小津安二郎監督が20代の頃に撮った無声映画を弁士:片岡一郎さん、楽士:丹原要さんで鑑賞。
後の小津作品の特徴となる「ローアングル」や「カットで繋ぐ作風」が決定づけられた作品だそうで、映画史上でも貴重な作品とのこと。
でもそういうこと抜きにしても、とても面白かった。
関東大震災の後、郊外へ引っ越してきた吉井家。新天地で、親子それぞれの生活が始まる。
「偉くなる」とは、どういうことか。前半は子供の世界を通じてコミカルに、後半は大人の世界を通じて悲哀を込めて描いている。
兄弟のしぐさや物言いがとても子供らしく素直で微笑ましい。
それを厳しく、かつ暖かく見守る父と母。以前観た同監督の「お早う」を思い出した。
後半、自分たちの知らなかった父の一面を観てショックを受ける子供達。
ご飯を食べないことでささやかに反抗するも、空腹には耐えられなかった。
母親が出した食事を食べながら、親のありがたさや自分の無力さが分かったのかもしれない。
そうやって大人になっていくんだよな〜
親になってやっと解ろうかというところなのに、これを20代の頃に撮ったというのだから驚きだ。
片岡さんの語りと丹原さんのピアノは今回も素晴らしく、作品を引き立てる。
最後の「生れてはみたけれど」のセリフは涙が出そうになった。
あとで調べてみたら、映写機を回す部下役で笠智衆さんが出演していた!
ノンクレジットで他の作品にも出ているみたいなので、探してみるのも楽しいかも。
1932年/日本/91分
監督:小津安二郎
父 :斉藤達雄
母 :古川満子
長男:菅原秀雄
次男:突貫小僧
弁士:片岡一郎
楽士:丹原要(ピアノ)
鑑賞日:2026年2月1日(日)
劇場名:福岡市美術館ミュージアムホール
主催:博多活弁パラダイス実行委員会
