Inscryptionのストーリーを考察したい#8 仮面の向こうと操り人形 | 書いたり、書かなかったり

書いたり、書かなかったり

Inscryptionのストーリー考察記事を毎週土曜日に更新していました

まだ考察ネタ募集しております→ https://odaibako.net/u/m0ch1m0ch1Ak1ta

2022.4.30. 記憶違い部分があったので追記
2022.5.19. ページ内リンクを設定、一部写真を高画質のものに差し替えました。また、過去作を確認したので当該箇所を追記しました。
2022.5.22.まとめリンクを追加しました
2022.8.6.#29について追記しました
2022.10.16.まとめリンクを追加しました
 
 
どうもこんにちは。
考察ブログを始めると決める前にMODをだいぶ進めてしまったので、全然スクショないしセリフもうろ覚えなんですよね……。
MODだけデータリセットできないものか。
 
 
さて今日もInscryptionストーリー考察になるので、ネタバレ注意です。
 追記によりPony Island, The Hexのネタバレも追加されたので注意!!!
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 

https://odaibako.net/u/m0ch1m0ch1Ak1ta





考察記事もくじ







考えあぐねもくじ







表記方針・考察用語について



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 






 
Inscryptionは基本的に移動時間中にプレイするのでバッテリー温存のために機内モードにしていて、
そうすると不シギ戦でミイラの王ばっかりもらいます。そこそこ強いので助かる。
  

​モグラはあんな見た目なの!?

 

 

 

 

 


 

目次

 

▶︎仮面の向こうに

▶︎木を削るだけの日々へ

▶︎操る側の話

▶︎ 謎なこと

 

 


 

 
 
 
 
 さて。
#3, #4の考察で、「P03は既存のキャラクターの人格部分だけを使っている」「ドレッジャーだけが本人がそのまま話している」と書きました。

 

 

 

 

 


それについて「効率化のためではないか」という仮説を立てていたのですが、

レシーも演じていたのではなく部下たちに直接話させていたのではないか?

と前々から考えていた部分についてある程度セリフ回収ができたのでそこについてと、

木彫り師について書きたいと思います。

 

 

 

 

​仮面の向こうに

ケイシーの開発ログ#04には、「レシーは木彫り師の仮面をかぶっている時だけOLD_DATAの話をする」と書いてあります※。

ここから、少なくとも木彫り師の仮面をしている時は性格(人格)が異なることがうかがえます。

 

※開発ログ#01では、レシー本人に「OLD_DATAとか言う物」についてのセリフが追加されていたと書かれています。それ以降は木彫り師の面をしている時しかしなくなったようですね。

 

 

 

 

また、Act1でスライムに話しかけると、「釣り人が負けるのを見ると… 痛みが和らいでいく。」と語ります。

 

単にレシーが釣り人役を演じているだけであればこういう言い方はしないだろうということで、
レシーが釣り人の仮面をしてバトルをしているときは、釣り人本人の人格でバトルをしていると考えられます。
 

 

​初プレイ時、思ったほど絡みはなくて寂しかった

 

 

 
 
で、Act3でドレッジャーが「レシーだって仲間のためにやったってのに!」と言う件について。
 
日本語版だと「レシーが仲間を演じた」とも取れるのですが、
原文は”EVEN LESHY DID THAT FER ‘IS MATES!”で、
このTHATはその直前の「自分がウーバーボットの1人にさせてもらえない」ことを指しているので、「レシーだって仲間のためにそいつらをボスにしたってのに!」というような意味になります※。
 
 

※ここで面白いのは、Act1に未登場のドレッジャーが、Act1の状況を知っていることです。どの範囲までかは分かりませんが、Act1で何が起きていたかをある程度のキャラクターはわかっているようですね。

 

  

 

​よく見るとすきっ歯だった

 

 

FER ‘IS MATES(=FOR HIS MATESのなまり)、仲間のためと言っていることから、

レシーはP03のように効率のためではなく、配下を重用してボスにした、と考えることができます。

 

前段の木彫り師の仮面の話をそのまま広げて考えると、

レシーは各配下(探鉱者、釣り人、罠漁師/商人)や木彫り師・菌学者を、

仮面を被った時に、ドレッジャー形式で本人の人格そのままが話せるようにしていたのではないか。
 
というのが考察です。
 
 
今回はそこからさらに踏み込んで、特異な存在である木彫り師についても書こうと思います。
 
 

木を削るだけの日々へ

 

ゲームがリセットされてAct2、木彫り師のもとに訪れると、”Being Leshy’s puppet has given me much to ponder.”(日本語版:レシーの操り人形をやっていると考えることも増える)と言います。

操り人形とはどういうことか。

 

 

 

これは、ケイシーに対してはOLD_DATAの情報(それも核心に近いもの)を教えていたのに対し、

新しい挑戦者(=ルーク・カーダー)に対してはAct1でただトーテムを提供するだけになっていたことを指しているのではないかと考えています。

 

Act1で仮面をかぶるタイミングを見ると、他の登場人物はレシーによるナレーションの後に仮面をかぶって話し始めるのに対し、

木彫り師だけはナレーションと並行して仮面を着脱していることからも、自己主張なく役割をこなしている様子がうかがえます。

 

 

2022.4.30.追記

ここちょっと記憶違いがありまして、例外があります。

初めて木彫り師マスに止まった時はナレーション中は仮面を外していたり、

初めて探鉱者マスに止まった時は逆にナレーション中から仮面を着けていたりします。

 

木彫り師以外の登場人物ではナレーションが入るのは初めてそのマスに止まった時かボス戦だけで、それ以外はセリフのみになるのに対して、

木彫り師はほとんどセリフがなく(記憶違いでなければ最初のトーテムが完成するまでの「選べ。」くらい)ナレーションで進行するので、

いずれにせよ大きな違いはあります。

 

 

 

 

なお、原文ではhas givenと現在完了形※を使っています。

このことから、”much to ponder”がある程度継続的に存在しているらしいことがうかがえます。

 

 

英語の完了形で個人的に分かりやすかった説明を紹介すると、”Who has let the cat in?”だと「今もネコが中にいる」ことが分かる言い方になります。単に過去について述べるのではなく、現在にも影響を及ぼしていることを示す言い方ですね。

 

 

 

 

 

 

 

ではなぜそうなったかについて。

考察というより推測になりますが、「木彫り師がOLD_DATAについて伝えたせいでケイシーが死んだことを悔やんでいるからではないか」と考えています。

 

 

 

 

Act2で木彫り師はOLD_DATAについて、“I have glimpsed the OLD_DATA"と言っています。

 

日本語版では「私はOLD_DATAをちらりと見た」と訳されていますが、

完了形が使われていることから「私は(かつて)OLD_DATAを垣間見たことがある」くらいの意味かと思います。

 

そして、プレイヤー(ルーク)にOLD_DATAの危険性を警告し、

And I will speak nothing of it as a kindness.”

”To know is to die.”

(「OLD_DATAについては話さない,これは優しさだよ」「知ると死ぬ。」)”と言います。

 

  

 

​文章の区切りのためだけの悪魔くん

 

 

 

一方で、開発ログによると、「たまに木彫り師から、背筋が冷えるような恐ろしい情報を聞く」とケイシーが書いています。

その直後の記述は「何もかもがウソかもしれないし… ベルリンの地下に、カードに隠されたコードで起動する終末装置が実在する、かもしれない。」となっています。

 

こちらはディスクを精査した結果判明した内容ともとれますが、

文脈や、段落分けがないことから木彫り師本人が話した内容と考えます

つまり、ケイシーにはマジモンにヤバイことを教えていたが、ルークには教えなかった

何かの変化が起きているわけです。

 

 

 

​他の場所の写真はポップなのになあ……

 

 

 

さらに、ケイシーが死んだことを一部のキャラクターは知っているらしい描写もあります。

 

Act3、悪しき死の世界でグールのケイシーがショートカットを開通する際に「ちょっとの熱があればね!」と言った後、P03が皮肉っぽい笑いをします。

さらにシギ戦の後はその近くに火災らしき写真が出現することから、P03はケイシーが火に関連する事象で死亡したことを知っているようです。

 

そこから考えると、木彫り師がケイシーの死を知っていることは十分に考えられます。

 

ただ、それを後悔しているという描写はないので、ここは推測による補完なります。

 

 

 

なにわろてんねん(半ギレ)

 

 

 

 

総合すると、

 

  • ケイシーにはOLD_DATAについて語った
  • しかし、ケイシーはOLD_DATAについて深入りしすぎたために死亡した
  • ケイシーが死んだことを知り、後悔した木彫り師はOLD_DATAについて口を閉ざすことにした
  • その結果、レシーのゲームでは口数少なくトーテムを選ばせるだけの「操り人形」になった

 

ということになります。

 

 

 

操る側の話

 

別の考え方として、「ケイシーの死を悔やんだのはレシーの方で、レシーが木彫り師にOLD_DATAの口止めをした」というのもできそうです。

 

"長い間"プレイしていなかったレシーを"起こした"新しい挑戦者(ルーク)に対して、ニューゲームによるリセットの前も後も特に警告などは行っていないのですが※、

Act4では「君に忠告しなければならない。このディスクには見ないほうがいいものが存在する。」と直接的な警告をします。

 

一応、Act1でも打倒を重ねていると、「君」が関わったことでもうすぐ自分の支配が終わるだろうと語り、「まあ、時が来れば分かるであろう。自分は手を出すべきではなかった、とな。」と発言します。

ただ、スクライブの争いに巻き込まれることを指すのか、OLD_DATAの危険性のことなのかはあまりよく分かりません。

 

 

 

 

 

 

Act4で忠告を行うのは、挑戦者を(ある意味)もてなす「ゲームマスター」や「ゲームキャラクター」としてのレシーではなく、

プレイヤー(ルーク・カーダー)に対して「素の」レシーが話しているからではないか……と考えるのですが、

 

それだとAct2で木彫り師と直接話ができるようになった時に木彫り師自身が何も語ってくれないのは違和感がありますし、

ここまで話が複雑になると「木彫り師が悔やんだ説」と比較して類推の域が極端に増えてしまうので、この話はここまでにします。

 



謎なこと

 

一方で分からないこともあります。

木彫り師が何のためにケイシーにOLD_DATAのことを語っていたかです。

単に自分が見たものを伝えたかっただけなのか、ケイシーに何かを求めていたのか。

 

 

これに関連して、木彫り師はAct2で"I sometimes ponder… what my gameplay purpose was."と語ります。

時々考えるんだ… かつての私のゲームプレイの目的を。」ということですが、この「ゲームプレイの目的」をどう捉えるか

 

 

 

木彫り師がAct3で出ないぞ〜〜と検索中、チラッとタイトルを見かけたものの中に「木彫り師=ケイシー」説というのがあり、自分も考えたことがあります。

ゲームキャラクターが「ゲームプレイ」と発言することには違和感があることから、

かつて開発者でありプレイヤーでもあったケイシーが、木彫り師としてプレイヤー(ルーク)に警鐘を鳴らしているのではないか。

 

「あんたらプレイヤー」とプレイヤーを複数形でまとめているのはかつての自分への皮肉ではないか。

先述の”I have glimpsed the OLD_DATA.”は、ケイシーがOLD_DATAを垣間見たという意味ではないか。

 

という考え方ですが、Daniel Mullinsの世界観に照らしてアリなのかナシなのかが未プレイの私には分からないのでちょっとなんとも、ですね。

 

 

 

そういうわけで、ひとまず自分としては「ゲームプレイの目的=OLD_DATAの情報を共有する目的」、と考えています。

そうするとこれ以上は考察材料不足になってしまうで、謎のまま置いておきます。

 

 

 

2022.5.19.追記

その後Daniel Mullins過去作(Pony Island, The Hex)を確認しましたが、アリともナシとも言えないという印象です。

 

Pony Islandは「ゲームをプレイするために魂を捧げよう!」と悪魔が誘ってきますし、プレイヤーは既に亡くなっているようです。

The Hexは”ritual”(儀式)によってゲーム内キャラクターがスクリーンを通して現実世界に体の一部を送り出しています。

特に後者については、Inscryptionの考察に結びつけている方も多いです。

 

そういうわけでなんとも言えないので、これも謎のまま置いておきます。




2022.8.6.追記

「ゲームプレイの目的=OLD_DATAの情報を共有する目的」とするこの記事の立場とは違う考え方でこの件について触れたので、#29も参照のこと。


 
 
 
 
 
 
この記事を書いている途中にAct3で木彫り師に遭遇したのですが、
「どこいくねーん!」って感じでフワーッと上に行ったり下に行ったりで……。まだフラグが足りないのかも。
だいぶ胃もたれしたのでMODプレイしようかな……。

 

 

 

(写すの忘れちゃったんですが、もう1箇所登場するところがあります)

 
 
 
水曜日の更新は死のカードとカメムシの話か、軽めに「創造主」の話になるかと思います。
あと、セリフ回収が進んできたので#1の記事を手直ししたいなあ。
 
 
2022.4.30.追記
「週末装置」って誤字ってました。休日か?