Inscryptionのストーリーを考察したい#5 好奇心のかたまりの | 書いたり、書かなかったり

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Inscryptionのストーリー考察記事を毎週土曜日に更新していました

まだ考察ネタ募集しております→ https://odaibako.net/u/m0ch1m0ch1Ak1ta

2022.5.22.まとめリンクを追加しました

2022.7.19.ウィークポイントを追加しました

2022.8.9. 上述のウィークポイントへの対応をしました

2025.10.13.まとめリンクを追加、セリフ回収部分を反映しました

 

どうもこんにちは。

日曜日に最後のチャレンジをクリアして、ケイシーMOD開発ログを全てアンロックしました! やったー!

チャレンジレベルが13まであるとなぜかずっと勘違いしてたんですよね……。これで本編のセリフ回収に専念できる……。

 

 

さて、以下Inscryptionのストーリー考察になります。ネタバレ注意!

 

 

 

 





 

 
 
 
 
 
 
 
 

考察記事・考えあぐね記事もくじ

 

 

表記について

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さて、#3、#4はドレッジャーの発言からAct3について考察しました。
今回は、「不シギは何者なのか」を他の方の考察から引用して、「なぜドレッジャーではなく不シギにウーバーボットを担当させたのか」を考えます。
 
 
 
 

「不シギはP03の元人格だった」説

 
自分が非常に影響を受けやすいという理由で他の方の考察は全然目を通せていないのですが、
不シギはもともとP03の人格だった説」だけは見かけて無視できず調べてしまいました。
 

https://www.reddit.com/r/inscryption/comments/t83ajq/what_golly_reveals_about_p03s_personality/

 

 

 

リンク先での不シギ=P03説の論拠は、

 

①P03は不シギを不快に思っており、長時間不シギ役をしたがらない

②P03は「効率厨」だが、不シギは好奇心の塊である(そのため、OLD_DATA獲得競争の邪魔になると考えて封印している)

 

となっています。

 

 

 

 

①については、

P03は不シギ戦前に"SOMETHING ABOUT HER… INNOCENCE. IT MAKES ME QUEASY."(彼女のあの…無邪気さがムカムカするんだ。)と言っている上、

ウーバーボット戦後は「もう十分だ。」と言って終了します(原文は未チェックですが、日本語版ではドレッジャーも同じ言葉で会話させてもらえなくされています)

 

他のウーバーボットに対してはこのセリフはないので、不シギに対しては特に思うところがあると見ていいでしょう。

 

 

2022.4.25., 2022.5.5.追記

セリフ回収プレイ中、不シギ戦に敗北後、再戦時に嫌そうな顔をして「同じことをボクにさせるの」とか"FOR THE LAST TIME."と言うのを発見しました。

他のウーバーボット戦での再戦時にはないセリフなので、やっぱり不シギ役をやるのは嫌みたいですね。

さらに、「もう十分だ。」はドレッジャーは単に"THAT'S ENOUH."といつもの顔で言うのに対し、不シギに対しては不機嫌そうな顔で"THAT'S QUITE ENOUGH OF THAT."とかなり強い言い方をしています。

 

  

 

つまりこの顔をめっちゃ見るということです

 

 

 

②について、そういえば「P03は効率厨」の根拠をあまり挙げられていなかったので補足しましょう。

 

Act1で、オコジョ(=P03)はしょっちゅう「プレイミスだな。」と言います(余計なお世話じゃ!)。

さらにAct3では、汚れたよどみでレシーのことをほのめかし、

『いい加減』なのは小屋の掃除じゃなくて… そいつのプレイスタイルだ」「あいつはいつもプレイミスをやらかす。」と非難します。

 

Act2において3人の部下と闘わせる理由は「導線管理リストを仕上げようとしているんだが、送られてくるボットがクソすぎ」るからですし、

一方でちゃんと勝って帰ってくると「ボクが見落としたシナジーがあったのかも」と闘うことを認めてくれます。

 

 

この辺りから、効率主義で完璧主義であると考えられます。

 

 

 

まあ、確かにキノコ生えてはいたよね

 

 

 

“BURIES HER DEEP”

 

以上①②が根拠として挙げられていますが、

原文のニュアンスにも理由があるように思います。

 

 

不シギを倒すと、スライムがコメントをくれます。

 

it is a shame that節は高校英語を思い出す

 

 

"IT’S A SHAME THAT P03 BURIES HER DEEP.”

こちら、日本語訳では「P03が彼女を葬るのを残念に思うよ。」となっています。

 

しかし、bury A deepは「葬る(≒殺す)」ではなく、深く埋める」の意だとも解釈でき、

さらに、will buryではなく、単にburiesと書かれているため、継続的な状態であるとも解釈もできます。

 

 

 

また、DEEPという単語は、DEEP BENEATHの形でInscryptionにおいては「データの奥深く」という意味でよく用いられています。

 

例えば、

Act3でフィッシュボットのカードは"Deep beneath“に”Leshy fish” "Scrybe-fish"があると発言しますし、

Act4のグリモラは"YOU SEE DEEP BENEATH THE DATA OF INSCRYPTION… (略) THERE IS SOMETHING TRULY EVIL."(≒Inscryptionのデータの奥深くにOLD_DATAが存在する)と言っています。

 

(ついでながら、Act1でレシーがノイズ模様のカードをディールすると2進数で"DEEP BENEATH”となるコメントをします。

このバグカードは山札から引くとビビッというおなじみの演出と共にランダムなカードになるのですが、

バグ演出と併せてOLD_DATAを思わせなくもない……とはいえ、ここは確証がないので本考察では除外します)

 

 

 

 

釣り人の発言、カタコトイングリッシュなので非ネイティブ考察泣かせでもある

 

 

さらに、P03は不シギを「PROBABLY MY LEAST FAVORITE BOSS」(たぶん最も好きじゃないボス)と表現します。

他のスクライブを皮肉ったり、大いなる超越解説時にはプレイヤーのことを「STUPID, STUPID, IDIOT」とか超バカにしてくるのに対して、非常に控えめな表現です。

 

これも、もともと自分の一部であったから否定し切ることができないのではないか、と考えられます。

 

 

 

この顔、Act2の時よりかわいい

 

 

 

 

Act2には未登場だけれども

 

さらに、元々のゲームだと考えられるAct2には登場していなくても、

不シギがもともとInscryptionに存在したキャラクターであると考えられる根拠もあります。

 

 

 

ウーバーボット起動時、フォトグラファーとアーカイビストは同名のZipファイルを解凍して人格マトリクスを適用し、

それぞれレシー・グリモラに似た人格で登場します。

 

一方、「未完成のボス」はそういうことはされず、プレイヤーがボスとして完成させることになります。

こちらは#4で考察したように、マグニフィカスを警戒してのことだと考えています。

 

 

不シギはどうかというと、「不シギ.ZIP」を解凍しています。

上述のウーバーボットの対照を考えると、不シギも既存のキャラクターで、その人格マトリクスを利用したと考えられます。

 

 

 

 

G"O"LLYじゃないの、わかりますかね?

 

 

また、不シギの性格や名前にさらっと言及し、前述の「P03が彼女を奥深くに埋めているのは残念だ」と発言するあたり、

断言できませんがスライムは不シギのことを以前から知っているようです。

 

この発言の原文表記は"G0lly"と、P03(POE)や技術のカード(L33pbot, M3atbotなど)に特徴的なL33T表記が用いられている※ことから、

スライムの知っている不シギも技術のスクライブ関連の存在であることが伺えます。

 

 

※L33pbotは「シ”ャンプボット」、M3aTbotは「ミ→トボット」と訳されています。"Golly"はもともと「あら」「まあ」といった感嘆なので、不シギは名訳だなあと思います

 

 

 

そういったことを踏まえて、

Act2には登場しないのにAct3でウーバーボットをしている不シギはP03の別人格で

P03は不シギの人格を深いところに押し込めている」と考えることができる、というわけです。

 

 

なお、上述のサイトでは「OLD_DATAの影響を受ける前の人格が不シギだったのでは?」というコメントもありますが、自分としては傍証もないのでそこまでは考えていません。

 

 

 

「不シギがP03の一部(別人格)であった」という根拠が弱いですが、

今回はこの考察をそのまま採用します。

 

 

 

しかし、ここにはウィークポイントも存在します。

ロボットである以上当然ですがP03は性別がないらしく、見落としがなければ代名詞にはitが使われています(Act2のRebechaのセリフ、Act3の3スクライブのセリフ)。

 

しかし不シギは「彼女」(she, her)が代名詞として使われており、

不シギは女性(または女性型の人格)であることが分かります。

 

P03は「ロボットの」名前、不シギはインストールされた、またはアーカイビスト等のように人格マトリクスだけを使われている「女性人格」の名前だとも考えられますが、

ここはどうしても謎として残ってしまいます。

 

 

2022.8.8.・2022.10.13.追記

この件ですが、木彫り師ARG内で木彫り師に2回”he”で言及されており、またAct2でメルター戦勝利後に”his scanner”と発言しているため、P03は人格としては男性人格ということで良さそうです。




なぜドレッジャーは差し置かれたか

 

で、ドレッジャーはウーバーボットにしてもらえないことが不満で、

結局「会話できるNPCみたいなもん」にすらさせてもらえなくなりました(かわいそうだ……)。

 

 

ではなぜ、ドレッジャーを差し置いてAct2で未登場の不シギがウーバーボットになったのか?

 

 

 

これについては、

①ネットに接続するという重大な任務なのにドレッジャーが実行するとプレイヤーに怪しまれるから

②大いなる超越計画に興味がなさそうな無邪気な不シギの方が適任だから

 

というのも大きそうですが、

今回はP03のプライドによるものという説を推します。

 

 

 

まずP03がプライドが高いことについて。

 

Act2でP03に勝つと"I guess playing a perfect game is no match for good RNG.”(日本語版は誤訳で、「完ペキなプレイでも、運ゲーでいい乱数引かれちゃ勝ち目なんてないさ」くらいの意味)と言い、

その後話しかけても「…」と喋ってくれなくなります。

 

また、Act3のアーカイビスト戦に勝つと「たぶん、デッキを少し調整してきたんだろうな。運も良かったというか。」と負け惜しみを言います。

 

このあたりは負けず嫌いの話ですね。

 

 

さらに、Act3でダズリンバスティオンに入ると、

ああ。ここはいいな。この感情は? プライドか? 変な感じがするぞ。」と自分で言います。

 

 

以上から、少なくともダズリンバスティオンに対してはプライドを持っていることが分かります。

 

 

 

 

そのため、

"Not as useless as I thought"(Act2)で、単なる一部下であるドレッジャーにウーバーボットを任せるくらいなら、

あまり好きではないけれども、かつて自分の人格の一部でもあった不シギにボスを任せたかったのではないか

 というのが自分の考察です。

 

 

 

 

 

他の人の説にものすごく影響を受けてしまうので、うかつに検索したりできないんですよね……。

次回土曜日は赤い月の話になる予定です。