【読書日記】『ハーバード大学特別講義・リーダーシップが滅ぶ時代』(バーバラ・ケラーマン) | 「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

稀有な病気をはじめ、人のあまり経験しないことを経験しました。
そんなことを織り込みながら、日ごろの読書を中心に綴っていければと思います。

『ハーバード大学特別講義・リーダーシップが滅ぶ時代』(バーバラ・ケラーマン)。

 

「未来のリーダーシップへの警鐘」。

 

11年前にFacebookに投稿した記事に加筆修正の上ブログに移植するもの。

 

最近は、この手の「〇〇大学特別講義(あるいは教室)」と冠した本が増えてきた気がします。

さて、本書の著者であるバーバラ・ケラーマン氏は2009年フォーブスが選ぶ『世界のビジネス思想家50人』に選ばれた人物。

ケラーマン氏のリーダーシップの判断基準は2つ。

「倫理観」と「能力」。

これが「任務を遂行するために不可欠な資質」であると言います(P117)。

プロローグの「21世紀のリーダーシップとフォロワーシップ」の中で、次のように警鐘を鳴らしています。

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リーダーシップビジネスが、想像以上にますます成長、繁栄し、盛況を呈している一方で、リーダーたち自身のやっていることはお粗末であり、いろんな意味で悪くなっている。

 

(P9)

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本書では、リーダーシップビジネスについて論じたあと、2つのことを取り上げています。

1、「リーダーシップの変遷」

この中で、ケーラ―マン氏の描くリーダーシップ、フォロワーシップ像について論じています。

2、「リーダーシップビジネス」

ここでは「リーダーシップビジネス」そのものにフォーカスし、この業界が何が出来て何が出来ていないのか、について論じています。

読者にわかりやすいように、おさえておくべきキーワードをあらかじめ示し、便宜を図っています。

ケラーマン氏のいるハーバード大学は大学のみならず、大学院の教育要綱にも「リーダー」ないしは「リーダーシップ」という言葉が入っています。

教育さえすれば、リーダーシップが身につくかの如くに感じます。

全く役に立たないと言っている訳ではありません。

ケラーマン氏は、リーダーシップ教育は客観的評価がないまま拡大し、知的な探求をする領域としてのリーダーシップはまだ不十分とも指摘しています(P260〜261)。

ケラーマン氏の「リーダーシップビジネス」に対する危機感を表したくだりを引用し、まとめにかえたいと思います。

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リーダーシップは時代遅れとなる危険性がある。

リーダーがではない。

リーダーはいつの世も存在するが、フォロワーシップより重要な存在としてのリーダーシップ、授業料を払って習得するようなリーダーシップ、普通の仕事より優れたものとしてのリーダーシップ、どんな問題であれ、それを解決するものとしとのリーダーシップ、業績を出すのが当たり前だと皆が思っている、そのようなリーダーシップはもう古いのである。

このビジネスが衰退する可能性を排除するため、リーダーシップビジネスは少なくとも四つの改革をしなければならない。

会話を阻害する、リーダー中心主義を終わりにすること。

近視眼的な状況の特定から脱却すること。

リーダー教育事態を厳しい分析の対象にすること。

影響の対象を反映しなければならない、移りゆく時代とともに変わることだ。

 

(P309〜310)

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「有能なリーダー」について、さまざまな角度から考えさせてくれる一冊だと感じました

また、数多ある「リーダーシップ論」についても考えさせてくれる一冊だとも感じました。

(2013・4・14読了)