昨日の海外市場でも株価は続落。その割には日本株、すなわち日経
先物が落ち込んでいない。昨年のアメリカのQE2以来、日本株の
割高感が増してきているというのに、地震以降の値動きでもそれを助長
している。

 割高なのだから売り込んでいくしかないのだが、それにしても日中の
相場でも落ちることはない。買っているのはもっぱら日本人だけだが、
買えば上がるというものではない。そこで今回は公的資金の買いで相場
を支えられるかについて考えてみたい。

 1990年以降、株価の下落局面では必ずといってよいほど、公的資金の
買い支えがささやかれてきた。実際に年金福祉事業団のような、所詮は
人のお金だと思って運用しているところは、政府の圧力に屈する形で、
要りもしない株券を大量に買っていたのだろうが、それが年金改革の
あおりを食って自由に出動できなくなってきた。

 そこで日銀にさせればいいではないかという議論が、2000年以降に
登場してきた。これは公債を保有するよりももっと禁じ手なのだが、
2002年の終わりごろからそれが常套手段になりつつある。最近はETFと
いったさらにオルターナティブ度の高いものを購入することで、国民の
疑惑をそらそうとしているが、リスクネイチャーからすれば株券をじか
にもつのと対して変わりはない。

 問題は公的が株を買って上がるのかという点である。歴史を見れば
答えは明白で、完全にノーである。いまだに買えば相場は上がると
信じ切っているとても昔型の発想のまま人々がいる。確かに、誰かが
買わないと相場は上がらない。しかし買ったからといって上がるもの
ではない。そもそも買う人が買うためには、そこの同量の売りがなけ
ればならないのだ。その売り方のインタレストをまったく無視して、
買い方の立場だけで見るのはどうかと思う。

 相場というのは二つの場という意味である。売りと買いである。
片方だけを過大視することの危険は、明らかである。日本政府が
外貨資産と称して不必要にため込んだ米国債は100兆円。この間、
ドル円が300円を割り込んでから、ひたすら買い進んできても、
眼前にあるのは80円を割り込みそうな相場のみなのである。しかも
大災害が来ても、なぜか増税論議が先に来る、売れない資産でしか
なくなってしまっているのだ。

日本時間 13時00分