【読書日記】『オンラインデートで学ぶ経済学』(ポール・オイヤー) | 「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

稀有な病気をはじめ、人のあまり経験しないことを経験しました。
そんなことを織り込みながら、日ごろの読書を中心に綴っていければと思います。

『オンラインデートで学ぶ経済学』(ポール・オイヤー)。

 

2年前に読了した一冊。

加筆・修正の上、投稿させていただきます。

「経済学で〈婚活市場〉を制覇」。

経済学部の受験科目に数学を。
ことあるごとに申し上げています。
経済学部を卒業すると、数学をやらなくて済むとか、私の周囲を見ても、解説の安藤先生の言葉ではないですが、多かったですね。

本書に関しても、ビジネス書を軸にして読んでいらっしゃる方は取り上げられるでしょうね。
本書には、モテたい悩みを解消するのに「経済学」を学ぼう、といった意味もこめられている気がします。
本書は、そんな思いで経済学部を卒業された方でも読めると思います。
関心のある分野から経済学を眺め、それが基礎から学ぼうというところへいけば、本書の目論見としては成功だと思います。
著者は労働経済学が専門であることを考えると、多少は専門分野と隣接するテーマかと思います。

本書のタイトルである「オンラインデート」については、『第3章・フェイスブック効果−ネットワーク外部性』をお読みいただければ、と思います。

各章ごとに、「第◯章のおさらい」が設けられており、キーワードや、経済学の大切な教え、キーワードに対する経済学者の実証研究、そして本書のポイントである、恋人探しについてのキーワードからの見方、そしてアドバイスからなっているので、理解度を確かめるにはいいかもしれない。

ちなみに、先ほどの第3章のテーマである、「ネットワーク外部性」については、こう説明が施されています。

『需要が需要を呼ぶ。
つまりユーザーが一人増えると他のユーザーにとって製品の価値が高まる場合、その製品にはネットワーク外部性がある』

(P72)

逆に、「需要が需要を減じる効果」を「混雑の外部性」と説明をしています(P65)。

こうした形で、一つひとつの事例を通して、経済学ってなんだろう、ということを知ってもらうには最適な?テーマだと感じました。
例えば、恋人を自宅へ招きたいとかいうのであれば、第1章のテーマである『サーチ理論』を活用するのも手でしょうね。

本書を読み進めていると、経済学には数理的な考え方がいらないのではないか、と錯覚を起こされるかもしれませんが、実証研究やもう少し詳しく学ぼうとすると、やはり数理的な思考はかかせません。
そうした要望に応えるかのように、解説をされた安藤先生は有益な入門書などを紹介されています。

例えば、私はたまたま既読ですが、ジョン・マクミラン『市場を創る−バザールからネット取引まで』や切り口が斬新であると感じた横山和輝

 

−経済が解き明かす日本の歴史』なども、その一冊としてリストされています。

たまたまではありますが、本書の解説者でもある安藤至大先生は、母校の准教授であり、テレビ番組『オイコノミア』の講師でもあります。
だから、他の皆さまより親近感を持って拝読できたのかもしれません。

テーマもテーマです。
経済学に親しむには格好の一冊(本文256頁)だと思います。
また、この一冊でパートナーが見つかれば、一挙両得という気がします。

経済学に苦手意識を持たれる方にもおすすめです。

(2016.7.20読了)