのストーリー考察記事を毎週土曜日に更新していました

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2022.8.7. #23,29について追記しました

2022.11.12.#29に書いた誤表記を修正しました


どうもこんにちは。

The Hexが日本語対応したためか、「The Hex 考察」で検索されることが増えてるみたいです。確かにあれは考察が欲しくなるよなあと思います。

私は現状ほぼエアプなので考察を書くのは遠慮していますが、少なくともまとめをしないといけない局面が訪れることは確定しているので、なんとかしないといけないなあ……と思っています。

 

 

そういうわけでInscryptionのストーリーの考察をしていきます。

ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

 考察記事もくじ







表記について



 

 

 

 

 

 

 

 























 












 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











次の周回行きたくて​マトモにプレイしなかったからレシーさん怒ってらっしゃる…?



 

 

 

 

 

 

 

 

 


 


目次

 

▶︎マイルーム&マイルール

▶︎効率主義、ふたたび

▶︎「ここで私を見つけたか」

▶︎謎:ストーリーテリングの都合上……?

▶︎森林、湿地帯、雪線地帯

 

 

 



 


前回#15から引き続き、3D世界に関する考察をしていきます。

今回も6,000字弱とボリューミーなのでご容赦ください……。

 


 



マイルーム&マイルール

 

 

 

前回、3D世界は2D世界のマップが丸ごと3D化しているのではないかと書きましたが、細々とした差異が存在します。

レシーの小屋の置物や、P03の検査室にあるフォトグラファー用のカメラなどがそうです。

 

 

マップ以外にも独自のものがあります。典型的なのはカードゲームです。

レシー、P03、グリモラ、マグニフィカスはそれぞれマイルールのルールブックを持っています(Act1,3,4)。

さらに、レシーとP03はAct2にはなかったカードを用意していたり、

逆にAct2にあったカードを持ち込まなかったりしています。

アイテムなんかは全く新しい概念です。

 

 

 

どれがAct1オリジナルかわかるかな?のコーナー

 

 

また、P03がフォトグラファー戦で使うカメラは前述の通り検査室に置かれていますが、

Act2には登場しないにも関わらず、Act1で出現することがあります。

既に存在するファイルがバグって出てきたのだとすれば、このカメラはAct1時点で既に存在していたということになります。

 

 

 

 

これらから、3D世界のデータファイルでは、

2D世界にはなかったもの(データ)がバックアップの時点である程度追加・改変されており、

P03のカメラの件から、3D世界のバックアップファイルがAct1の時点で既に存在していることが分かります。

 

 

※だとすると、開発者ケイシーがこのディスクを精査した時(開発ログ#04)にこのバックアップファイルを見つけていてもおかしくはなく、それについてコメントがないのに違和感はあります。矛盾はしないのですが……。

 

 

 

一方で、バックアップには含まれていない、新しく作成されたようなものもあります。

確実に「新しく作られた」と分かるのはAct4でグリモラに対面するためのギミックである墓碑です。

 

墓碑は「INSCRYPTION.EXE」「P03」「ルーク・カーダー」とありますが、

「ルーク・カーダー」は、少なくともルークがプレイを開始した以降に作成したものになるはずです。

 

勝手に墓碑を作るんじゃないよ!

 

 

 

以上から、

OLD_DATAは2D世界を元に多少の追加・変更を加えた3D世界のデータファイルを作成済みで、

2D世界でOLD_DATAを獲得するとさらにプログラム・データに介入する力が得られるのではないか

というのが2D世界・3D世界とOLD_DATAの関係についての仮説になります。

 

 

 

一方、少々問題となるのが新しいデータの作成です。

Act4でグリモラが上述の墓碑を作成していますし、Act3でもスライムが「希望を表現した」絵を描いています(こちらについては作成時期は不明)

 

しかし、世界を掌握した側にとっては勝手にデータを作られては困るでしょうから、

自分以外がそのような権限を持つことは許可しないはずです。

 

Act4は削除によってバランスが崩れた世界ということである程度説明がつきますが、

スライムの件はこのままでは説明が難しいです。

そもそもスライム自体がイレギュラーの塊みたいな存在なので、

彼の考察まで、この件は先延ばしにしようと思います。


2022.8.7.追記

スライムについて#23で触れましたが、この点については考察しませんでした。すみません。

  

 

​躍動感のありすぎるスクショ

 

 

 

なお、レシーはP03のカメラを消去しているので、

P03が(ゲームの都合とはいえ)「他のスクライブのゴミ」を消去しなかったことについては、

大したリスクはないので、消去・削除するより無視させた方がラク」と判断したからかなと思います。

鳩時計の中身はウロボットにしていましたしね。

逆に、P03のカメラはレシーの山小屋には似つかわしくないものなので、怪しまれないために消去したのかも

 

 

 

 

 

 

で。

予告ではここから「バックアップ計画」について書くことになっていたのですが、

2Dマップとの関わりで、ゲーム内マップについてちょっと書きたいことがあったので、そちらから書くことにします。

 


 

効率主義、ふたたび

 

#3,4で、ボットピア内の登場人物にAct2にもともといるキャラクターの人格マトリクスを用いたのはP03の効率主義的な性格によるものではないかと書きました。

そこで、ボットピア内の地形がAct2のものとほぼ同じであることにも触れました。







 

その後、「ひょっとしてP03は、ほぼ同じどころかマップをそのまま流用しているのではないか?」と思ったので、そのことについても書いてみます。

 

 


ボットピアの世界(Act3の商人にホロ皮を持たない状態で話しかけたときのセリフから、以下ホロ世界と呼びます)内、ダズリンバスティオンの左の部屋のロックを解除すると

P03の3D世界でも商人のいる部屋がアンロックされます

ここから、ホロ世界とP03の3D世界とがリンクしていることが伺えます。

 

 

​ホロ世界呼びの出典


このリンクがホロ世界→3D世界の一方向のものなのか、相方向のものなのかは不明です。


また、ダズリンバスティオンは外部の世界と行き来できても、実際の3D世界の出口はアクセスできないわけですが、

レシーがそうしたのと同じようにP03も出口を封じているのだと考えられます。

とすると、ホロ世界と3D世界はすべてがリンクしているわけではないようです。



だとしても、ホロ世界が一から作られたものだとしたら、この商人部屋のリンクはわざわざ設定しないのではないかと思います。

検査室や製錬場と同じような開け方をすればいいだけの話だからです。

ここにリンクがあるということは、3D世界を元にホロ世界を作ったか、2D世界を元に作ったホロ世界にリンクの設定が残ったか、

いずれにしてもマップが流用されているからだと考えられます。


 

 

また、マップの話ではないですが、Act2における挑戦者の見た目はAct3でも反映されます

ホログラムだとずいぶん印象が違いますが、一人一人個性があるので周回する人はぜひ気にしてみてください。

 

 


 

「ここで私を見つけたか」

 

さて、もう一つ、2Dマップ流用説の傍証になるのが骨の王です。

Act3で、骨の王は「湿った地下室」の東側、鍵のかかった部屋の奥で会うことができます。

この骨の王はAct2で片角になったことが反映※されたホログラムの姿をしています。

 

 

※「骨の王の角笛」のカードを渡すために片方の角を折ったのだと考えられますが、現実世界基準では山羊の角は生え変わらないので全然些細な贈り物じゃなくないか!? って気持ちでいっぱいです。まあ、データではあるんですけれども。

 



これは確かとんがり帽子の挑戦者


 

 

ここで私を見つけたか(“YOU FOUND ME HERE.”)という「ここ」はホロ世界のことを指すと考えられますが、

これはAct2の2D世界と同じ地形だと気づいたプレイヤーが、骨の王がここにいるのではとその姿を探したことを指すのではないか



骨の王のいる場所=骨の王にアクセスできる場所が(地下ではないなど違いはありますが)Act2と同じなのは、

ホロ世界も2D世界が元になっているからだと考えると納得しやすくなります。


つまり、2D世界を流用してホロ世界が作られたために、

骨の王の存在もその出現位置もホロ世界に反映されていたのではないか

 

 


ではなぜ骨の王はP03による介入を受けず、自我を保ったまま、自分自身のホログラムまで保持したまま現れることができたのか


ドレッジャー以外のキャラクターは人格マトリクスのみを利用していて、登場しないキャラクターすらいるのに、

なぜ骨の王へのアクセスが可能なままになってしまったのか?

 

 

 

これはやはり、OLD_DATAの力によるものと考えるのが自然だと思います。


Act3において、ホログラムの姿で登場するキャラクターは全員OLD_DATAの中身を知っています


商人はOLD_DATAから得られた知識をホロ皮と交換してくれますし、骨の王木彫り師はAct2からOLD_DATAのことを語っていました。

また、ホログラムの姿どころかリアルな人間の姿ですが、菌学者はカーネフェルコードの研究のためにP03を乗っ取ります。

OLD_DATAに触れることそのものが、OLD_DATAの力を得ることなのではないか

ここについては、ある程度仮説がまとまってきたので、商人について書くときにまた触れたいと思います。

 


2022.8.7.追記

OLD_DATAの力については商人のことを書くときに……と書きましたが、記事の構成上別記事に組み込むことになりました。

商人についてと、OLD_DATAに言及するキャラクターとOLD_DATAの関係については#29でまとめました。




 

謎:ストーリーテリングの都合上……?

 

 

ところで、なぜ商人のいる部屋がロックされているのか・なぜホロ世界でカギもなくアンロックできるのかについて、

ゲーム内ゲームのストーリー(ロア)上は合理的な説明がつかないように思います。

 


バッテリーを取りに行かせる際にP03が「お前が入っていいのは検査室だけだ。」と発言するので単純にウロチョロされたくなかった可能性はありますが、

それにしてもホロ世界内でロックを解除するというギミックを用意するのは妙に感じます。




​もっとスタイリッシュな服を着せてあげてほしかった


 

 

 

メタ的な観点で見ると、商人に会う前に橋を直すためウーバーボットを1体倒す必要があり、

そこでルーク・カーダーの3つめの動画パートを見ることになることが重要なのかなと考えています。

つまり、メタフィクション上のストーリーテリングの都合ですね。

 

 

2つめの動画パートでは、詳細不明のビデオゲーム版「Inscryption」についてゲームフナ社に連絡したことで、ルークが何者かに狙われていることまで知ることができます。


この3つめの動画パートでは、ディスクはInscryptionの開発者ケイシーが埋めたものかもしれないということ、

ケイシーが少し前に火に関する事象で死亡していること、

そしてルークが何か(Act4でルークがカーネフェル・コードについて調べていることをグリモラが口にしかけます。動画内で閲覧しているのはWikipediaのカーネフェルのページだそうです)を熱心に調べていることが判明します。

 

 

隠しキャラである木彫り師・骨の王・菌学者に会わなかった場合、

OLD_DATAの名前をキャラクターが口にするのはAct3の商人が最初になります。


その際、「女帝」のタロットでケイシーがOLD_DATAについて多くを暴いたと語られるので、

順序として「3つめの動画パートを見る→商人から情報を得る→OLD_DATAについて知りすぎたためにケイシーは殺された、だからルークが狙われている」、

という点と点を結ぶ流れにしたかったのではないかなと思います。

 


また何かこじつけ考えられる可能性があれば加筆等していきたいですね。

 

 

 

森林、湿地帯、雪線地帯

 

 

ところで、P03のことばかり強調して書いてきましたが、レシーも一応2D世界に準拠した地図を用意しているようです。

Act2のレシーの小屋の近くをよーーーく見ると、森林、湿地帯、雪線地帯を確認することができます。



その順番で小屋に行くのは遠回りじゃないか……?​


 

それでもP03みたいに効率主義によるものとは思えないのは、レシーのロアとフレーバー、獣に対する愛情は、やはりあのマップあってこそという気持ちにさせられるからでしょう。

あとP03がボロクソ言ってくる反動かな……。

 


また、レシーが挑戦者をカメラで撮ると、その時使っていたフィギュアの見た目がポートレートに反映されます。

新しい挑戦者になるとまた新しいフィギュアを使うことになり、

最後にレシーを倒した時に使っていたフィギュアがAct2開始時の挑戦者の外見に反映されます。


あのフィギュアはAct2の挑戦者を3D化したもの、と考えてもいいのかもしれません。

 

 

 

 

 

どこで区切っても半端になってしまうのでまた長くなってしまいました……。

次回は、マグニフィカス以外のスクライブの「力の掌握」の目的の整理からの争いのルールに関する考察と、

尺が長くなりすぎなければ「バックアップ計画」について書く予定です。