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中学二年生と高校二年生に向けた

ヤングケアラーの全国実態調査の全貌が

厚労省から公表されました

 

全国調査の結果、

中学生 17人に1人

高校生 24人に1人

の、世話をしている家族がいる18歳未満の

ヤングケアラーがいることが分かりました

学校のクラスに2〜3人いるってことです!!

 

 

 

厚生労働省が公式発表した資料は

ここでご覧いただけます

 
それではここから、その資料に掲載されている
グラフを一緒に読み解いていきましょう

 

これは「ヤングケアラーがおかれている状況」です

いままでは「親や祖父母の身体介護をしている

のがヤングケアラーだと思われてきましたが

実際には

家事をしている」がダントツ1位、次いで

幼いきょうだいの世話をしている」が2位

家族の通訳をしている」が3位でした

 

子どもが通訳しているっていうのは

外国籍の子どもや母国を逃れて来た難民の

子どもが、日本語がわからない親に代わって

通訳をしているということです。

子どもなのに難しい書類を読んで理解して

通訳しなければならない、家族の体調が悪く

なると病状を医師に伝えなければならない

親子逆転現象が起きているのです。

 

言葉を話せない知的障害のある兄弟姉妹の

意図を察して親に通訳をしている「きょうだい」

もいます

 

さて、忘れてはならないのが、この3つ

家族の代わりに障害や病気のある兄弟の

 世話をしている

障害や病気のある家族の身の回りの世話

 をしている

病気の家族の看病をしている

 

質問がばらばらになっているので

回答数が小さく見えますが

これらを足せばダントツ1位になるわけです!

障害者のきょうだいは

この3つがかけ合わさっているのだ!

ということをご理解いただきたいと思います

 

これは、「ヤングケアラーが誰をケアしているか」

の回答です

いままでは

ヤングケアラーは「親や祖父母の世話をしている

というイメージが強かったのですが、実際には

きょうだい」が多いということがわかりました

 

父母・祖父母の詳細はこちらをご覧ください

 

これは

「どんな「きょうだい」をケアしているのか?」

の回答です

幼い弟や妹の世話をしている

お兄ちゃん・お姉ちゃんが一番多く、次いで

知的障害、精神疾患、身体障害、その他

と続きます。

 

幼いきょうだいが非常に多いですよね。

その理由は「複数回答」だからなんですね

具体的にいえば

知的障害の弟の面倒を見ていて、その弟は幼い

となれば、「幼い」と「知的障害」の両方に

チェックを入れるわけです。

 

これは、「きょうだいの世話の内容」です

家事」が一番多いですね。

次いで多いのが「見守り」です

先ほど「幼いきょうだい」という回答が

一番多かったのですが、複数回答なので

障害のある兄弟姉妹の見守りをしている

きょうだいは案外多いのかもしれない

ということが分かります

 

これは「やりたいけれどできないこと」

の回答です

特徴的なのは「特にない」という回答が

一番多いということです

 

ヤングケアラーだからやりたいことが

できなかったんだね、かわいそうに・・・

 

と思われて「かわいそうでつらい子ども探し

が増えた時期があったのですが、

この全国調査の結果によれば、子どもたちは

やりたいことをできているということが

分かります

 

やりたいことができているなら

別に問題はないでしょう、と

思うのは「ちょっと待った~」なんですね

 

ニュースでご覧になった方も

いらっしゃると思いますが

「子ども電話相談室が24時間空いています

なんて報道されました

 

でもね・・・みなさん、考えてみてください。

家庭の事情を全く知らない大人に

相談したいと思いますか?

大人だってそんなことをしたくないですよね

10代の子どもが自ら「子ども電話相談室」に

電話をするでしょうか?

 

これは、相談相手についての質問に対する回答です

この結果を観てもわかるように

子どもが相談している相手は

家族」や「友人」です

学校にはスクールソーシャルワーカーや

スクールカウンセラー、役所や保健センターの

人に相談している子どもは少ないのです

 

わたしたちCANは

SNS上での知り合い」に該当します

 

誰にも相談した経験が「ない」と回答した中高生に

その理由について質問した回答がこちらです

誰かに相談するほどの悩みではない

相談しても状況が変わるとは思えない

といった理由が一番多いということに

注目してください

 

相談するほどの悩みではない

ということは、どういうことなのか?

子どもの声を聴いてみましょう

 

・いちばんつらかった時期は自分だけで

 考えて答えを出した

・家族に介護従事者がいるので、私は

 遊びや勉強の時間がちゃんと取れている

・ずっとこの生活が当たり前だと思ってた

・自分よりも母の負担が減ることを考えてほしい

・家族が特殊な病気なので支援を受けづらい。

・相談すると差別や偏見を受けやすい

・相談しているところを誰かに見られたらと

 思って誰にも相談しなかった

・相手が私が相談したせいで悩んでしまわないか、

 また他の人に知られてしまい、馬鹿にされないか、

 と不安になり、自分を追い込んでしまった

・解決よりも前に話を聞いて、一人一人の事情

 を把握する必要がある

 

では、どうしたらいいのか?

子どもはこんな意見をくれています

・気軽に相談できたり、助けを求めたりできる

 場所があるといいな

・愚痴をこぼしたりすることが大事だと思う

・信頼できる大人に言いやすい環境を整える

 べきだと思う

・相談できる場所がもっと身近で気軽な存在に

 なればいい

・ヤングケアラーの人達が「自分がヤング

 ケアラーだ」と言えるような環境を作る

 

今回は「きょうだい」の視点から全国調査結果を

読み解きました。

 

次回は親・祖父母のケアという視点から読み解い

てみようと思います

 

わたしたちは2016年~2017年にかけて

幼いきょうだい児向けの遊びながら

自己開示ができる仲間づくりを開催しました

 

2020年からは中学生と高校生を対象にした

ヤングケアラーへの直接支援を行っています

 

何度も子どもたちと話し合ってきて思うのは

「子どもたちの声」を聴くことが一番大事だ

ということです

 

大人は「何か支援してあげよう」とすぐに

物差しを持ってきて窓口を作ろうと思うけど

一番大事な素朴な取り組みをすることを

忘れてしまっています

 

子ども達が本当に欲しいのは

 

ちょっとだけエスケープできる居場所

学校で言えば保健室のような場所

そこには、わかってくれる同年代や

おとながいる・・・

 

子どもたちと直接対話をした方が

子どもが本当に望んでいることがわかります

 

子どもの力を信じて

子どものSOSを受け止める

居場所づくり人材育成

これからのヤングケアラー支援に必要なのは

このふたつを実現することです

 

わたしたちは

子どもたちの声を聴き、子どもたちが

主体的に何をしたいのかを言語化できるように

はたらきかけています

 

中高生のかたり場メインスタッフ

https://canjpn.jimdofree.com/

 

 

【参考資料】

厚労省が公表したヤングケアラー支援に向けた連携PJT会議資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/young-carer-pt-02-shiryou.html