友人と天下一とかいう小汚いラーメン屋に入った。
「もやしラーメン一つ。」「じゃ、俺は、もやし炒め定食。」
・・・
「ハイヨッ、もやしラーメン、お待たせ。」
お~っと、なんじゃこりゃぁ。
もやし多過ぎてんこ盛り。もやしの森に隠れて、スープなんてまったく見えない。しかも色合いが妙に白くてスゲェ不味そう。
仕方なくひたすら黙々と味のないもやしを食べ続け、ようやく麺が見えてきた頃には、麺がのびのびで、スープを吸って量が2倍のうどんみたいになってやがる。もやしの所為でおなかもかなり膨れていて、麺なんてちぃっとも食べられやしない。
なんだよ、これ、「もやしラーメン」ちゃうやん。「ラーメンもやし」やん。「味噌ですか?」とか聞くなや、ボケ。もやしの味しかせぇへんやん。だったら、もやし炒め定食でよかったやん。そっちの方がうまそうやん。負けてるやん。
おそるべしラーメン屋。俺にラーメンを食わせろっちゅうねん、って、俺は筋肉少女帯かっ。ガックシ。
気分直しにそのまま飲みに行く。
「おれ、レモンサワー。」「おれは、芋焼酎かな。」
だよな。そうだよな。レモン味のサワーでレモンサワー。これがサワーレモンって、酸っぱいレモンを1個出してきたらびっくりするぜ。芋の焼酎で芋焼酎。焼酎芋?焼酎味の芋って飲めるかっ!
「さっきさ、俺さ、確かにもやしラーメンを頼んだよな。」
「えっ、なんで?」
「ラーメンもやし、って言ってないよな。」
「そんなん、メニューにないやろ。」
「だよな。」
「そういう名前の外人なら、おるかも知れん。」
「おらんやろ。」
・・・
「今日はペースはやいな。次、何飲む?」
「じゃぁ、久しぶりに、グラスワインにしようかな。」
だよな。やっぱそうだよな。グラスのワインでグラスワインだよな。ワイングラスって、お前は石原裕次郎二世かよってことだよ。そこだよ。しびれるようだよ。
「で、お前は?」
「ん、俺?え~と、ジンライム・・・
・・・
ん? あ、あの、ラ、ライムジン。」