『カント先生の散歩』(池内紀)。
5年前に読了した一冊。
加筆・修正の上で、投稿させていただきます。
「哲学においては懐疑こそ最良の思考である」(カント)。
表紙の杖をつきながら散歩する姿はユーモラスにうつります。
池内氏のカントの紹介文。
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〇1724年4月22日
革具職人の息子として、東プロシアの首都ケーニヒスベルクに生まれる。
〇1747年
ケーニヒスベルク大学卒業。
〇1770年
ケーニヒスベルク大学哲学教授となる。
〇1781年
『純粋理性批判』を出版。
その後、88年に『実践理性批判』、90年に『判断力批判』を刊行。
〇1795年
『永遠平和のために』を出版。
〇1804年
79歳で死去。
(P4)
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こんなにさらりとカントの一生について書いていいのかな、というのが正直なところ。
カントは首尾一貫して「知力」を語り、ゲーテは「内的世界」を口にしました。
つまるところ時代の合言葉。
外ではなく内に向かって、ひたすら精神を輝かせる、ということ。
(以上、P72)
ドイツ系の哲学は難解で有名。
その元祖がカントと言っていいくらい。
著作には、
「純粋理性批判」
「実践理性批判」
「判断力批判」
という代表的な三部作には、「批判」の文字がタイトルにあります。
理性の批判力と認識力をめぐる議論が中心になっています。
(P1〜2)
かつての旧制高校の学生は、カントに没頭しました。
あの北杜夫氏もそうでした。
そのエピソードも記されています。
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「私は哲学を教える者ではないですよ……それはそもそも不可能です……ただ哲学をしているだけのことです」
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これが哲学の授業をする人の言うことかと、驚いてしまいます(P36〜37)。
本書の特徴は、老後の話が全体の3分の1、三部作が極端に少ないということ。
「カントってどんな人?」と問われたら、冒頭の略歴を答えれば、一般人としては合格点のような気がします。
哲学を専攻している人は別として。
詳しく知りたい時は、他の文献にあたれば上等だと思います。
まさに、そんな位置付けの一冊だと感じました。
哲学の本にありがちな難しさはあまり感じることなく読めると思います。
(2013・7・20読了)
カント先生の散歩
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