【読書日記】『維摩経入門』(大森曹玄) | 「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

稀有な病気をはじめ、人のあまり経験しないことを経験しました。
そんなことを織り込みながら、日ごろの読書を中心に綴っていければと思います。

『維摩経入門』(大森曹玄)。

 
「禅と道場」。
 

 

本書(本文196頁)は、「読書のすすめ」さんのお勧めの一冊としてあがっていた一冊で、販売冊数限定のもの。

著者の大森曹玄し老師は、母校・日本大学を終えていらっしゃる人物。

色んな経典で知っておきたいものがあるなかで、「維摩経」もその一つであり、新書の形態をとっていたので、さっそく落手したものです。

 

初版は1977年5月。

私が大学へ入学した年に出版された一冊でもあります。

 

まず、本書の構成をリストしておきたいと思います。

ーーーーーーーーーーーー

1・維摩経の概観と理想世界(仏国品)

2・坐禅と出家(弟子品)

3・直心これ道場(菩薩品)

4・病を問う(問疾品)

5・解脱をさらに解脱する(不思議品)

6・ものを二つに見ない(入不二法門品)

7・菩薩の行とは何か(菩薩行品)

8・仏を見るとは自己を見ること(見阿閦仏品)

あとがき

ーーーーーーーーーーーー

本書の中から気になった項目名や内容などをしばらく抜き書きし、ご紹介してきたいと思います。

今回は、5・「解脱をさらに解脱する」から。

ーーーーーーーーーーーー

「不可思議解脱とは

 

禅には、そういう自由無礙のそういう境地を詠じた句がたくさんあります。

私の好きな句に「始めは芳草に随って去り、また、落花を逐うて帰る」というのがあります。

いい言葉じゃないですか。

私のいる山梨県上の原の僧堂の方ですと、春にはいろいろな野草や花などが咲き出でています。

楽しいですね。

それを眺めながら歩いていると、ついうかうかとそれに引きづられて、山の方へ行ってしまいます。

「始めは芳草に随って去り」です。

あ、こんなところまで来てしまったか、と気づいて、こんどは、夕日に映えて、ひらひらと散る桜の花を浴び、その興味につられて戻ってくる。

人生の苦楽も、そういうふうであったら、正に不可思議解脱といっていいのじゃないでしょうか。

 

(P131)

ーーーーーーーーーーーー

(2023・12・18読了)