『人間の境涯』(芳村思風)。
本書(本文177頁)は「芳村思風 感性論哲学シリーズ」の中の一冊。
もともとは『人間の格』の一部として収録されていたものを抜粋し、数年前、あるアイドルが愛読書として紹介していた『人間の格』と『人間の境涯』に分け、刊行され一冊。
Facebookにも芳村思風氏の「感性論哲学」の頁あり、毎日、私自身、拝読させていただいている。
早々に読まねばと思っていたリハビリ病院に入院中から、2年の歳月は経ったが今回、運よく拝読できた一冊。
まず、本書の構成をリストしておきたい。
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新装改訂版に寄せて
1・自我と自己
2・人称的自我の世界
3・理念的自我の世界
4・境涯の最高の姿
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その本文の中から、いくつか自分の琴線に触れたものを中心に抜き書きし、ご紹介していければ、と思います。
今回は4・「境涯の最高の姿」から。
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「理屈を越えて」
生命の本質であり、人間の本質である感性の深みにまで到達し、そこに根を張った統合的自我の立場に立って一体感を持って世界を感得することができるようになると、世の中の常識的な善悪の判断や美醜の判断、利害の判断を超えて、理屈の世界を超えたところで人間関係が成立します。
事実を認め、事実にこだわって生きているというのは、事実に支配されている姿なのです。
事実に支配されている人間の世界からは、事実によって理屈でものを判断するような生き方しか生まれてきません。
理屈を超え、理屈抜きで人間のすべてを肯定して生きる。
そういう全肯定の生き方、すなわち何ものも否定せず、すべてのものを肯定していくという生き方をするところから、心と心の7結びつき、理屈を超えた心の交流は生まれてきません。
(P146~151)
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(2024・2・8読了)